仕事のプロ
プライベートな時間の考え方しだいでキャリアがもっと豊かになる
キャリアを考える:プライベートも含めた人生そのものを楽しむには

キャリアは人生そのものだと言っても、やはり仕事と関連づけて考えがちで、プライベートでの経験を軽視しがちだ。キャリアを考える連載9回目では、プライベートにおけるキャリアに注目。いかに日常的な経験をキャリア形成に活かしていくかにフォーカスして、コクヨのキャリアコンサルタントの阿部みどりが語る。
プライベートは自分の「好き」を大切にする時間
仕事では、自分の好きなことや興味の範囲外のことにもチャレンジできるので、キャリアを「拡げる」機会になりやすいというメリットがあります。一方でプライベートでは、自分がやりたいと思うことを最優先できるので、自分の関心事を「深める」機会になります。 ただ、生活の中では、家事や家族のケアなど、自分のことだけにかまけていられない人もいるでしょう。私もその一人です。現在子育て中なので、プライベートでは子どもの学校行事やPTA、部活の付き添いにほとんどの時間を費やしています。この時間は「自分の関心事を深める時間」ではありませんが、私はその役割を楽しんでいます。 プライベートの活動には義務もなければ、決められた目標もありません。楽しもうと思えばとことん楽しめるし、嫌だったらやらなければいい。つらくなったら逃げるという選択もあります。自分で好きに選択したり追求したりできるのが、プライベートの良い点です。 家族のため、生活のためにやらざるを得ない場合もあると思いますが、自分で決められる範囲も広く選択する自由もあるので、少しでも自分の「好き」や「興味」に寄せていく工夫もできます。そうした工夫をしているうちに、何を大事にしているか、何にこだわっているかが見えてくることもあります。 義務や目標がないプライベートの活動では、やる・やらないを決めるのは「熱量」に左右されます。例えば、それが読書なのか、掃除なのか、子どもの部活の応援なのか、地域ボランティアなのか。自分が熱量高く取り組める行動が何かを意識してみると、自分の興味関心や得意なことが見えてくるはずです。 自分はどんなことが好きで、何に興味があるのか。何をすることは苦にならないのか。普段プライベートでやっている行動を「意識」してみてください。時間を忘れて集中していることや、単純に好きなこと、興味があることにアンテナを立てて生活してみると、自己理解が進むはずです。
年に一度は振り返ることで、自分の成長に気づく機会に
今は取り立てた趣味がない、興味のあることが見つかっていないという人でも、「探そう」という意識を持って過ごしていれば、それがキャリア形成につながっていきます。キャリアにおいて「何かを探している段階」にあることは、決してマイナスではありません。日々起こる出来事の中に、新たなキャリアを築くきっかけがあるはずです。
ただ、常に意識し続けるのも難しいので、例えば一年に一度、「何をしている時が楽しかったか」「どの時間が好きだったか」と、振り返ってみることをオススメします。楽しいことや好きなことをしている時間は、自分にとって心地よい時間なので、なかなか振り返りませんが、そうしたポジティブな感情の時でも振り返ることは重要です。「この経験が自分の力になっている」「このおかげで交友関係が広がった」など、自分のキャリアにおける大切な財産に気づけるはずです。
一方で、楽しかったことが見つからないという場合は、「何をしているとつまらないか」を考えてみることも効果的です。ワクワクすることを探さなければと思うと疲れてしまうなら、嫌な時間を減らすことに焦点を当ててみてください。
キャリアとは人生そのもの。物事をプラスに捉えたり、楽しもうとすることで、あなたの人生はもっとハッピーになるはず。また、ネガティブな要素をできるだけ減らすことでも、もっと楽に生きられる・・・。それを実践できれば、人生100年時代はより豊かになるはずです。