2017年 iFデザイン賞のプロダクトデザイン部門を受賞した「Duora」。
そこにこめられたプロダクトアイデンティティを開発メンバーでデザインを担当した加納隆芳に聞きました。
作業姿勢の変化に着目。
ワンアクションで最適サポートを実現。
ノートパソコンやタブレットを使うことが多くなったいま、体を前方に倒した下方視姿勢が頻繁に行われるなど、着座姿勢の変化が見られます。そのような姿勢に最適なセッティングへ、ワンアクションで切り替える。そのことを目指して「Duora」の開発はスタートしました。
試行錯誤の結果に開発されたのが、背を2通りのモードに切り替える「ペルビックアジャストサポート」。前傾時には骨盤を積極的に支えるモードで、背もたれと腰の間にクッションを挟んだような感覚を得ることができ、後傾時には自然なS字カーブを実現し、背全体で体圧を分散させることが可能になります。
デザインは、しっかりと構造を支えるフレーム層と、身体にフィットするしなやかなメッシュ層の2層の背フレームを特徴として進めてきました。オフィスチェアーには、プロダクト単体で愛着を持ってもらえるような個性が必要ですが、同時に、オフィス空間に多数レイアウトした際に景観に調和するような静的な意匠も必要など考えました。「Duora」は、正面から見ればシンプルで端正な印象、立ったときの目線など角度のあるアングルでは曲線的で優美。そんな二面性を大切にデザインされています。
誰にでも直感的に、簡単にモードチェンジが行えるよう、操作部は多くのトライ&エラーを重ねながら開発。3Dプリンターを使い数十にもわたる試作検証を行い、操作性とデザイン性の両面から納得のいく形状を探っていきました。
本体のカラーは黒と白の2色にアルミ磨き仕様の3種類。汚れが目立つことからコクヨでは黒脚がメインでしたが、今回は新しく汚れがつきにくい「クリーンテクトコーティング」を開発。白脚の製品化に成功しました。張地カラーは10色で、ベーシックなカラーからトレンドのものまで幅広くラインアップ。時代を超えて、永く愛される製品になれればと思っています。