仕事のプロ
2020.12.11
組織の「心理的安全性」を高めるために〈後編〉
リーダーが身につけるべきスキルとは
近年、「心理的安全性」というキーワードがビジネスシーンで注目されている。組織やチーム内の心理的安全性が担保されることによって、メンバーが安心してハイリスクなチャレンジができるようになり、生産性向上につながると考えられるからだ。後編では、心理的安全性を高めるためにリーダーが取り組むべき具体的なアクションについて、コクヨ株式会社ワークスタイルイノベーション部コンサルタントの立花保昭が解説する。
ポイント3:ほめる時と場所を選ぶと効果倍増
ほめるシチュエーションによっても、メンバーの満足度を大きく上げることができます。効果的なのは次の3つのシチュエーションです。 ・相手を直接ほめる ・他のメンバーの前でほめる ・本人がいないところでほめる ほめるときは、相手に直接伝えるのが基本です。ちょっとしたほめポイントでも、思いついたらSNSやチャットなどでメッセージを送りましょう。 さらに、例えばチームミーティングのときに、メンバー全員に共有できる形でほめてみてはどうでしょうか。 ほめられた人はもちろんうれしく感じるでしょうし、ほかのメンバーも「リーダーは結果だけでなくプロセスも評価してくれるんだ」などと気づき、チームの中に心理的安全性が生まれます。 また、本人がいない場で「彼は本当によく頑張っていますよね」などとほめるのも効果的です。リーダーの発言が回り回ってその人に伝われば、その人のうれしさは格別でしょう。リーダーのスキルは学んで身につける
近年、管理職やリーダーは、子育て中や介護中、外国人など多様なワーカーをチームとしてまとめ、成果を上げていくことが求められています。そのため、リーダーにはさまざまなスキルが求められています。しかし多くのリーダーは、優秀なプレイヤーを経てマネージャー職に就いた人が多いこともあり、スキル習得の重要性に気づいていないケースもみられます。 そして、「自分はマネジメントができているのに、メンバーのスキルが追いついていない」と考えている人もいます。 しかし、自分にマネジメントスキルが不足していることに気づき、自ら学び始めている人も確実に存在します。一歩ずつの学びでも、時間を経ればそれは大きな差となって現れます。 例えば私自身も、初めて「ネガポジ変換」について学んだときは、ネガティブワードをポジティブに言い換える言葉がまったく思い浮かびませんでした。それでも1週間ほど、1日10分ずつ時間をとって練習したら、すぐにできるようになりました。 学んだことを実践し、失敗したらうまくいかない理由を考え、時には周囲のアドバイスをもらい、もう一度トライする。その繰り返しによって、確実にスキルは伸ばせます。リーダーの皆さんの毎日のちょっとした努力によってチームの心理的安全性は高くなっていきます。その上で社員の「挑戦の場」をつくり、組織全体の生産性を上げる取組みを実施していきましょう。 【関連記事】 〈前編〉 組織の「心理的安全性」を高めるために 安心感がパフォーマンスを最大化する立花 保昭(Tachibana Yasuaki)
コクヨ株式会社ワークスタイルイノベーション部 ワークスタイルコンサルタント/1級ファイリング・デザイナー/オフィスセキュリティコーディネータ
1990年コクヨ入社。出向した総合商社での大手流通業向け中国製品の開発・輸入・販売、コクヨでの開発営業、及び上海でのカタログ通販ビジネス立ち上げ等の経験を生かし、現在は企業向けの働き方改革の制度・仕組みづくり、意識改革・スキルアップ研修などをサポート。