オフィス防災ラボ 地震に強いオフィスの研究
地震対策の中で重要なものに、建物の耐震補強や家具の転倒防止があります。阪神淡路大震災において、死亡原因の8割は、建物の倒壊と家具の落下防止による圧死・窒息死だったと言われています。地震発生時は家具や機器が凶器となって襲いかかります。事前の対策が社員の生存率を高めます。
コクヨでは、オフィスのレイアウトや収納家具、さらに家具の使い方についても研究を行っています。
被害を軽減し、復旧スピードを高めるためには、事前対策が欠かせません。
地震に強いオフィスのレイアウトから防災ルールまで、まず取り組むべき対策はなにか、を考えています。
オフィス家具の振動実験
1978年 | 宮城県沖地震を契機に1980年建設省建築研究所(筑波研究学園都市)にてデスク・収納家具・間仕切りなど26品目に及ぶ実験を行い、以降、新たな製品や品種の追加などに合わせて数々の実験を行ってきました。 |
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1995年 | オフィスにおいて多大な被害が発生した阪神大震災以後、たびたび発生する地震被害状況からの知見に加え、兵庫県南部地震の波形をモデル的に再現した地震動で検証を続けています。 |
2011年 |
振動実験の結果
地震発生時の家具の挙動を再現し、広く知っていただくことによりオフィスでの安全性を高めていただくとともに、より安全なレイアウトや製品検証、改良の検討のため実験を行っています。
結果1地震時の家具の挙動
地震発生時の家具の挙動を知っておくことによって、事前対策に必要な気づきを得たり、いざという時に被害を少なくする対応を取ることができます。
人・物への直接的被害のほか、避難路を閉ざすなどの二次的災害を及ぼす。
壁や窓ガラスを壊したり、避難路を閉ざすなどの被害を及ぼす。
人・物を直撃する場合があるほか、飾り棚のような場合はガラスが割れて飛散する。
家具が歩くように移動し、移動と同様の被害を及ぼす。
結果2固定と揺れの強さの相関関係
- ハイタイプ
(H1300以上) -
施工性:易 / 耐震性:低施工性:難 / 耐震性:高 Level 0 Level 1 Level 2 - 固定なし
- 壁固定
- 壁固定
床固定
震度 5弱 震度 5強 本体の移動あり
震度 6弱 震度 6強
- ロータイプ
(H1300未満) -
施工性:易 / 耐震性:低施工性:難 / 耐震性:高 Level 0 Level 1 Level 2 - 固定なし
- 床固定
(4点止め)
震度 5弱 震度 5強 震度 6弱 本体の移動あり
震度 6強 目標耐震度は、什器本体の転倒を防ぐことを目標とし、振動試験に基づく結果により設定しています。
転倒しない事や収納物が落下しない事を保証するものではありません。
- 試験結果の評価
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安全性 ① 本体の揺れ・転倒 ② 本体の移動 ③ 本体の破損 兆候なし なし なし 兆候あり 200mm未満 使用可能な破損 転倒の場合あり 200mm以上 使用不能な破損 ※ ①~③のいずれかが該当した場合
まず取り組むべき5つの事前対策
コクヨは上記の実証実験を踏まえ、地震発生時の被害を最小限に抑え、さらに地震後の復旧スピードを高めるための5つのポイントを設定しました。
レイアウトの見直し
レイアウトを見直して、地震に強いオフィスをつくりましょう。
通路付近に転倒・移動するような家具は置かないようにしましょう。
避難経路の幅は1.2m以上確保しましょう。
ローパーテションは「コの字」や「H型」にレイアウトすることで倒れにくくなります。
家具の見直し
安全な仕様の家具を選びましょう。
背の高い家具を間仕切りの代わりにしない。
引き出しや扉にはラッチが付いているものを選び、ガラスには飛散防止フィルムを貼る。
家具の固定
収納家具は必ず転倒防止対策をしておきましょう。
上下連結・横連結・背中合わせ連結をしましょう。
しっかりとした壁や床に固定しましょう。
使い方の見直し
安全なオフィスの使い方を守りましょう。
通路付近に段ボール箱などを置かない。
収納庫の上には物を置かない。
収納庫の収納物は無理なくバランスよく収納する。
防災ルールの策定
防災ルールを策定し、周知しましょう。