コーチング
2017.03.29
「GROW」の手順で、部下がどんどん成長する
コーチング8:“成長”のステップを踏んで、コーチングを進める
現状と資源を把握し
ゴールとのギャップを埋めていく
ゴールが定まったら、次は現状を把握します。ここでは事実を客観的に、あるがままに見ることが大切。「現場に出向き」、「現物を実際に見聴きし」、「現実を知る」という3現主義を基本にしましょう。
さらに、部下は「これだけしかできていない」など、現状をネガティブに捉えがち。でも、上司は「ここまで、できている」というように、ポジティブにと捉えるよう心がけてください。
ゴールと現状が見えたら、2つのギャップが明らかになります。そこで、次はギャップを埋めるために、どんな資源が使えるのか、幅広い観点から探していきます。
「自分には何の知識も経験もない」と思っている部下も、実は多くの資源をもっています。上司は、部下がすでに持っている資源(経験、知識、人脈など)に気づかせることが重要です。
そして次は、ゴールと現状を埋めていく方法を決めます。その際、評価をせずに思いついたものを全部出しつくす「発散」と、そこから選択肢を絞り込む「収束」を分けて行うのがコツ。「これが使えそうだが、無理かも...」など発散と収束を同時に行わないよう、上司が誘導してください。収束の際は、「効果の大きさ」、「実施の容易度」という2軸で評価するのもひとつの手です。
しっかりと計画を立てることが
ゴール達成への近道
方法が決まったら、最後は意志をもった行動計画を立てましょう。計画は、次の「SMART」と呼ばれるチェック項目が有効です。
S= すべきことが具体的か
M= 達成度合いが測定可能か
A= 達成可能か
R= テーマに対して妥当性があるか
T= 達成期限が明確か
ただ、計画は遅れるケースがほとんど。常に進捗を確認し、計画とのズレを見つけてスケジュールを立て直す。これを繰り返せば、最小限の遅れで済みます。
先に述べたように、コーチングには部下との信頼関係と4つの基本スキル(傾聴、質問、承認、フィードバク)が必要です。GROWの手順も同様。信頼関係を築いたうえで傾聴や質問をしながらゴールを設定するなど、GROWの手順すべてに、信頼関係と4つの基本スキルが不可欠なのです。
岩本 好之(Iwamoto Yoshiyuki)
大学卒業後、国内金融機関で営業、営業企画、IT、人事など幅広い領域で実務とマネジメントを経験。米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社で、数多くのシックスシグマ手法による問題解決プロジェクトの推進、成果実現、および人材育成に携わる。大手金融機関にスカウトされ、教育部門の責任者として全社的な経営品質改善活動の推進、経営戦略から見た教育ニーズの整理、および各種研修の企画立案、実施等に従事する。現在は、企業研修、セミナー講師として活躍。NLPマスタープラクティショナー、基礎心理カウンセラーの資格を有し、コーチング・カウンセリングにも取り組む。