REPORT 3
「DAYS OFFICE」でつくった空間を
運用して、みんなで育てていく場所に。
凸版印刷株式会社
宮城県仙台市泉区明通3-30 /
https://www.toppan.co.jp/
写真:LOUNGE 杜 プロジェクトチーム
- 1.プロジェクト発足のプロセス有効活用されていない場所を
生き生きと働ける空間に。 - 2.DAYS OFFICEを選んだポイント10年、20年と使い続けられる
空間づくりをイメージ。 - 3.導入後の成果利用者とともに育つ
「杜」のような空間に。
印刷テクノロジーをベースに、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3つの事業で幅広く展開をする凸版印刷株式会社。仙台市泉区にある東日本事業部で、「DAYS OFFICE」を使ったリニューアルが行われました。当初は休憩を目的とした空間リニューアルの予定でしたが、結果的に想定を超えて地域性を踏まえた幅広く利用できる場所に大変身。今回はプロジェクトを担当した、小松さんに話を聞きました。
1.プロジェクト発足のプロセス
使われていない休憩室のリニューアルが決定
凸版印刷株式会社 東日本事業部には昼休みでさえ数名しか利用者のいない、古い家具が雑然と並んでいるだけの休憩室がありました。せっかくの広い空間なのに有効に使われていないのはもったいないと、事業部長からの呼びかけを機にリニューアルプロジェクトが立ち上がったそうです。そこで小松さんを含め11名の女性がプロジェクトメンバーとして選出され、もっとみんなが利用したくなる休憩室をつくることになりました。
多部署のプロジェクトメンバーから
知恵を集結
オフィスと工場が一体化した東日本事業部では、多様な職種の人が働いています。プロジェクトでは、利用者目線の色々な意見を取り入れるため、営業、企画、総務、経理、品質保証、制作、診療所などさまざまな部署からメンバーが集結。まずは社員の人たちがどのような空間を求めているか、アンケート調査を実施しました。
アンケートでは、「気軽に打ち合わせできるスペースが少なく、仕事が停滞しがちなので解消したい」、「いつもデスクで休憩しているので、心からリラックスできる場所が社内に欲しい」、「車通勤で家と会社の往復だけのため、運動不足を軽減できる場があるといい」、「会社の近隣に本屋やコンビニなどがなく、外で情報に触れる機会が少ない」という意見がでました。
会社は最寄り駅から遠い郊外型オフィスのため、社員の多くが車通勤をしています。そのため自宅と会社の往復という人も多いそう。歩く時間が少なく、健康面に不安をかかえる人もいるようです。
また都心では電車の移動中に目に入る、たくさんの情報や広告。色々な知識や発想のきっかけが自然と得られますが、車通勤だと寄り道もあまりしないため機会も少ないそう。身近に情報を得る場所や、学ぶ機会が欲しいという声が上がったようです。
そのため当初は休憩だけを目的とした空間にするはずでしたが、「コミュニケーション」、「リラックス」、「ヘルスケア」、「スタディ」の4つを軸にした「多目的ラウンジ」として、リニューアルを行うことで決定。「すべての社員が生き生きと働くこと」をプロジェクトのゴールにすることになったのです。
2.DAYS OFFICEを選んだポイント
ライブオフィスの見学でイメージを具体化
プロジェクトチームで色々なオフィス家具を検討する中、Web検索で「DAYS OFFICE」を見つけた小松さん。さっそくホームページから問い合わせをすると、すぐに返答があり仙台市青葉区一番町にあるコクヨのライブオフィスを見学することになりました。
実際に見たライブオフィスは、資料が並んでいるシェルフ、自由な場所で働けるフリーアドレスやデスクなど、自社にはないものばかり。現場で働いている人たちの姿を見ることで、自社に取り入れたときのことを想像できたそう。目標とした4つの軸を実現できると、確信しました。
バランスのよいデザイン性が採用の決め手
「このプロジェクトを進める上で、10年、20年と長く使っていける空間をつくりたいと思いました。DAYS OFFICEの飽きのこない、組み合わせやすいデザインは決め手となりました」(小松さん)。ウッド調の家具は、温かみがある雰囲気が演出できるのもいいと思ったそうです。カラーバリエーションも派手すぎないニュアンスカラーが揃い、多くの社員が満足できるベストな家具選びもできました。
DAYS OFFICEでつくった空間を
より使いやすく
