コーチング
2017.01.18
部下の成長は、上司の器の大きさに比例する
コーチング6:自分の価値観の枠を広げ、部下を「承認」する
効果的な「ほめ方」「叱り方」の
コツを身につけよう
部下を承認するために大切なのは、「ほめ方」と「叱り方」。人間は脳の仕組みから、他人の欠点はすぐ見つけられますが、長所は意識しないと見つけられません。たとえば、テレビを見るときに司会者の魅力を10個挙げるなど、日頃から人の長所を見るクセをつけましょう。
「ほめる」とは、部下のよい点を評価し、強化するための働きかけ。次の3つがほめるコツです。
① 具体的にほめる→何がよかったのか、理由や根拠を明確に
② タイミングよくほめる→気付いたその場で、みんなの前で
③ 心をこめてほめる→言葉と感情と態度を合わせる
※本人がいなくても、他の人の前でその人のことをほめるのも効果的
もうひとつのポイントは、部下の「当たり前」をほめること。例えば、仕事の期限を守った部下にただ「ごくろうさま」と言うよりも「締め切り時間より○分も早く持ってきてくれて助かるよ」とほめると、次はもっと早くしようと自ら努力します。
一方、「叱る」とは相手に反省を促し、改善させるための働きかけ。「怒る」とは別物で、次の3つがポイントです。叱った後は、和やかな雰囲気で締めくくりましょう。
① 叱る理由、基準を明確に示す→気分で変えていると思われないように
② 1対1で叱る→個室など、周りの目が気にならない場所で(みんなの前で叱らない)
③ タイミングよく叱る→原則は当日に、端的に(5分以内)
部下を叱るとき、叱る内容も味方によっては長所(ほめる対象)になることも忘れないでください。たとえば「仕事が遅い」ということも、見方を変えれば「仕事が丁寧」ととらえることができます。短所と長所は表裏一体なのです。どちらにフォーカスするかは上司の味方次第なのです。
最後に、ほめるときと叱るときの注意点を。
ほめるときは、結果・行動より能力、さらに能力より存在をほめましょう。例えば報告書がよく書けていたときに「よく書けているね(結果)。君の文章力はすごいね(能力)。君に頼んでよかった(人格)」とほめるのが効果的。そうすると、部下自ら「もっと頑張ろう」と思えるのです。
逆に、叱るときは結果・や行動のみを指摘し、能力や人格には触れないこと。このほめる領域と叱る領域を間違えないことが大切です。
岩本 好之(Iwamoto Yoshiyuki)
大学卒業後、国内金融機関で営業、営業企画、IT、人事など幅広い領域で実務とマネジメントを経験。米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社で、数多くのシックスシグマ手法による問題解決プロジェクトの推進、成果実現、および人材育成に携わる。大手金融機関にスカウトされ、教育部門の責任者として全社的な経営品質改善活動の推進、経営戦略から見た教育ニーズの整理、および各種研修の企画立案、実施等に従事する。現在は、企業研修、セミナー講師として活躍。NLPマスタープラクティショナー、基礎心理カウンセラーの資格を有し、コーチング・カウンセリングにも取り組む。