HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 過去のオフィスから探る!「いいオフィス」ってどんなオフィス?(1960年代~1980年代編)~新しい価値やアイデアを生みだし、創造性を刺激するオフィスとは~
2022.10.27[ オフィス空間 ]
「いいオフィス」とはどんなオフィスでしょうか?事務処理がしやすい席配置や豊富な収納、フリーアドレスの機能的なオフィス、リモートワークだけど出社したくなるようなオシャレで機能性の高い空間、...と理想のオフィスは働き方によりさまざまです。働き方が時代や社会背景により変わってきたように、オフィスに求められる機能や役割も大きく変化し続け、これまでに多様なオフィスが登場してきました。
今回は、コクヨOBでコクヨデザインパートナーとして活躍される一色 俊秀さんに、オフィスの変遷と、現代に求められるオフィスについてお話をお聞きしました。前編・後編の2回に渡り、懐かしいオフィスの写真や時代背景とともに「いいオフィス」とは何かを探っていきます。本記事では、1960年代~1980年代のオフィスの変遷を紹介しています。
まずは、近年のオフィスづくりにおける「いいオフィス」について見てみましょう。現在のオフィスづくりで重要とされているのが「クリエイティブオフィス」という考え方です。クリエイティブオフィスとは、イノベーションを起こすためのアイデアや新しい価値を生みだし、働く人の創造性を刺激するようなオフィスのことです。
①居心地がよく、適度に人の交流を生む、五感を刺激する空間
②ワーカーに行動変容をもたらし、クリエイティブなアイデアを促す
③イノベーションが生まれその組織らしさや企業価値向上につながる
「クリエイティブオフィス」登場の背景にあるのが、モノをひたすら増産してきた時代から、これまでにない新しいモノ・コト・サービスの創出する時代へのシフトです。同時に、オフィスにも、イノベーションを生み出す空間づくりが求められるようになりました。
オフィス業界の権威ある賞として知られる「日経ニューオフィス賞」でも「クリエイティブオフィス」が重要視されています。
「日経ニューオフィス賞」は、働き方や社会課題変化に合う「快適かつ機能的な」「ニューオフィス」づくりの普及・促進を目的に、1988年より毎年1回開催されています。
「ニューオフィス」とは、ワーカーが多くの時間を過ごすオフィスにおいて、心の豊かさやゆとりを感じながら生活の質を向上させる、以下のような要素を満たすオフィスを指します。
・創意と工夫にあふれた快適かつ機能的なオフィス
・感性を刺激し創造性を高めるオフィス
・知的財産や情報運用管理が適切に行われているオフィス
関連リンク:働き方用語辞典「日経ニューオフィス賞」
オフィスは、高度経済成長期、オイルショック、バブル経済などのそれぞれの時代で取り入れられた働き方や、電話、FAX、パソコン、インターネットなどのインフラの進化とともに、さまざまに変化してきました。時代背景とともに、1960年代から1980年代までを紹介します。
1969年、「生きたショールーム」として誕生したコクヨのライブオフィスのオープン当初の様子
高度経済成長期を迎えたこの時代は製造業に注力する企業が多く、工場でのものづくり環境を第一とし、オフィスでの事務処理環境は二の次とされていた傾向があります。そろばんやタイプライターを使った、手作業の事務業務が多く、スチールデスクが一方向に並ぶレイアウトや後述する島型対向式レイアウトのオフィスが多くありました。コクヨの「ライブオフィス」も1969年に誕生。オフィス家具を展示するだけでなく、社員が実際働く様子をご覧いただける「生きたショールーム」として、現在にいたるまで多様なレイアウトやオフィス空間のご提案を続けています。
この頃、コクヨが着目したオフィスの課題は「書類の増加」です。経済発展とともに増え続ける書類を整理すべく、1960年「ファイリングキャビネット」を発売。もともと紙製品を扱っていたコクヨにとって初のスチール製品です。その後、1965年にスチールデスク、1966年に事務用回転いすなどラインナップを広げ、オフィス空間をトータルで提案できるようになりました。
ファイリングキャビネット(左、1960年発売)、スチールデスク(右、1965年発売)
1970年代、島型対向式レイアウト
1970年代は、オイルショックなどを経て日本の経済環境が変化した時期です。部署の組織図をそのままデスクの配置に反映させたような、島型対向式のレイアウトが中心となっていきます。またファイリングキャビネットが普及し、壁沿いに多くのスチールキャビネットが配置されていました。
1960~70年代は、勤勉に事務処理を行うワーカーが求められる傾向があり、業務の指示系統が明確でした。やるべき事務処理を効率よく進め、それを管理職がスムーズに管理できる環境としてのオフィスだったと言えます。島型対向式レイアウト
1980年代、コミュニケーション活性化を意識したテトラ型レイアウト
PC対応レイアウトや業務に合わせた多様なレイアウトが登場した
バブル期とされる1980年代になると、コンピュータやFAXなどの機械が導入されるようになります。当時のOA機器は動作音や熱を発するものもあり、快適に仕事に集中しやすいようパーティションが配置され、レイアウトの多様性も少しずつ増してきました。
これまでの効率だけを追求するオフィスではなく、ワーカーの働き方や快適さに意識が向いたオフィスが登場します。「日経ニューオフィス賞」が創設され、「ニューオフィス」の概念が登場したのも、この時代です。
1987年のニューオフィス化されたコクヨの品川オフィス(管理部門フロア)
オフィス空間に鮮やかなピンクを取り入れた
このように急激に成長した経済とともに、オフィスも劇的に進化してきました。1969年から続くコクヨの「ライブオフィス」も、リニューアルを重ねながら、50年間日々新しい「一歩先のオフィス」をお客様にご体感いただいています。日本全国のライブオフィスでは、オフィス家具や空間だけでなく、実際にコクヨ社員がオフィスで働く様子をご見学いただけます。
オフィスリニューアルはもちろん、社内の働き方を変えるヒントを探しに、オフィスづくりの豊富なノウハウが詰まったライブオフィスを見学してみませんか?
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