仕事のプロ

2017.06.13

日本人がグローバルに活躍するためには〈後編〉

和の心と洋のロジックを併せ持つことで、最強の企業を築ける

海外赴任や、外国籍スタッフのマネジメントなどの機会が増え、グローバル社会での対応が求められるようになってきた。パナソニックにおいて、主任、課長、グループ会社の副社長などを歴任し、多国籍のスタッフで構成されるチームづくりなどのマネジメントも数多く経験してきた米山不器氏に、グローバル社会で求められる「リーダーの条件」や「世界で戦う日本企業に必要なこと」などをお聞きした。


欧米の合理性を取り入れ、日本の強みを活かせば、
世界で戦える企業になれる

日本企業が競争力を高め、世界で他社と互角に戦っていくためには、「和と洋を融合した新たなスタイル」だと米山氏は断言する。

「多くの外国人が認めているように、日本には素晴らしい競争資源があります。それは、細部まで手を抜かない品質の高い仕事ぶりだったり、相手のことを考えつくしたサービス精神だったり。その良い例が、おもてなしの心やトヨタのものづくりです。だから、高いお金を払っても日本のサービスや製品を買ってもらえるのです」

「一方で欧米企業に学べるところも多く、例えば合理性に代表される戦略やロジック、さらに暗黙知を形式知にすることで学習期間を短縮できるノウハウなどがあります。日本企業が国際競争力をさらに高めるためには、和の心(こだわりやサービス精神)に、洋のロジックを取り入れて、両方のいいとこどりをすればいいと思います」

つまりは戦略的なシステムで、ノウハウやベストプラクティスをマニュアル化し、それを日本的なサービス精神、品質へのこだわりをもって現場に徹底すれば、海外企業にはできない製品やサービスをつくりだせる最強の企業になれると、米山氏は熱く語ってくれた。



現状に満足することなく
つねに貪欲であれ

米山氏は最後に、これからグローバル社会に飛び出そうするビジネスパーソンに向けて、こういうメッセージで締めくくってくれた。

「自分の殻を破って、ぜひ野心と好奇心を持って取り組んでほしい。スティーブ・ジョ
ブズがスタンフォード大学で、語ったスピーチ"Stay hungry,stay foolish"という有名な言葉があります。現状に満足せずに、そして知ったかぶりをせず、つねに貪欲であれ。そうすれば、新たな発見が可能に。私も、もがき悩んできましたが、今までやってきたことは今のキャリアに本当に役に立っています。ぜひ、新たな世界に向けて一歩を踏み出してみてください」


米山 不器(Yoneyama Fuki )

1979年松下電器産業株式会社(現在パナソニック株式会社)に入社。国内営業、コロンビア大学MBA留学、米国合弁会社の設立、米国の現地経営責任者、欧米企業のM&A、海外営業などに従事。その間に、アメリカには7年間駐在。その後。2008年アメリカの計測器メーカーにヘッドハントされ、日本法人社長に就任。2016年からは韓国の事業責任者を兼務し、日韓の計測器販売の責任を持つ。業績を立て直し、2017年1月に退職。2017年2月から医療カメラやスマートフォンなどに搭載されているCCDやC-MOSセンサーの検査装置の世界トップメーカーである株式会社インターアクション社にて執行役員としてリーダーの育成に取り組んでいる。

文/西谷忠和 撮影/ヤマグチイッキ