仕事の効率化
2018.05.09
「6割スタート」で仕事の効率も完成度も上がる
仕事の効率化6:初めはあえて完璧を目指さない
1つひとつ完璧に
仕上げていく必要はない
この連載の第4回「仕事の引き算が効率化の決め手に」で、1日のToDoリストの中で「その日は6割程度の完成度でよい仕事」があることをご説明しました。しかし、「でも、いつかは10割に仕上げなければならないでしょ? トータルで考えたら手間が増えて効率的じゃないのでは?」と感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「6割の仕事をどうやって10割に高めていくか」というテーマでお話しましょう。ここでポイントとなるのは、「一気に10割まで仕上げる必要はない」「10割を目指すにしても、自分だけの力でやる必要はない」ということです。連載第1回でご紹介した「忙しさの7つのタイプ」の中で、自分はタイプ5「完璧に仕上げないと次の仕事に移れない」に当てはまると感じた人には、今回の内容は大いに参考になるはずです。
効率的に「10割」を目指す
3つの方法
完成度6割の仕事を10割に仕上げるには、大きく分けて3つの方法があります。
①別の日に10割完成させる
「10割レベルにまで仕事を仕上げる日」を設定し、その日に集中して取り組みます。特にアイデア出しなどは、長時間考えていると行き詰まってしまうことも多いもの。6割の段階でいったん終了し、日を改めて取り組んだ方が、よいアイデアを思いつくことも多く、効率的な場合が少なくありません。
②周りの力を借りる
同僚や部下に相談したりアドバイスをもらったりしながら共同作業に持ち込み、10割まで完成させます。周りの力や知恵を借りながら進めることで、あなたの負担が減るだけでなく、仕事の質向上にもつながりやすくなります。周りに協力を求める際のコツは、連載第5回「周りの力を借りれば生産性はグンと上がる」で説明しています。
③6割のたたき台を出して一緒に完成させる
顧客にアウトプットを出す場合は、初めはあえて「完成度6割」の状態で提出し、フィードバックをもらいながら協働で仕上げていくのも一つの方法です。一緒に完成させるプロセスを取り入れることで、顧客との間に絆が生まれ、取引が長続きしやすくなるメリットもあります。もちろん、あなた自身の負荷を下げることにつながります。
完璧を目指さない方がよい
仕事も多数ある
なお、仕事の中には「そもそも10割の完成度を目指す必要はない」というものも多数あります。例えば企画の立案や提案内容の構想、情報収集などは、どこまでいっても「これで完璧」とは言い切れない面があります。部下へのOJT指導も、完璧にやろうとすると過保護につながりやすく、部下の将来を考えるとマイナスといえます。
ToDoリストをつくるときには、「この仕事は本当に10割を目指すべきものか」をまず頭の中で確認することが大切です。
鈴木 進介 (Suzuki Shinsuke)
経営コンサルタント。独自の思考整理術を構築し、「思考の整理家」として、現在では一部上場企業からベンチャー企業までコンサルティング実績は100社以上。講演会や人材教育の分野でも活躍する。『1分で仕事を片づける技術』、『1分で頭の中を片づける技術』(共にあさ出版)など著書多数。