2020.02.27

働き方改革オフィスのつくり方(1)

生産性向上に向けたステップ

Overview

概要

政府による「働き方改革」の推進により、中央官庁や自治体でも残業時間の削減やテレワークへの取組みとあわせた環境整備の一環としてオフィス改革を検討するケースが増えてきました。その結果、オフィス改革の手法として注目を浴びるようになった「フリーアドレス」や「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」という言葉を見聞きする機会は一般の職員でも急速に増え、多くの職員が「なんとなく知っている」という状態にまで来た今は、オフィス改善に取り組む重要なターニングポイントを迎えていると言えるでしょう。

本サイトでもご紹介しているように、コクヨもさまざまな官公庁のオフィス改革を通じて、それぞれの組織が目指す「あるべき姿」の実現をサポートしてきました。それぞれの組織によって取り組む規模も、あるべき姿や解決方法もさまざまでしたが、いずれの場合でも重要なポイントは、オフィス改革と同時にそこで働く職員の意識改革を行うことです。

「なぜ今働き方を変えなければならないのか?」
「なぜ今オフィスを変える必要があるのか?」

こうした問いへの答えを、オフィス改革の担当者だけでなく、そこで働く職員一人ひとりが自分の中に持っていること。そのことは、オフィス改革を一過性のイベントに終わらせず、将来にわたって「働き方改革」による生産性の向上を実現していくための大きな武器となります。

「働き方改革オフィスのつくり方」と題したこのコラムでは、改めて「フリーアドレス」や「ABW」という働き方とその意味についてご紹介します。

Report

レポート

生産性がさすもの

そもそも、「働き方改革」とは何を目的とした取り組みでしょうか。「残業時間の削減」という言葉が目標として掲げられると、ただ単に残業時間を短くすること自体が目的のように感じられますが、本来はオフィスワークの生産性を向上して効率的に働くことが目的で、その結果として残業時間が減る、ということなのです。 「働き方改革」を実現するオフィスとは、生産性を向上させるオフィスだと言い換えることができます。生産性とは、アウトプット(成果)をインプット(労働投入量)で割ったものなので、インプットのムダを省き、アウトプットを最大化すれば生産性が向上することになります。

つまり生産性を上げるためには、まずオフィスワークにおけるムダを省き、次にムダを省くことによって生み出されたインプットを活用して成果の質を高めていく、ということが求められます。

オフィスに求められる役割

では、次にオフィスワークにおける生産活動について考えてみましょう。オフィスワーカーにおけるアウトプット(成果)は、端的に言えば「情報」です。オフィスワークでは、入手した情報に対して何らかのアクションを行い、別の価値ある形に加工して発信する、という一連のプロセスの繰り返しです。官公庁のオフィスには、データや申請書、先進事例、あるいは聞き取り、相談記録のような形まで、さまざまな形で情報が入ってきます。職員はそれらの情報を分析したり、加工したり、処理したりというアクションを行い、政策の立案や行政サービスの提供といった形で発信します。この一連のプロセスにおいて、いかにムダを省いてスピードアップを行うか、そしてその結果を品質の向上に活かすことができるか、ということが「働き方改革」を実現するオフィスには求められます。

オフィスにおけるムダの削減

生産性向上のための最初のステップは、まずムダを省くことです。オフィスには、さまざまなムダがあります。例えば、デスクの上に積み上げられたファイルや書類の山。本当にそれはすべて必要なものでしょうか?そのデスクを使用している本人はどのあたりにどんな書類があるかを把握しているとしても、他の職員にはそこにどんな情報が眠っているのか知ることすらできません。共有されない情報は、ないのと同じです。また、形骸化した会議の開催は慢性的な会議室不足を引き起こしますが、本当にその会議は必要でしょうか?紙の資料は全員に配布する必要があるでしょうか?これらのムダは、すべて時間のムダにつながっています。また、これらのムダを省くことによって、書庫や会議スペースがスリム化され、デッドスペースがなくなります。

オフィスにおける業務品質向上

オフィスのムダをなくしたら、次に考えることは業務品質の向上です。オフィスワーカーにおけるアウトプットは『情報』です。最終的な『情報』の質を高めるためには、いかに多くの情報を取り入れ、新しい刺激を得られるかが重要になります。言い換えると、自分の中にある知識や経験だけでなく、庁内外のさまざまな人々の知識や経験を日常的に得られるようにし、そしてそれらを理解して試し、自分のものにできるような空間にしなければならない、ということです。ムダを省いて生み出されたスペースを活用し、部門を横断するコミュニケ―ションが日常的に行われ、集中して思考したり作業したりできるスペースを整備することで、業務品質の向上を図ることができます。

(作成/官公庁ソリューション部 チーフコンサルタント 八上)

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