Interview社長訪問
オフィスの環境を変えると、自ずと働き方改革へ
移転が革新の機会に
コムパス株式会社
代表取締役
植野 伸 様
URL: https://compass-net.com/
所在地:岡山県岡山市北区下中野1222-7
納入年月:2014年9月
事業内容:建設業/情報通信設備工事業、小売業/auショップ・サブウェイ店舗運営、電材卸売事業
本社を移転された理由をお聞かせ下さい。
白髭「植野社長とは貴社が2014年にオフィスを移転された際、 貴社のオフィス環境づくりのお手伝いを当社がさせて頂いて以来のお付き合い ですね。あれから10年経ちましたが時の流れの速さを感じます。」
植野「ありがとうございます。長らく本社として使用していた旧社屋は当社の"象徴"の様な存在でしたのでオフィス移転には大きな決断を必要としました。お取引先だけでなく社員にも大きなインパクトを与えることになりましたが、 あの移転がターニングポイント となり、今の当社が存在すると思っています。」
白髭「貴社の旧本社屋のことは私もよく覚えています。以前、営業にも訪問したことがありますが2号線バイパス沿いにそびえ建つ立派なビルでした。どの様な意図をもって移転されたのでしょうか?」
植野「まず、 経営には"革新"が必要 だということです。確かに旧本社を手放すことへの反発や反対意見もありましたが、昨今の市場環境の激しい変化に対し、会社をより柔軟性のある状態にしておく必要がありました。旧社屋売却による"オフバランス化"により 財務体質を身軽にし、且つ日々の経営にコスト意識や効率性を求める必要 がありました。」
白髭「なるほど。貴社が掲げられている"3つの行動規範"の中に"革新"という表現がございますが、社員の行動に"革新"を求める以上、本社屋移転は必要なプロセスだったのだと理解しました。」
植野「そうですね。 当社の社名『コムパス(羅針盤)』はお客様の興味や関心が、当社の進むべき進路を示すものであり、そこにニーズが生じる事を表しています。 私たちはそのニーズに応え続ける必要がありますが、お客様の興味や関心は常に変わり続けていますので我々も常に"革新"しなければならないということになります。」
白髭「社屋を移転されて、どの様な"革新"が生まれましたか?」
植野「まず、オフィスの面積が半分以下になりました。これにより在庫や書類を置くスペースを劇的に減らさなければならなくなりました。在庫や書類は"仕事のやり方"に応じ生じるものですので一時的に減らせたとしても意味がありません。働き方を根本から見直し、これらが増えない"働き方"に変える必要がありました。
フリーアドレス化したり顧客原簿の管理をクラウド化したりと、"働き方"を変えることでオフィスの物理的制約に適応
していきました。
移転当初、この様な"革新"は社員にとり衝撃的だったと思いますが、今ではこの働き方が浸透しています。当社にとり社屋の移転は"革新"のスタートラインに立った段階、つまり当社が新たなチャレンジをする準備を整えた段階と言えるでしょう。」
経営において現在のテーマは何ですか?
