仕事の効率化

2018.07.04

「結論ファースト」で説得力アップと時短が実現

仕事の効率化11:結論を先に伝える・つくる

コミュニケーションや情報収集で
「結論ファースト」が威力を発揮

今回は「結論ファースト」について説明しましょう。結論ファーストとは文字通り、結論を先にもってくることです。会話の中で結論を先に言うことによって、自分の意見を的確に、効果的に伝えることができます。
また、新規の案件などで情報収集をする際は、先に「仮の結論」をつくってから作業を始めれば、やみくもに資料を集める必要がなく、時間と手間を減らすことができます。
どちらの場面でも、結論ファーストを取り入れるメリットは大きいわけです。
 
結論ファーストの習慣は、この連載の第1回でご紹介した「忙しさの7つのタイプ」のうち、タイプ4の「仕事が堂々めぐりして、前進していないと感じることがある」に当てはまる人に、特にお勧めします。結論を先に話したりつくったりするコツを覚えれば、コミュニケーションやリサーチにおいて大幅な時短を実現できるからです。
 
また、自分はタイプ6の「仕事が速いとき・遅いときのムラがある」の傾向があると感じた人にも、ご一読いただきたいと思います。結論ファーストには「伝え方を『しくみ化』できる」というメリットもあるので、マスターすればいちいち考えなくても自分の意見を的確に伝えられるようになります。
 
 
 

「結論→理由→事例→結論」の
順で伝えると説得力が増す

まずは普段の仕事の中の会話や商談で、結論を先に伝えるときのコツをお教えします。ポイントは、次の①→②→③→④の流れで話を組み立てることです。
 
①結論
まずは一番伝えたい結論から話をスタートします。小説や4コママンガ、テレビドラマなどでは起承転結という話の組み立て方がポピュラーですが、仕事の上では結をトップにもってくるのが基本的です。起承転結の流れで進めようとすると、相手は「何の話をしているのかな?」と思いながら最後まで話を聞かなければならず、効率が悪いからです。最初の段階で「何が言いたいか」を相手と共有し、そのテーマに関する考えを整理しながら話を聞いてもらえれば、相手の理解もスムーズで結果的に時短につながります。
 
②理由
①の結論に至った理由を話します。なぜその結論なのか、その理由を述べて納得してもらうためです。理由を説明する際は、過去の実績数値や公的機関のデータなど客観性のある根拠を提示することも大切です。
 
③事例
事例を挙げることで、聞き手は①で示した結論について具体的なイメージを抱くことができ、あなたの意見に対する共感度がアップします。
 
④結論
最後に、ダメ押しとして①と同じ結論を話し、相手の記憶に定着するようたたみかけます。
①~④の流れで話すことのメリットは二つあります。
第一に、会話のセンスがなくても、フォーマットに沿って話を組み立てるだけで、誰でも論理的に話をすることができます。第二に、①②④で論理的に、③で感覚的に相手に訴えかけることができるため、相手は頭と心の両方で納得できます。対面のときだけでなく、企画書や提案書の作成などにも応用できますので試してみてください。
 
 
 

「仮の結論」を念頭に置いて
情報収集すればムダが少ない

企画内容が漠然とした状態から資料収集などを行いつつ立ち上げていくときも、「結論ファースト」の手法は役に立ちます。取り入れ方を簡単に言うと、「仮の結論をつくってから始める」ということです。
 
結論が出ていない段階だと、例えば情報収集を行うにしても、「情報は多ければ多いほどベター」と考えがちです。しかし、企画が固まっていないまま収集を始めても、やみくもに資料を集めるため時間がかかるうえ、「企画が実際に決まってみたら不要な資料も多かった」といったムダが生じやすいからです。
こうした時間のムダを防ぐために、まずは現段階で導き出せる結論を仮決定し、その結論に沿った資料を集めていきましょう。調べていく段階で結論が変わることもあるでしょう。それでも、テーマを決めずに調べ始めるよりははるかに生産性が高いはずです。
 

鈴木 進介 (Suzuki Shinsuke)

経営コンサルタント。独自の思考整理術を構築し、「思考の整理家」として、現在では一部上場企業からベンチャー企業までコンサルティング実績は100社以上。講演会や人材教育の分野でも活躍する。『1分で仕事を片づける技術』『1分で頭の中を片づける技術』(共にあさ出版)など著書多数。

イラスト/海老佐和子