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働き方用語辞典 「サーバントリーダーシップ」

公開日:2025.1.23

執筆:コクヨコラム編集部

#コミュニケーション #トレンド #働き方用語辞典

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働き方用語辞典 「サーバントリーダーシップ」

サーバントリーダーシップ

奉仕や支援によってメンバーを導くという基本概念のもと、メンバーの声に耳を傾け能力を尊重しながら、成長を促すリーダーシップ

「サーバントリーダーシップ」とは、リーダーがメンバーに寄り添い耳を傾け「奉仕」することで、社員の成長や成功をサポートし、目標に向かって導いていく支援型リーダーシップのことです。1970年にアメリカのロバート・グリーンリーフが提唱したリーダーシップ哲学です。

「サーバント(servant)」は、英語で使用人、奉仕者という意味を持つため、「部下の言いなりになる」と誤解されがちです。しかし、サーバントリーダーシップにおいてのリーダーは、方向性をしっかり定めた上で、「奉仕」によってメンバーを支援することが重要な役割となります。

従来のリーダーシップとの違い
サーバントリーダーシップは、上司が部下を統制する従来の支配型リーダーシップとは対極の概念と言えます。

支配型リーダーシップ:上司が部下に対して一方的に指示や命令を行いチームを統率するトップダウン方式の手法

・メンバーの行動:受動的、恐れや義務感で動く、役割や指示内容に集中、リーダーへの信用は高くない、自己中心的な姿勢

サーバントリーダーシップ:上司がメンバーの能力を肯定し、それぞれの個性を引き出しながら成長へ導く手法

・メンバーの行動:自律的・主体的に動く、リーダーのビジョンを意識、リーダーへの信用は高い、周囲に役立とうとする姿勢

出典:NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」

サーバントリーダーシップの特性
NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」によると、サーバントリーダーは大きく10種類の特性に分けることができます。

・傾聴
メンバーの言葉だけでなく、内面の声にもしっかり耳を傾けるスキル

・共感
メンバーの気持ちを理解し、共感するスキル

・癒し
メンバーを配慮し、傷や不安を癒して安心感を与えるスキル

・気づき
視野を広く持ち、常に変化や様々な状況を意識し本質を見極めるスキル

・説得
服従させることなく、同意を得ながら説得するスキル

・概念化
組織やチームのビジョンを明確化し、それをメンバーに伝えるスキル

・先見力、予見力
過去のできごとから未来に起こりうる事柄を予測するスキル

・執事役
メンバーの利益を優先に考え、献身的にサポートできるスキル

・人々の成長に関わる
メンバーの価値や特性を尊重し、育成するスキル

・コミュニティづくり
それぞれが協力しあい、共に成長できるコミュニティを形成するスキル

サーバントリーダーシップのメリット
・コミュニケーションの円滑化
一方的な指示ではなく、頻繁に対話しメンバーの意見を受け入れる環境をつくることで、信頼関係が生まれるだけでなく、発言しやすい雰囲気が醸成されメンバー同士のコミュニケーションも活発になる

・モチベーションの向上
リーダーがメンバーの個性や自主性を尊重するため、仕事へのパフォーマンスが高まり、さらにチームや組織の居心地の良さから会社へのエンゲージメントも高まる

・能動的な行動を取る
リーダーの奉仕によりメンバーは自信がつき、常にビジョンを意識しながらリーダーや組織のために自発的に動くようになる

サーバントリーダーシップのデメリット
・方向性の調整が難しい
メンバーそれぞれの意見や価値観を尊重するため、様々なアイデアが生まれやすく、意思決定に時間がかかるだけでなく、混乱を招いたりプロジェクトの進捗に遅れが生じるリスクがある

・不向きなメンバーもいる
メンバーの自主性を大切にすることから、自己解決能力が低かったり、経験が浅く知識が不足している人は適しておらず、結果が出にくいこともある

メンバーの成長や成功を優先に考えサポートするのがサーバントリーダーシップですが、何でも代わりにしてあげたり解決したり、奉仕するだけで終わってしまっては意味がありません。経験や能力を問わず誰もが自主的に行動できるよう、リーダーはメンバーの特性によってコーチングやメンタリングを変えるなど、人材育成のスキルを身に付ける必要があります。

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