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アンガーマネジメント
2018.12.05
他人の怒りはいったん受け止めてから対処する
アンガーマネジメント6:事実と思い込みを分けながら話を聞く
逆ギレしても
事態は決して好転しない
今回は自分自身の怒りではなく、職場の上司や同僚から怒りをぶつけられたときの対処法について考えてみましょう。最悪なのが、売り言葉に買い言葉で怒りを爆発させてしまうパターンです。このリアクションだと、相手はますます怒りを募らせ、事態を悪化させるばかりです。
相手のペースに引きずられず、今回ご紹介する方法も取り入れて冷静に対処するよう心がけましょう。
相手の言い分を聞きながら
事実と思い込みを分類する
怒っている人は、次から次へと言葉をぶつけてくるものです。なぜなら怒りは、言葉にすることで弾みがつき、増幅しやすいものだからです。いちいちまともに受け止めていては、あなたまで怒りの感情に巻き込まれてしまいます。
怒りの連鎖反応を起こさずに相手の言い分に耳を傾けるテクニックとして、おすすめの方法があります。それは、「事実」と「思い込み」を分けることです。
たとえば「いつも勝手に仕事を進めるよね。ほかにも報告していないことがあるんでしょ?」と上司から言われたとします。この場合は、「今回は相談せず自己判断で進めた」が事実、「いつも勝手に進める」と「ほかにも報告していないことがある」が上司の思い込みです。事実に対しては耳を傾けるべきですが、思い込みに関しては、聞く必要はありません。「これは思い込みだな」と内心で思いながら聞いておけばいいのです。
事実と思い込みを分けることは、相手の言い分を客観的に判断しながら聞くことにつながります。客観的に耳を傾けることができれば、相手の言葉に過剰反応することがなくなるうえ、きつい物言いに傷つくことも避けられます。
相手の気が済むまで怒りを吐き出させてから
自分の思いを伝える
相手に怒りをひと通り吐き出させることも大切です。納得のいかないことを言われると、どうしても途中でさえぎりたくなりますが、まずは言い分を最後まで聞くことが大切です。言いたいことを出し切ることで、相手は納得感を得ることができます。怒りは多くのエネルギーを必要とするため、そこまで長くは続かないでしょう。
相手の言葉が一段落したところで、話を聞きながら分けておいた「事実」と「思い込み」をもう一度頭の中で整理してみましょう。そのうえで、「確かに自分がいけなかったな」と思ったところは素直に反省し、相手に伝えます。このプロセスによって、怒りの連鎖を避け、建設的な話し合いが可能になります。
相手の怒りに反応する形で逆ギレしても、自分の言い分が受け入れられることはありません。客観的なスタンスを心がけて怒りを受け止め、二次災害を防いでください。
安藤俊介(Ando Shunsuke)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アメリカでアンガーマネジメントを学び日本に導入した、アンガーマネジメントの第一人者。企業や官公庁、医療機関などでの講演・研修を通してアンガーマネジメントの普及に努める。『イライラしなくなるちょっとした習慣』(大和書房)、『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。著作は中国、台湾、韓国などでも翻訳され、累計30万部を超える。