働く≒座る時間は1日の1/3。イスは何より長時間触れる道具です。
価格やデザインで選びがちですが、間違った選び方をすると身体の不調や業務効率が低下する可能性があります。
働き方・オフィス・家具について研究しているコクヨと、「座る姿勢に合うイス」選びを考えてみませんか?
短時間の休憩でリラックスしたり、雑談やアイディア出しなどで気軽に立ち座りしたり、長い会議や長時間の集中ワークなどで姿勢をサポートしてくれたりと、これら働くシーンに合わせて、適したイスがあります。コクヨは、様々なタイプのイスを使い分けるために、どのような点に気を付ければ身体への負担を軽減できるか、そのポイントを「イスの4原則」としてまとめました。
rule01
背骨をS字形状に保つことで、身体に負担をかけない姿勢を促します。
負担がかかっている状態が続き、その結果、上半身のさまざまな疲労をおこす原因になっています。
背骨のS字形状を正しく保つことで、背骨や筋肉への負担を軽減します。
背骨がアーチ状になることで、椎間板や背中・肩の筋肉、内臓の圧迫など身体に負担がかかり、上半身のさまざまな疲労を引き起こします。
実は、自然体で立っている時の姿勢の背骨が、理想的な「S字形状」です。その状態を座った姿勢でも、背骨を自然な「S字形状」に近づけることが重要です。
耳ー肩ー腰のアライメントが整っている(一列に並んでいる)状態が重い頭を支えやすい姿勢です。座った姿勢はアライメントが崩れやすく、身体に負担がかかります。
まず、アライメントを整える意識が姿勢の崩れを防ぎます。アライメントが整っている座り姿勢を保つために、意識したいのは 『骨盤』 です。
・肩や背中に力を入れるのではなく、腰(骨盤)の上に耳、肩が並ぶようにイメージする
・姿勢が崩れたら、骨盤を起こすように時々座り直す
この2つを意識すると身体への負担が少ない姿勢に繋がります。骨盤は背骨と連動しているので「骨盤を起こす」 ことで、力まずに背骨のS字形状を保つことができます。
独自の2層構造の座面で骨盤を支え、S字を保持する機能
安定した姿勢の保持と姿勢が崩れる原因のひとつである骨盤の前滑りを防ぎ、体圧分散を適正にします。
レバー操作により背もたれが前後し自然なS字を促す機能
背もたれ下部が前後に可動し、腰全体を背中側から積極的にサポートし、骨盤の後倒れを防ぎます。
rule02
サイズ調整により体格差や姿勢差に応じた最適な姿勢を促します。
肘掛けの位置が合っておらず、猫背になったまま作業をしている。
適正なサイズ調整により体格差や姿勢差に応じた最適な姿勢サポートが得られます。
人それぞれの身体の大きさは異なり、イスを身体に適したサイズに調整をする必要があります。適正なサイズ調整をすることにより、イスが最適な姿勢になるようサポートし、身体への負担が軽減された状態でイスに座ることができます。
イスを適正なサイズに調整するには、まずイスに『深く座る』ことが大切です。深く座ることで、骨盤を起こした姿勢となります。そしてこの姿勢を保つために、次の3つのポイントが重要になります。
point.01
長時間座っているとお尻が痛くなるのは、臀部と座面の接触面積が適正でないからです。臀部と座面の設置面積ができるだけ広くなり、均等に体重が座面にかかっている状態(体圧分散)が良いとされています。
均等に体重が座面にかかっている状態を実現するために、自分の体形に合った「座面の高さ」に設定されていることと、「座面に深く座れている」ことが重要になります。
「座面の高さ」は膝、足首がそれぞれ90度に曲がり、太ももを座面と平行にできている状態で座ることができると、体圧が適正に分散されている状態といえます。「靴を履いた時の膝から地面までの高さ」が目安で、座面の高さを調整しましょう。
「座面に深く座れている」状態は、「膝の裏と座面の間にこぶしが入るくらいの隙間を作れる位置」が目安となります。
point.02
骨盤の大きさは体格差による個人差がそれほど大きくないため、コクヨではまず骨盤部分をサポートする機能、工夫を重視して採用しています。一方で、一見同じ体格の人でも「姿勢差」によって背骨のS字形状には個人差があります。コクヨでは「体格差」に加えて「姿勢差による個人差」にも対応できるように社員の協力のもとS字カーブを多数測定し、奥行き方向の調節が可能な骨盤をサポートする機能を研究、実用化しています。
point.03