ハード面の空間づくりは、「DAYS OFFICE」の家具を中心にプランニング。照明や内装にもこだわり、予算内で最大のパフォーマンスができるよう、技術チームに協力を仰ぎました。さらにプロジェクトメンバーは空間をつくるだけでなく、運営していくソフト面にも注力。コミュニケーション産業にふさわしい、書籍やプレゼンモニターの設置、BGM、アロマや置き菓子、イベント企画など、メンバーの一人ずつが案をだし、どれを置くか、何をするかを話し合いました。空間をつくるだけでなく、そこからの利用しやすさも追求したのです。
「コミュニケーション」を活発にするために、スペースの半分を人が集まりやすい「動」のエリアに設定。人数に合わせて会議がしやすい、移動しやすいキャスター付きテーブルを置きました。予約がいらないため、思い立ったらすぐに打ち合わせができるのもメリット。立ち話がしやすいビッグテーブルは、人が集まりやすく話がはじまるきっかけに。ハイタイプのため、カフェ気分で仕事ができると好評です。
「リラックス」がしやすいように、スペースの半分を「静」のエリアに。小上がりの畳スペース、マッサージチェアー、集中ブース、アロマを設置しました。菓子やコーヒーが買える自販機は、ちょっとした休憩をするきっかけに。プロジェクトチームで話し合って決めたこだわりのBGMが、より気持ちのいい空間にしています。
「動」と「静」の仕切りには、ウォールシェルフを採用。抜け感のあるシェルフは、今回のように天井が低い空間でも圧迫感を与えずぴったり。壁ではなく家具で、ゆるく空間を仕切ることができました。
「ヘルスケア」のためには、エアロバイク、パンチングマシーンなどの運動機器を設置。さらに社内の診療所メンバーの協力を得て、社員の平均身長から「理想歩幅」を男女別に割り出し、床のデザイン張りで表現することで、歩くことを意識づけました。
「スタディ」については、教養や感性を磨くため、シェルフにさまざまな本を置きました。本のジャンルは、アンケートで意見を募集。また社員から寄贈された本や、仙台を中心に活動する移動本屋がセレクトした本も置かれています。受注した作品も展示され、優秀な事例を社員同士で共有し、研鑽を積む場としても利用されています。
3.導入後の成果
リフレッシュできて仕事の効率がアップ
以前は70%の社員が、社内で心からリラックスできる場所がないと感じていました。リニューアル後は、「休憩場所があるおかげで、リフレッシュできるようになった」と好評。おかげで仕事の効率が上がったという声も多いそうです。また他部署とのコミュニケーションが増えたという声もありました。社内に家でもオフィスでもない、居心地のよい新しい場所が誕生したのです。
さらにイベントスペースとしても活躍。勤続お祝いパーティー、プロジェクトの打ち上げなど、今までは食堂や会議室で行われていたイベントが開催されるようになりました。得意先の商品の試食会では、サーブのしやすいビッグテーブルが重宝されています。今後は外部の人を絡めたアフター6イベントも企画。フラワーアレンジメント教室や地元のコーヒーショップとコラボすることで、まだ利用したことのない社員や育児休業中の社員にも使ってもらいたいと思っているそうです。
利用ルールは使いながら改善
プロジェクトチームでは、当初から利用ルールを設けました。みんなキレイに使用してくれていますが、改善して欲しいことがあればアンケートや入口に置いたノートに記入してもらっているそうです。例えば「集中ブースで休んでいるときに、使用しているのか何度ものぞかれる」という意見には、ブースの外に札を設置して、使用中かそうでないかわかるようにしました。
仙台の愛称である「杜の都」にもあやかり、この空間を「LOUNGE 杜(もり)」という名前に。「杜」という字には、自然にできた「森」と違って、人々が手をかけて育てるという意味があります。利用しながら社員みんなで空間やルールを育てていきたいというプロジェクトメンバーの想いとも、ぴったり重なりました。当初は休憩室をつくるという、シンプルだったプロジェクト。しかしさまざまな人たちの働き方に対する声を聞くことで、社員が自ら働き方をデザインし、生き生きと過ごせる場所になったのです。
今後の改革のきっかけに
今回のプロジェクトが成功したことで、工場内の休憩室のリニューアルも決定。また、執務エリアもリニューアルしたいという話がでています。フリーアドレスの採用など、働き方改革のきっかけになりそうです。プロジェクトを成し遂げたことが、大きな自信になりました。
ココがよかった「DAYS OFFICE」
凸版印刷株式会社 東日本事業本部
印刷テクノロジーをベースに、世界を変えていく会社。「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」、「エレクトロニクス事業分野」の3分野の事業活動を展開。顧客の信頼にこたえ、彩りの知と技をもとに、さまざまな商材やサービスをつくりだしている。