仕事のプロ

2016.04.06

「仕事」がなくなるその前に身につけるべきスキルとは?〈前編〉

“創造的な仕事”ができる人材への道を切り開く

“A World Without Work”、仕事のない世界。米誌『ATLANTIC』2015年7・8月号の表紙を飾ったこの言葉は、近い将来、現実となるかもしれない。私たちは今、従来の仕事や働き方を根本から見直し、転換する岐路に立っている。これからの時代に求められるスキルや人材像、そしてそのための学びについて、知識リーダーシップ総合研究所の紺野登先生に伺った。

偉人やメンターに学び
"目的思考"を実践せよ

では、構想する力を習得するためには、どうすればいいのか。紺野先生は、先人に学ぶ、メンターを見つける、実践する、の3つの方法を提案する。

「まずは、偉人伝などを読みあさり、先人や伝統に学ぶことです。古代アテネの賢者ペリクレス、イギリス元首相のチャーチル、日本人なら福沢諭吉など、歴史にイノベーションを起こしてきた人物の思考や生き様から学ぶことは多くあります。既存の概念や常識を覆す発想の転換、そして、アイデアを実際の行動に移し、仕組みづくりを進めていった術などに注目してみてください。

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次に、身近にメンターを見つけること。観察したり相談したりしているうちに、その人の行動や思考のパターンが自分の中に根づいていきます。何か壁にぶち当たったときには、あの人ならどうするだろうか、きっとこうするだろうと、活路が見いだせるようになるでしょう。メンターは、自分より年長者である必要はありません。若い人から学ぶことも、多くあるはずです。


そして最後は、目的思考を実践してみること。例えば、何かのプロジェクトを始める際には、最初にメンバー全員でその目的をとことん追究します。究極の目的を見いだした後に、それを達成するための具体的な手段を考えていきます。試行錯誤なくしては、構想する力を磨くことはできません」

紺野先生は、実践において重要なのは、「大きな目的と自分が今やっていることをどう結びつけるか」だと述べる。その結びつきの強弱で、目的の達成度は大きく左右されるというのだ。
後編では"目的"について、さらに"学び"について、より詳しく語っていただく。(後編へ続く)

紺野 登 (Konno Noboru)

博士(経営情報)。多摩大学大学院教授(知識経営論)KIRO(知識イノベーション研究所)代表。一般社団法人Japan Innovation Network 代表理事、慶應義塾大学院SDM研究科特別招聘教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェロー、日建設計顧問。 都市開発プロジェクトやワークプレイス・デザインなどにかかわるとともに、FCAJ(Future Center Alliance Japan)では、数多くの企業が参加するコ・クリエーションの場をマネジメント。また、イノベーションに関する多くの書籍も出版している。

文/笹原風花 撮影/ヤマグチイッキ