仕事の効率化
2018.04.18
周りの力を借りれば生産性はグンと上がる
仕事の効率化5:「他人に仕事を任せる技術」を身につける
部下に仕事を任せるときは
「押しつけられた」と感じさせない振り方を
5つのコツのうち残り2つは、部下に仕事を任せるにあたって特に意識したい方法です。部下のモチベーションを上げながら、任せた上司も任された部下も仕事の効率化が図れます。
Point④ 質問・相談口調で頼む
部下は上司から「これをやっておいて」と仕事を任せられると、いやいやでも取り組まざるを得ない場合が少なくありません。しかしその任せ方だと、部下はモチベーションが低くなりがちで効率が下がりやすいうえ、「上が言う通りにやればいい」と考えるようになるリスクもあります。
このような状態を避けるには、任せるときに質問もしくは相談口調を駆使することです。例えば、「今、この仕事でこれだけ遅れて困っているんだけど、どうしたらいいかな?」と声をかければ、部下は「上司が自分を頼ってくれている」と感じ、自己肯定感を高めるでしょう。しかも、相談することで部下は解決策を自分で考えることになり、絶好のOJTになります。「こうすれば速くできる」という解決策がわかっていても、あえて部下に問いかけてみてはいかがでしょうか。
Point⑤ 小分けにして任せる
仕事を任せるときは、例えば「提案書作成」といった大きい単位の仕事を丸投げするのはNGです。部下がよほどその仕事に慣れていない限り、やり直しが発生するリスクが高く、かえってあなたの時間を圧迫することになるからです。
ではどのような形で任せれば、やり直しが発生せず、効率的になるのでしょうか。ひと言でいえば「小分けにして渡す」ことです。連載第3回「『仕事の分解』が先延ばしや停滞を防ぐ」で、大きな単位の仕事を小さい要素に分解して考える「要素分解」の方法を説明しました。普段から小分けにしておけば、他人に仕事を頼むときも、どの部分を任せればいいか見極めやすいはずです。
なお、小分けにして任せる際には2つの方法があります。1つは、全体像を説明したうえで「その中でこの部分をお願いできる?」という頼み方です。もう1つは、「今この案件で困っているんだけど、全体を整理するのを手伝ってくれない?」と声をかけ、部下自身に要素分解をしてもらったうえで「じゃあここだけやってくれる?」と任せるやり方です。特に後者の任せ方は、部下は「自分も仕事の一部を積極的に担っている」とモチベーションも上がる効果がありお勧めです。
鈴木 進介 (Suzuki Shinsuke)
経営コンサルタント。独自の思考整理術を構築し、「思考の整理家」として、現在では一部上場企業からベンチャー企業までコンサルティング実績は100社以上。講演会や人材教育の分野でも活躍する。『1分で仕事を片づける技術』、『1分で頭の中を片づける技術』(共にあさ出版)など著書多数。