HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 働き方用語辞典 「近接性バイアス」
2024.2. 5[ その他 ]
「近接性バイアス」とは、対面で会う機会が多かったり、接触時間の長い人や自分と関係の近い人、以前からの顔見知りの人などにより好感を持ち、無意識に高く評価する一方、接触機会の少ない人を低く評価してしまう現象です。
ビジネスシーンにおいては、経営層と近い座席にいたり、話す頻度が多い人が評価されやすい、といった現象として知られています。近年、新しいパターンの近接性バイアスとして世界的に注目されているのは、ハイブリッドワークやABWといった柔軟な働き方の浸透による影響です。
コロナ禍では多くの人が在宅勤務を経験し、制度も整備されましたが、アフターコロナでオフィス回帰が進んだことで、ハイドブリッドワーク出社組と在宅勤務組が生まれました。その結果、出社が多い上司が、介護や育児などやむを得ない理由で在宅勤務を選択する社員より、出社する社員を優遇してしまう近接性バイアスが発生しやすい状況が起きています。
物理的な距離や座席が近い、話す機会が多い社員に好感を持つ
上司や評価者が出社型の場合、接触機会の低い在宅勤務の社員よりも、出社型の社員の方に好感を持つ
アメリカの人材マネジメント関連団体「Society for Human Resource Management」が、2021年に800人以上の管理職を対象に、近接性バイアスに関する調査を実施し、以下のような結果が報告されています。
<管理職>
<リモートワーク社員>
この調査では、上司のリモートワーカーへの感じ方が業務分担やキャリアにも影響を与える可能性があること、リモートワーク社員がそれらに懸念を持っている様子がうかがえます。
経営層やリーダーが積極的にリモートワークを行い、在宅勤務しやすい環境を作ることで出社社員とリモートワーク社員の隔たり減らす
リモートワーカーとオフィス勤務者の全員が会議に参加できるように、在宅勤務者がいる場合はオンライン会議で行うようにする
心理的要因や人間関係、労働時間などの要素は払拭し、業績や数値、実績などで社員を公平に評価するようにする
日常会話や相談事のようなカジュアルなコミュニケーションを設定し、日々の勤務状況を把握したり信頼関係を構築する
社員が近接性バイアスによる不公平さを感じることは、モチベーションや生産性の低下、離職率の上昇など企業にとってもデメリットとなります。会社で研修を取り入れ、リスクや対策を認識させるのもひとつの手でしょう。
ネガティブな面が注目されがちな近接性バイアスですが、心理を利用してチーム組成時にメンバーと小さな接触機会を積み重ねてチームビルディングにつなげたり、よく見かける商品が買われやすいといったマーケティング手法にも活用されています。
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