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熊本県庁 新館リニューアル

風通しの良い職場で職員の働きやすさと創造力を向上

オフィス改革

Point1
デジタルへの対応とペーパーレスの促進
Point2
コミュニケーションを促進する職場づくり
Point3
有事の際も柔軟に対応できる環境整備

名称熊本県庁 新館リニューアル

完成年月

完成年月
令和6年3月

対象面積

対象面積
7,600

対象人数

対象面積
1,100

自治体規模

自治体規模
170万

建築種類

建築種類
改修

熊本県は、職員の勤務環境の改善を通じた業務の効率化や生産性の向上を目指し、「デジタル社会やポストコロナにおける働き方改革に向けた勤務環境改善方針」を策定。具体的な方針として、「デジタル時代に応じた働き方やペーパーレス化に対応した環境整備」、「コミュニケーションの促進を通じて成果を高める職場づくり」、「災害や感染症といった危機にも柔軟に対応できる環境整備」を掲げました。

令和4年4月には、デジタル技術を活用し、柔軟で効率的な働き方を実現するために、デジタル戦略局(旧称:情報政策課)を設置し、パイロットオフィスを導入。フリーアドレスの導入に加え、無線LAN、PHS、ビジネスチャット機能、リモートアクセスやオンライン会議など、リモートワークの環境を整備し、庁内外の働く場所を選ばない働き方を推進しました。その結果、業務の効率化や生産性の向上、コミュニケーションの活性化、ペーパーレス化による印刷物の削減などの効果を確認。パイロットオフィスで実現した働き方を県庁全体に広げるべく、全体計画の策定と庁内の合意形成を進め、令和6年3月に約50部局1,100名が所属する新館の全面リニューアルを実施しました。

事例写真一覧Gallery

執務スペース

窓側と通路側のカーペットの色を各階ごとに変えることで、どこのフロアにいるか分かる工夫をしています。

執務スペース

1席に1台モニターを設置し、ペーパーレス化を推進しています。

執務スペース

執務デスクの天板は木目調で明るさと暖かさを感じられるようにしています。

執務スペース

執務チェアーはレッドとダークグレーの2色で「くまモン」をモチーフとしたコントラストのあるデザインにしています。

ミーティングエリア

フリーアドレス席の近くにミーティングエリアを設けました。タイムリーに打ち合わせをすることができます。

ミーティングエリア

ハイテーブルに大型モニターを設置し、立ちミーティングが可能なエリアを設けました。クイックに情報共有や相談をすることができます。

ミーティングエリア

気軽なコミュニケーションが進む三角形のテーブルを採用しました。斜めに向かい合う程よい距離感が会話を促進します。

ミーティングルーム

さまざまなシーンに対応できるよう、キャスター付きのテーブルを採用しました。人数に応じて気軽にレイアウトを変更することができます。

コワーキングスペース

出張者などの庁外職員のテレワーク利用や、個人の集中作業スペースとして利用できるようにしています。

コワーキングスペース

レイアウト変更にも柔軟に対応できる可動式のテーブルを採用しています。

インタビューInterview

熊本県知事 木村 敬 氏

「最大の理由は、働き方改革を進めるためです。県庁職員が抱える負担は、精神的にも肉体的にも決して小さなものではありません。特に災害時には時間外勤務を含めて、その負担は非常に大きなものとなります。だからこそ、平時から少しでも働きやすい環境を整えておかなければ、職員のなり手がどんどん減ってしまうのではないか。少子化による人手不足が深刻化するなかで、そんな強い危機感がありました。

コロナ禍による働き方の変化も、きっかけのひとつです。特に私が副知事として着任した令和2年は、まさにコロナ禍の真っ只中。多くの民間企業が、テレワークの導入を急いでいた時期です。ところが、県庁でのテレワークの実施は、設備的にも制度的にもなかなかスムーズには進みませんでした。働き方改革の必要性を痛感したできごとです。」

「一方で、オフィスリニューアルを契機として、県庁のデジタル化を加速したいという狙いもありました。熊本県では世界的な半導体メーカーの誘致を実現させましたが、今後もここ熊本から新たな産業を生み出し続けていくためには、県全体としてさまざまなデータを集約・活用していかなければなりません。その第一歩として、まずは県庁のデジタル化を促進するためにも、オフィスリニューアルは有効な施策だと考えています。」

「まずはシンプルに、職場が明るくなりましたね。家具だけでなく、内装も含めてオフィスのデザインが一新されたことで、職員の意識にもポジティブな変化が起きています。具体的には、コミュニケーションが活性化し、ちょっとした相談事がしやすくなりました。ひらかれた職場環境の実現に向けて、一歩前進したと感じています。

フリーアドレス化による恩恵も、非常に大きいと思います。誰かに相談したいときや、簡単な打ち合わせをしたいときに、必要な人数でさっと集まることができる。ある種の「アジャイルな空間」ができつつあります。

またフリーアドレス化によって「誰がどんな仕事をしているのか」も格段に見えやすくなりました。そうすると、職員一人ひとりが業務を抱え込まなくなります。困難な仕事は自然と分担して進めるようになりますし、何よりも「誰か一人に業務が集中してしまう」といった事態を避けられるようになりました。