白髭「素晴らしいですね。当社はコムパスさんがオフィス移転された1年後の2015年に、同じく自社ビルからテナントビルに本社機能を移転しました。貴社は当社にとり、経営的にみてベンチマークすべき存在だった訳ですが、貴社が社屋移転後に力を入れ取り組んでこられたことや現在のテーマと言えるものは何ですか?」
植野「まず、今の国内のビジネス状況を考えた時に、あらゆるビジネスが、かつてないほどに非常に変化の激しい乱気流の最中にあると言えると思います。何もせず現状に甘んじていたら、我々のビジネスもどんどん乱気流に巻き込まれて行って、成長どころか現状を維持することも出来なくなるという危機感をもっています。当社は 『次世代(Next generation)へと続く100年企業を目指す』という経営ビジョンを示していますが、その過程の中で『"新しいフロンティア(New frontier)"を開拓する』ことも宣言 しています。ここ数年、積極的に新規事業を立ち上げ、また、海外での事業展開にも積極的に取り組んでいるのはそのためです。」
白髭「その通りですね。人件費や資材等のコストは増加傾向にある中、我々がアウトプットする対象である市場が今、非常に不安定化しているということは、 我々は潜在的に生産性が低下していくトレンドの中で経営している可能性 もあるということですものね。」
植野「当社はかつて "スマホバブル"の波に乗り業績が堅調で、事業における生産性が向上し内部留保が積みあがった結果、本社移転前と比べると、より経営は安定していますが、だからこそ "攻め"に出る必要 があると考え、旧来の事業に加え電材の卸売業、電線の製造と、事業領域を拡げていきました。現在は通信設備事業の海外への事業展開をシンガポールやマレーシアで試みています。」
白髭「新規事業と言えば、コクヨが得意にしている オフィスプロデュース事業にも参入され、家具や建材製品の提案営業 もやって頂いていますね。」
植野「そうです。通信設備の営業とオフィス家具の提案販売は相性が良い上に、商談に家具や建材を加えると案件単価がグッと上がり営業生産性が格段に上がるのも魅力的です。」
白髭「ライブオフィスにお連れ頂いたお客様の中で、見学によってオフィスづくりに関する考え方が劇的に変わりご見学直後に社長さんまでご見学に来られて受注したケースがありました。貴社とのご縁により、今まで無かった顧客との接点やビジネスチャンスが広がっています。 新規事業を強化する上で、特に心掛けておられることがあれば教えて下さい。」
植野「当社は巷によくある"中期ビジョン"、つまり『〇〇市場を新規開拓し20**年には年商〇〇〇億円を達成する』と言った具体的な目標を現在は定めていません。何故ならその様な計画は多くの場合、予定通りにはいかないものですし、計画通りにならなかった場合の落胆も大きいからです。 私は"人の人生"も"事業"も、そのかなりの部分は運とか縁、めぐり逢いで出来ていると思っています。目に見えない導きにより良縁を得て成立していくものだと考えています。 新しい事であるが故に自分で"到達点"を決められないのです。これまで開発してきた新規事業がそうですし、コクヨさんとの出会いもそうです。最初から狙って出来たわけじゃありません。」
"羅針盤"を頼りに「NEWフロンティア」を開拓
白髭「ありがとうございます。 "セレンディピティ"とか"ゼロポイントフィールド"とかいう言葉 を私も聴いたことがあります。"引き合わせの力"とでも言いましょうか、自分の人生も良い偶然に導かれて今があることを実感しているので大いに共感します。とは言え、新規事業にはリスクがつきものです。どの様な基準をもって判断されているのですか?」
植野「判断軸は二つあります。一つ目が既存事業と『近い場所』にあること。二つ目が『似ている事業』であること。儲かるなら何でもやるということではありません。 既存事業との相互作用が生まれる様なビジネスを目指しています。 電話工事から始まった当社が携帯電話小売、電材卸、電線製造、海外展開へと事業を拡げていったことがこの価値観を表しています。もちろん、そういう繋がりがないケースであっても『これは面白いビジネスチャンスに繋がりそうだ』と感じられるものがあれば最初から否定せずに検討します。オフィスを移転した10年前を"シーズン1"だとすれば、現在は"シーズン2"。 つまり、体質改善を済ませた当社がいよいよ"投資活動"を本格化させる段階に入ったと言えます。」
白髭「なるほど。グループ会社の社長をしてきて思うのは、"PLレベル"の発想は事業部長レベル、 "経営者"と呼ばれるためには、常に"BS"レベルの観点を持ち、"CF"を動かす様な発想でいなければなりません。」
植野「その通りです。内部留保が増え自己資本比率が高まり、経営が健全化、安定化したことに安住せずに、 増えたキャッシュを新しい分野への投資に回し、お客様と共に"豊かな未来"を創造していきたいと考えています。 コクヨさんとの協業にも大きな可能性を感じています。このご縁を"NEWフロンティア"へと発展させていきたいと考えています。」
白髭「ありがとうございます。貴社の期待に応えられる様、頑張って参ります。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。」