両腕の重さは体重の約16%にもなります。そのため、デスクに向かう作業姿勢において、両腕を肘掛けに乗せることで肩への負担を軽減させたり、体圧を分散させることができます。
肘掛けをデスクの高さに合わせたり、イスとの距離を調節することで、両腕の重さが分散され、より背もたれを有効に使うことができるようになり、肩や腰への負担も軽減できます。
前後に大きくスライドするアームレストで体格差をカバーする可動肘
小柄な方には内側に大きく可動し、大柄な方には外側を直線的に可動する2種類の軌跡を設定し、それぞれ最適な位置で肘掛けを活用できます。
スムーズに水平スライドし、様々な作業姿勢に対応する可動肘
前傾姿勢でも後傾姿勢でも、身体に沿った位置に移動できます。スムーズに動く機構と3D曲面の肘当て部が、作業姿勢の変化に柔軟に対応します。
rule03
意識的に身体を動かすことで、血液の循環を促します。
長時間同じ姿勢を続けることで筋肉や血流に負担がかかっている状態。
適度に身体を動かすことで「筋肉ポンプ」の作用が働き、血液の循環を促すことができます。
長時間座ることで、同じ姿勢が続いているため、筋肉や血流に負担がかかっているからです。同じ姿勢が続くと筋肉の緊張による 「静的疲労」 が発生します。どんなに疲れにくい姿勢でも、座り続けると疲労が溜まります。
同じ姿勢が続くと筋肉の緊張による「静的疲労」が発生します。この「静的疲労」を防ぐため、人は無意識にも身体を動かしています。その無意識の動きをなるべく妨げず、また、意識的にも身体を動かすことが重要です。筋肉ポンプ(筋肉が収縮することで血管を圧迫し、血流が良くなる)作用が働き、血液の循環を促すことができます。
コクヨでは座り姿勢の変化に対応するロッキングなどの基本機能を持ったイスだけではなく、座面が揺れながら姿勢をサポートし、身体のどんな動きにも追随するグライディングメカを搭載したイスなどもご用意しています。
座面が360°自由に動き、身体のどんな動きにも追随する機能
前傾姿勢でパソコン作業をするときも、後傾姿勢でスマートフォンやタブレット端末を見るときも、自然に働きやすい姿勢に整えます。
背座と背もたれ上部の2つのメカで、伸びをしたり、振り返ったりする身体の動きに追随する機能
どの角度でもバランスをとりやすい反力特性に自動調節する機能と、背もたれ上部だけが柔軟に動く機構により、体の小さな動きにも追随し、フィット感を高めます。
rule04
座面の接触面積を広げることで、体圧の局所集中を防ぎます。
座面と背もたれに対して局所的に圧力がかかっている状態
身体のラインに沿って座面の接触面積を広げることで体圧の局所集中を防ぎます。
身体の接触面積が狭いため、座面に対して局所的に圧力がかかっているからです。イスの場合、特に座面は圧力が集中しやすく、硬い面に長時間座ると痛みを感じることもあります。
身体の表面にかかる圧力(=体圧)を分散させる必要があります。これを体圧分散といいます。そのためイスと身体の接触面積を広げることが重要です。
硬い板面の上に座った場合は体圧が座骨の2点に集中し、バランスボールのような柔らかい面の場合は接触面積が広がり、体圧が分散していることがわかります。しかし、柔らかい面は姿勢が崩れやすくなるため、コクヨでは適度な固さのあるウレタンクッションを用いて、体圧分散と姿勢保持を両立しています。
背もたれや座面の大きさや面の形状、素材、肘掛けの有無によっても体圧分散性能は変わります。また、崩れた姿勢も体圧分散に大きな影響を与えます。例えば浅座りは、お尻だけでなく背中でも体圧が集中し、腰痛の一因になると言われています。
体圧分散性に優れた座面の3次元形状
着座感がよく、体圧分散性にも優れた3次元形状の座面で聴講姿勢だけでなく、大腿部を圧迫しがちな筆記姿勢においても、座面全体にバランスよく体圧が分散されます。
着座感が良く、耐久性にも優れた座クッション構造
中央部を深く設定したベース層に厚みのあるモールドウレタンを重ねた座クッション構造を採用。着座感が良く、耐久性にも優れています。
コクヨには、長年培ってきた、快適な仕事環境を実現するためのノウハウがあります。ノウハウが詰まった資料の提供や、ナレッジサイトをご紹介いたします。
私たちワーカーにとって欠かせないアイテムであるイスに関しての課題や解決策、身体への負担を軽減する「イスの4原則」からサポート機能、選び方のポイントまでご紹介致します。