さらにオープンスペースが増えたことで、職員同士はもちろん民間企業や県民の方々といった来庁者のみなさまとのコミュニケーションも活発になってきました。これを機に、さまざまなステークホルダーとともに、熊本県が一丸となって新たな価値を「共創」していければと考えています。

改めて今回のオフィスリニューアルは、「共創」を促進し、創造的な働き方を実現することを通じて本県の魅力をさらに高める、重要な取り組みであると位置づけています。」

「仕事の進め方には、まだまだ効率化の余地があると感じています。たとえば今は、現場の視察などを行った後はほとんどの場合、オフィスに戻って書類仕事をしなければなりません。けれど書類のクラウド管理が進めば、必要書類は移動中の車内などで作成して、オフィスには戻らずそのまま直帰する、といった働き方も可能になるはずです。

また今回のリニューアルによって無線LAN環境も充実したので、これまで対面で実施していた本庁と出先機関の打ち合わせなどは、WEB会議に置きかえられるものも多いはずです。住民のみなさまとのコミュニケーションも含めて、リアルとオンラインを上手に使い分けていければと思っています。」

「世間では「オフィス回帰」という言葉も耳にするようになりましたが、私たちの場合は、まだまだオフィスで働くことが当たり前の状況です。そのためまずは「テレワークという選択肢もあるよ」と言える体制を、ソフト面でもハード面でも整えていかなければならないと感じています。

それと並行して「オフィスならではの価値」もしっかりと提供していきたいですね。心理的安全性も考慮された環境で、執務に集中できる。快適なオンライン環境のもと、大人数のWEB会議もスムーズに実施できる。隣にいる仲間と相談しながら、新たなアイデアを生み出せる。そしてそれらの空間を、自由に使い分けることができる。そんなオフィスを整えることで、職員一人ひとりの創造性を、さらに引き出せればと思っています。」

「今回のリニューアルでは、無線LANやPHSの導入、モニターの配備といったデジタル化施策も合わせて進めたことで、業務効率は間違いなく向上しました。ただ、それはあくまでも目的ではなく手段です。いま流行りのAIにしてもそうですが、大切なのは定型業務の負担を削減することで、職員一人ひとりがより創造的な仕事に打ち込める環境をつくることだと考えています。

実際にここのところ「お!」と思わせるような面白い提案をしてくる職員が増えているんです。これもオフィスリニューアルの効果なのかなと思います。やっぱり毎日同じ場所で同じ顔ぶれと仕事をしているよりも、さまざまな人と自由に会話ができる環境の方が、アイデアが生まれやすくなりますからね。伸び伸びと創造性を発揮するためには、心理的にも物理的にもある種の「余白」が必要なのだと実感しています。」

また今回のオフィスリニューアルは、職員だけではなく県民のみなさまにとっても意義のあるものになると考えています。誰もが安心して笑顔で暮らしながら、持続的で活力あふれる熊本の未来をともに創り、地方創生の完成形を目指す。そんな「県民が主人公の県政」を実現するための基盤を整備できたと感じています。

ライフスタイルや価値観の多様化にともない、今後はますます働き方にも多様性が求められるようになっていくでしょう。だからこそ、職員一人ひとりが育児や介護といったライフイベントにあわせて、時間や場所にとらわれず柔軟に働ける環境を、県庁が率先して構築することが重要と考えています。フリーアドレスの導入をはじめとした今回のリニューアルは、その第一歩です。

その日の業務内容に応じて執務環境を自由に選びながら、職員が主体的に働き、県全体の行政サービスの質と生産性の向上につなげていく。世界に通用するそんな魅力的な執務環境を、職員に、さらには熊本県庁を志す学生や志望者に提供していきたいと考えています。

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熊本県|職員の働きやすさと創造力の向上を目指して

この資料でわかること

  • 働き方改革の背景とオフィス改革の狙い
  • パイロットオフィスから全庁展開へのポイント
  • オフィス改革に対する職員の声
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コクヨ担当者Comment

熊本県様では、デジタル戦略局でのパイロットオフィスの取り組みを経て、約1,100名規模の新館リニューアルに着手しました。設計から導入までわずか6ヶ月という短期間で遂行された本取り組みは、これまでにない大胆な変革に挑戦するものとなりました。

具体的には、自席を廃止しフリーアドレスを導入、執務デスクは所属職員の8割程度に削減しました。文書についてもペーパーレスを推進し、従前の5割程度に削減、スペースの効率的な活用を目指しました。オフィスの基本方針を検討する過程では、各部局の特性にも十分配慮しながら、設計を進めました。導入後は、各部局で運用の工夫を重ねられ、新たな働き方への変化が起きてきています。

今回、デジタル化の取り組みと連携しながら、オフィス環境の刷新を図ったことで、業務効率の向上とコミュニケーション活性化に繋がったのではないかと思っています。こうした熊本県様の先進的な取り組みは、デジタル化とオフィス革新の好循環を生み出す事例として、現在オフィス改革を模索されている自治体にとっても参考になるのではないかと思います。

コクヨ

田中 経介

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