富士フイルムのデザイン開発拠点「CLAY」とIT開発拠点「ITs」の2棟で構成された、創造の発信地。デザイナーとITエンジニアの創造性やパフォーマンスを最大限に引き出し、相互連携を深めることでイノベーションを促進し、社会課題解決に向けた革新的な製品やサービスを生み出していくことを目指している。
場づくりのコンセプトは「みんなでつくるスタジオ」。デザイン部門の80名全員が参画し、建築や設備、内装から家具やサインに至るまで、共創を通じて建築を構成するあらゆるプロダクトデザインに関与した。建物はコンクリートのソリッドな外観と格子状の広い窓が特徴で、バウハウスの思想を受け継ぎ余分なものをそぎ落とした機能美を追求。細部までこだわり抜いたプロダクトの集積によって成り立つこの空間には、創造性を刺激する研ぎ澄まされた緊張感が漂う。
各フロアは「没頭」「解放」「高揚」をテーマに構成。多様な分野のデザイナーやITエンジニアが互いに熱量を高めてシナジーを促す。地上階には窓に面したロングデスクを設け、デザインに「没頭」できる場を設けた。一方で「解放」を象徴する仕掛けとして1階から2階につながる10mの吹抜けと大階段がある。人の気配が自然に感じられるこの空間では、日々、多様な交流が生まれるだろう。地下は「高揚」をテーマに天高8mのホールを設け、ワークショップや異業種間連携・産学連携など外部デザイン機関との共創を加速させる。3Dプリンターや塗装ブースを備えたプロトタイプ制作室や撮影スタジオ等、デザイナーの創造性を刺激しパフォーマンスを最大化させるための設備も備えている。
東京都港区
2023.04
4,111㎡
富士フイルム
基本計画 富士フイルムデザインセンター コクヨ
建築設計 東畑建築事務所
照明 モデュレックス
サイン 富士フイルムデザインセンター
植栽 Veig 越路ガーデン
鹿島建設 コクヨ
Nacasa & Partners 山本慶太
iF Design Award
DFA Design for Asia Awards Merit Award
German Design Award Winner
Sky Design Award Shortlist
JID AWARD 部門賞
グッドデザイン賞
AXIS 2023年6月増刊号
新建築 2024年3月号
CONFORT No.195
商店建築 2024年6月号
「はたらく」ことから「まなぶ」「くらす」ことへ。小さなものから大きなものまでスケールにとらわれずデザインすることで、これまで気づかなかったより豊かな日常が生まれると考えています。
よりよいものは当たり前な日常の中に潜んでいます。わたしたちは文具といった小さなものから建築という大きなものまで、ひとつひとつを丁寧に、スケールを行き来しながら行為やその場所を作ることを大切にしています。これからの日常をつくるために、まずひとつながりの日常を行為で分解し、一人ひとりが、もっと自分らしく、もっとワクワクする組み合わせを考えていきます。たくさんの行為がいきいきと結びつくことで、WORKとLIFEはより豊かになるに違いありません。「はたらく」ことから「まなぶ」「くらす」ことへ。そこに生まれるいくつもの行為 を想像し、これまで気づかなかった次の日常をデザインしていきます。