HOME > オフィスづくりに役立つコラム > コロナ禍により、間取りや基本スペックへの要望に変化 ~東急不動産株式会社~
2021.4.27[ 働き方 ]
「BRANZ」シリーズは「人生を極める住まい。」をコンセプトとした都心から郊外まで様々なの立地に合わせた上質な住まいを提供する分譲マンション。コロナ禍で住まいへの関心が高まる中、住環境に求められるもの、これからの「働く」と「住まう」について、東急不動産の商品開発担当者にお話を伺いました。
東急不動産株式会社
お客さま部マネジメントセンター 商品企画グループ
佐藤邦彦様
お客さま部マネジメントセンター 企画設計グループ兼商品企画グループ
谷口真耶様
東急不動産株式会社
https://www.tokyu-land.co.jp/
――まず「BRANZ」の特徴や提供してきた価値について教えてください。
佐藤:「BRANZ」は都心の利便性を求めるお客様、郊外で環境とゆったりとした空間を重視されるお客様など、様々なお客様に対し、社会的な変化に対応しながら、建物の快適性だけでなく、安心感のある上質な住まいをご提供することを目指しています。
谷口:近年の傾向として、コンパクトでも利便性を求めて都心にという大きな流れがありました。現在、コロナ禍で一部に郊外で広さや環境を優先したいというニーズも出てきていますが、世間で言われるほど極端に郊外志向は伸びていません。みなさんもまだ迷われている部分もあるのではないでしょうか。一方、家時間が増えたことで、衣食住といった生活の根幹に対する関心が高まった印象はあります。住環境においては、採光や通風、換気といった快適に暮らすためのベースのスペックを意識される方が増えました。また、衛生面への意識も高まり、例えば顔認証などの非接触対応などに対してメーカー各社も課題意識を持って対応していますので、今後は徐々にそれらもスタンダードになっていくのだと思います。
佐藤:物件によりますが、以前はリビングに広々としたスペースを求められる傾向がありましたが、最近はコンパクトでもいいから部屋数を求められることも以前より増えました。在宅ワークをされる方のオンとオフのスペースを分けたいというご要望が増えた印象です。始めは我慢してやり過ごしていても、コロナが長引くにつれて、より快適に家でも仕事が出来る空間を求める方も増えてきたのだと思います。そこで、当社も分譲マンションの中でも何かワークスペースのご提案が出来ないかと、ゼロベースで検討を始めました。
谷口:2020年6月から検討を始めて、実際にお客様に体験してもらえるテレワークモデルを作ることを決めました。そこから、やはり当社だけでモデルを作るのではなく、働くことへの知見を深くお持ちの会社様とご一緒したいと思い、コクヨさんにお声がけし、商品開発を一緒にしようとお話をさせていただきました。9月には2物件でのテレワークモデルを実際に完成させリリースさせていただいたので、かなり急ピッチで進めましたね。自分自身も在宅ワークをするようになったものの自宅に仕事をするスペースがなく、子供が走り回る中で作業していたので、狭くてもいいから籠れる場所がほしいと感じていました。特にコックピット型のテレワークブースは、メディアにも非常に多く取り上げていただき、社会的関心の高さを実感しました。
専有部だけでなく、ラウンジなどの共用スペース、中庭などの外部と、住まいの中でもワークスペースのニーズがより多様化
――今後、住環境に求められる価値はどうなっていく?
佐藤:住まいに求める過ごし方の選択肢が増えていくのだと思います。仕事もくつろぎもという方もいらっしゃれば、家ではとにかくリラックスしたいという方もいらっしゃいます。分譲マンションでは、例えば一般的に70平米の3LDKではこれが標準という間取りをご用意しますが、何を「標準」とするかは物件によって違ってくるでしょう。エリアやそこに住まわれるお客様に合わせて、「BRANZ」のブランドは保ちながらも、ご提案を変えていく必要があります。
谷口:先ほどの70平米3LDKのタイプでも、求められる生活に合わせて例えば「テレワークプラン」などプランを選んでいただくことも出来ますし、コックピット型やデイベッド型のワークスペースをオプションとして追加いただくことも出来ます。最近は共用スペースや中庭などの外部でWi-Fiを使えるのかといったお問い合わせもいただくこともあり、マンションのお部屋内だけでなく、共用部や外部まで含めてワークスペースとしたいお客様のニーズを感じています。
佐藤:我々東急グループは、マンションだけでなくオフィスやリゾート施設も手掛けています。すでにサードプレイスの運営は始めていますが、例えばワーケーションなど、グループの横のつながりを強化することで、より多様な価値提供をしていきたいですね。
多様化する「住まい」へのニーズに数多く選択肢を提示できる提案力で対応
――アフターコロナ時代の「テレワーク」と「対面」による仕事の関係はどうなっていくと見ている?
佐藤:オンラインでも仕事が出来なくはないですが、ちょっとしたコミュニケーションの取りづらさは感じています。テレワークは選択肢として確実に定着するとは思いますが、オフィスに行くと人に会えるワクワク感がある。それを新しい付加価値創出にうまく生かせるといいですね。
谷口:我々の仕事でいうと、コロナ前と比べると随分とテレワークが進みましたが、いまだに設計や施工に関する打ち合わせは対面で行っていることが多いですね。大きな設計図を広げて同時にわーっと議論すると、やはりオンラインと比べて熱量や密度が違うと感じます。また、現場がある仕事なので、施工関係などは様々な設計図と販売用のパースや図面集などを複合的に見ながら、タイルなどのサンプルを置いて素材感や手触りなどの質感を体感し、色味は太陽光のもとで実際に確かめて・・・というのはやはり現場でやりたいですし、オンライン上では不安になります。今、テレワークも取り入れながらみんなで一体感をもって取り組めているのは、これまで築き上げてきた信頼関係の"貯金"があるからのようにも感じます。今後は、テレワークと対面はどちらかだけ、という両極端に偏っていくものではなく、ITの進化によりテレワークでできることの幅を徐々に広げながら、目的に応じて上手に使い分けていくことが大事だと考えています。
――東急不動産として今後挑戦していきたいことは?
佐藤:住まいに対して求める機能も価値も多様化していく中、提案の引き出しをたくさん持っておく必要性は感じています。箱だけでなく、暮らし方のご提案をしていきたいですね。
谷口:今回のワークスペースの提案も非常に短期間ではありましたが、お客様のニーズを感じたからこそ挑戦しました。やらなくても過ごせることではありますが、やってみたからこそ知ることができるニーズもありますし、得られる情報もあります。1年前は考えられなかったワークスタイルが当たり前になっていているように、これからの住まいに求められる価値は、これからまた新たに生まれてくるのだと思います。今後も、社会的ニーズを出来るだけ早くキャッチして、選択肢を出来る限りたくさんご提案できるようトライしていきたいと考えています。
コンパクトながら、すぐに仕事モードに入れるコックピット型のワークスペース。
家の中で気分転換しながら仕事ができる、デイベッド型のワークスペース。
今回は、東急不動産株式会社様の取り組みをご紹介させていただきました。
他にも2020年1年間のデータでの振り返りから、1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイス各企業の実例、感染症やワークエンゲイジメントなどの有識者へのインタビューなどをまとめ、様々な視点から熟考と判断を「WORK TRANSFORMTION vol.3」にまとめました。ぜひご一読いただき、これからのオフィスづくりご検討にお役立てください。
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