仕事のプロ
2013.11.22
後に続く若い人のロールモデルになりたい
Vol.7 アンテナを張って周りの技を吸収!
株式会社ポイント ジーナシス・ハレ営業部
ジーナシス シニアマネジャー
坪谷佳子さん
株式会社ポイントのブランド「ジーナシス」営業部に配属後、店長、エリアマネジャーを経て、2011年3月から現職。2012年に産休・育休から復職。1歳の女児を持つワーキングマザー。
インタビューアー/WorMo’編集長 河内律子(3歳児のワーキングマザー)
- いろいろな手段で 情報を吸収しながら統括力を高める
- ――坪谷さんは、「ジーナシス」全店舗のシニアマネジャーとして、運営・販売を統括していらっしゃるんですね。
- 入社9年目からシニアマネジャーを務めています。弊社の他ブランドに所属しているシニアマネジャーと比べると、私は年齢も低いし、経験もまだまだ未熟だと思います。しかも育休からの復職後は、働ける時間も多くはありません。ですからスキルアップのために、周りのシニアマネジャーたちの仕事ぶりを観察して技を吸収しようと必死です。ロールモデルになりそうな人を見つけたら、1週間ぐらい張りついたりして。
- ――"張りつく"? どういうことですか?
- 文字通りその人に張りついて、近くで自分の仕事をしながら観察しています(笑)。
- ――どうして張りつこうと思ったんですか?
- シニアマネジャーに就いたばかりの頃、仕事のやり方で悩んでいたので、直属の上司に相談したんです。そしたら、「あの人のやり方を参考にしてみたら?」と、私が目指すべきシニアマネジャーの先輩を教えてくれました。だったらその先輩をじっくり観察して、真似するのが一番だ、と考え始めました(笑)。弊社では、基本、席が固定ではなくフリーアドレスなので、近くの席に座って"張りつき"ができるんです。その先輩が他のスタッフとやりとりする会話に聞き耳を立ててマネジメントスキルを学んだり、作成した資料を共有してもらい集計方法を参考にしたり。他にも、休憩室でシニアマネジャーをつかまえて情報交換したり、他ブランドの会議に参加させてもらったりもしています。
- ――そこまでなさってるんですか!? 例えば会議ではどんなことを吸収していますか?
- 「部下たちに運営の方向性をどう伝えるか」「次期の年間計画をどう立てているか」など、いろいろな情報をキャッチして自分の引き出しを増やしています。それと、目標としているシニアマネジャーのもとで仕事をする全国のエリアマネジャーや、各店舗の店長たちの発言にも注目しますね。
- ――坪谷さんも、エリアマネジャーや店長を束ねる立場ですよね。
- はい。部下と同期入社の社員を見て、「あんなに成長したんだ。私の部下ももっと伸ばしてあげたい」なんて考えることもあります。
- ――部下の育成という面で、心がけていることはありますか?
- 部下の興味がどこにあるのかを聞き出して、関連のある業務を任せるようにしています。業務中はなかなか時間が取れないので、部下と話をしたい時はランチタイムを有効活用していますね。産休前から私の業務を直属の部下たちに振り分けているのですが、ただ手伝ってもらうのではなく、ある程度責任を持たせることで、部下一人ひとりの成長につなげられればと思っています。将来、部下たちが他の事業部に異動した時にも、評価される人材になってほしいので。
- ――そこは、シニアマネジャーとしてのやりがいに関わるところですよね。部下からプライベートな相談を持ちかけられることもありますか?
- そうですね。弊社の福利厚生の制度は整っていますが、独身の社員はやはり結婚や出産への不安があるようです。ブランド内の人材サポーター的な役割も担っていることもあり、よく相談は受けますね。
- ――責任ある立場と育児を両立していらっしゃる坪谷さんだから、部下の方たちも聞きたいことがたくさんあるのでしょうね。
- 自分の経験に加え、育休中からママ友と接するようになったことで「育児や仕事に対する価値観は様々だし、家庭ごとに事情も違うんだな」と実感しています。その感覚も踏まえながら、今までより部下の心に寄り添うアドバイスを送れるようになったかな、と思っています。後輩たちが未来を描けるように、私自身もよいモデルケースになりたいです。
- facebookで社内の ワーキングマザーと交流
- ――坪谷さんは、目標となりそうな人に張りついたり、会議に参加したり、部下とひんぱんに話をしたりして、リアルの場をとても大切になさっているんですね。
- 復職したばかりの頃は、比較的時間に余裕がありました。昇格後すぐに産休・育休に入ってしまったので、その時間を有効に使ってシニアマネジャーとしてスキルアップをしたいと思い、張りつきや会議参加をしました。そう考えると、確かにフェイス・トゥ・フェイスは意識していますね。メールで済む用件でも、顔を合わせて話すことで「あ、そういえば...」と余談の中でいい情報をもらえることが結構多いですので。でも、直接会って話す以外のネットワークも活用していますよ。
- ――それはどんな形で?
- 弊社にはワーキングマザーのコミュニケーションを活性化させるためのFacebookグループがあるんです。出産後に友達リクエストのメールが届き、メンバーの一員に。社内に同じ立場の仲間がいると心強いですよ。メンバーは80人ぐらいで、育児の悩みを相談し合ったり、運動会シーズンには自作のキャラ弁写真をアップしあったりしています(笑)。
-
- ――職場だとこどもの話題を出しづらい時もありますが、そういうネットワークだと話しやすいですね。
- 先日は、たまたま訪れた他ブランドの店舗で、Facebookで相談をし合っていた仲間に初めて会うことができました。びっくりしましたが、うれしかったです。
- ――最後に、今後の目標や夢などがあればお教えください。
- 「ジーナシス」は20代前半をターゲットとするブランドで、私の実年齢とは合わなくなってきていますが(笑)、やはり好きなブランドなので今後もシニアマネジャーとして売上に貢献して、しっかり結果を残していきたいです。さらに「育児」という引き出しが増えて、ママ友と接することでお客様の気持ちなどもより理解できるようになりましたので、いつかはその経験も仕事に生かせればいいな、と思います。どんな形でなのかはまだ未知数ですが。
坪谷さんの1日
6:30 起床→朝食 7:30 家事・身じたく
(保育園の送りはご主人が担当)8:00 出勤
(朝の通勤はグリーン車などを利用して1日のスケジュールの確認をし、仕事モードにリセット)10:00~
16:30仕事 18:00 保育園のお迎え→帰宅→夕食→お風呂
(食器洗いや部屋の片づけはご主人が担当。坪谷さんは娘の世話に集中)19:00 帰宅→夕食→お風呂→娘と遊ぶ 21:00 娘を寝かしつける→家事 24:00 就寝
取材を終えて
門前の小僧・・・ならぬ隣りの坪谷さん。目指す人のやり方を間近で確認・吸収するのは、とても効率的で効果的です。仕事別に、張り付く人を変えることもいいですね。資料の作り方はあの人、コミュニケーションはこの人とか...。ある程度社歴を重ねると、自分のやり方が確立してしまっていることもありますが、柔軟に人のよいところを取り入れる姿勢は私もぜひ真似したいです。(河内)
文/横堀夏代 撮影/野村一磨