HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 「吸音」「遮音」だけでは分からない、本当に効果があるオフィス「音」対策アイテムの選び方
2022.8.23[ 家具 ]
コクヨコラム編集部
最終更新日:2024年1月5日
オフィスのオープンスペースで、周囲の会話が気になったり、Web会議をする場所がなくて困ったことはありませんか?出社と在宅を取り入れたハイブリッドワークの浸透に伴い、働く環境やワークスタイルが多様化し、オフィスでの「音」に関する様々な問題が顕在化しています。「吸音」や「遮音」などの効果をうたう素材を使用したブースやパーティションなどの設置を検討する人も多いのではないでしょうか。
コクヨは、誰にとっても同じ目線で効果を評価できる数値指標として「STI値」に着目し、実際の商品の効果を測定しました。
コロナ禍でハイブリッドワークが浸透し、働く環境やワークスタイルが多様化。オフィスの一角や自席などでオンライン会議に参加する際に気になるのが、「自分の声が周囲に迷惑をかけていないか」「周囲の音声をマイクが拾ってしまう」という「音」の心配です。コクヨがテレワーク経験のあるワーカーに行った調査*では、約65%の方が「オンライン会議用の遮音性の高いブースをオフィスに増やしたい」という結果が出ており、ワーカーが「音問題」に関して敏感になっていることが分かります。
*2021年11月テレワーク経験者300名を対象に実施
では、オープンスペースにおける音問題を解決するためにはどうすれば良いのでしょうか。
一般的に音問題への対策の指標とされるのが 「ABCD」という4つの項目 「吸音 (Absorption)」 「遮音(Block)」 「暗騒音(Cover)」 「距離(Distance) 」 です。
オープンスペースのオフィスでは、 吸音素材を用いた個室ブース (吸音)の設置や、パーティションの設置(遮音)、または、オフィスで流すBGMやサウンドマスキング(暗騒音)の使用、音の出るコピー機などを執務スペースから遠ざける(距離)対策などが、 音問題の対策として行われます。
個室ブースやパーテイションなどの製品説明に記載のある「吸音性能」 や 「遮音性能」。これは、その製品に使われている素材自体の性能を示し、 実際の商品の形状を考慮しての 「吸音性能」 や 「遮音性能」を示したものではありません。
また、実際のオフィスでは環境や使い方も様々です。 その中において、 商品が効果を発揮できるのか、それをどのように測り、 検証するのかは難しい課題でした。
そこでコクヨは、音の明瞭度に関する数値 「STI値(音声伝達指標)」着目しました。
そこでコクヨが着目したのは、音の明瞭度に関する数値「STI値」です。
「STI値(音声伝達指標)」は、音声の「明瞭度・聞き取りやすさ(≒聞き取りにくさ)」を0~1の数値で表した指標です。「音圧レベル」・「周囲騒音のレベル」・「残響時間」の3要素を総合的に数値化するもので、IEC(国際電気標準会議)により規格化されています。STI値が低い(明瞭度が低い)と聞こえにくい、高い(明瞭度が高い)と聞こえやすい、ということを表しています。
「STI値」によってどれくらい聞こえやすさが変わるのか、実例の動画をご覧ください。
例えば、パーティションや個室ブースを設置すると、どれくらい音の明瞭度が下がるか(=聞こえにくくなるか)といった体感的な効果を、STI値で比較できます。聞きなれない言葉ですが、身近な場面では、駅構内でのアナウンスの聞こえ方の評価などにも使用されています。
周囲や自分の声が気になるオープンスペースにおいては、音が聞こえにくい(STI値が低い)=快適な環境といえます。コクヨでは、STI値が0.5になる範囲をワーカーのパフォーマンスを阻害しない範囲「サウンドソーシャルディスタンス」と定義して検証を実施しました。「ISO3382-3*」でも、STI値が0.5以下になると音による人への影響が小さくなると定義されています。
*ISOとは
ISO(国際標準化機構)は国際的な規格を制定する非政府組織で、ISOが制定した規格が「ISO規格」で、サービスや品質に関する国際的な基準とされています。
オープンスペースで「音対策」として一般的なパネルやブースなどを使用し、 音がどれくらいの距離まで影響するかを「STI値」を測定して、実験しています。
今回は一例として、ブースシステムの「フォーレ」の測定結果をご紹介します。※フォーレ H1800(屋根なし)で検証。
「STI値0.5以下」の快適な環境を見える化
囲いなどがない状態とブースシステム「フォーレ」を比較して、「STI値」を測定しました。それぞれの環境下で、音対策の程度を円形のレーダーチャートにし、音が聞こえやすい範囲(STI値が0.5以上)を青色に着色することで、音の影響を見える化しました。青色の範囲が小さいほど、音漏れの影響範囲が狭く、音対策として有効であると言え、「フォーレ」をオープンスペースに設置をした場合、周囲に音が漏れにくいということが分かります。
また、オフィスレイアウト図面に音が聞こえやすい範囲を示すことによって、どのように執務スペースを設置すればよいのかが分かったりします。オプションや仕様の違いなどにより音が聞こえやすい範囲が異なるので、併せて製品選定する際にとても役に立ちます。このように、個室ブースやパネルの「サウンドソーシャルディスタンス(STI値が0.5以下になる範囲)」が見える化され、より効果的で快適なオフィス環境のご提案ができるようになりました。
それぞれの環境やオフィスに合わせた商品を選び、効果的な音対策をしていくことがワーカーの働きやすさに繋がります。記事で紹介した「フォーレ」以外にも「ブラケッツ」や「ワークポッド」などの商品について、STI値を用いた音対策の効果検証をしています。資料をご用意しておりますので、下記よりダウンロードいただきご覧ください。
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