仕事のプロ

2018.12.07

富士通初の公認パラレルワーカー

相乗効果を生む本業と複業の掛け合わせ

ワークスタイル変革から新規事業のアイデア創発、地域の産業開発など、企業や自治体のさまざまな問題をデザイン思考をベースとした「共創型ワークショップ」で解決している富士通の『HAB-YU platform(以下HAB-YU)』。その立ち上げから関わり、企画・運営などを手がけている同社のブランド・デザイン戦略統括部の高嶋大介氏。実は、この本業以外にも仕事を持ち、パラレルワーカーとしても活動している。複業を考えた理由や、そこから得られる効果など、詳しく聞いた。

『100人カイギ』のコミュニティ運営を通じて、
個人を変える活動にドライブをかける

街で働く100人の働き方を知ることを起点に人をつなげる『100人カイギ』というイベントがある。2016年に港区からスタートして、今では渋谷区や横浜市、千代田区、相模原市などで開催され、年内には新宿区、つくば市、平塚市でもはじまるなど、大きな拡がりをみせている。実はこのイベントも、高嶋氏個人の手によって始められたものだ。

「企業規模が大きくなればなるほど、社内には言葉を交わしたことがない人ばかり、フロアが違えば話す機会もない、なんてことがあたりまえ。オープンイノベーションといっても、結局は人と人のつながりです。だから『働く人同士がもっとわかりあえる機会』をつくろうと思い、企業の枠を超えて港区で働く面白い人たちを5人づつ紹介するトークイベント『100人カイギ』を立ち上げました」

現在『100人カイギ』は各エリアに在住する有志を中心に運営を委託しながら、これまで高嶋氏個人で行ってきたコミュニティのプラットフォーム運営をINTO THE FABRICに移管している。

「この活動を通じて、僕のネットワークが圧倒的に増えました。まだまだ拡げられる可能性があると思う一方で僕一人では限界があるとも思い、今後は組織で支えていけないか考えています。現在は、『100人カイギ』の運営をエリアの有志に任せることで、さらに拡げていく実験をしています。口コミで噂が広まり『100人カイギ』を開催したいというエリアも増えているので、今後は『100人カイギ』通じて、個人を変えていく取り組みにドライブをかけていきたいと思っています」

年功序列や終身雇用による安定が保証されない今、世の中で通用するキャリアは自らが外の世界に目を向けて、探しに行かなければならないのかもしれない。とはいえ、会社に縛られ、嫌な仕事も含めて与えられてきた時代から、自らアクションを起こし、やりたい仕事に取り組み、人生を楽しめる時代へと変わってきたのだ。

そのために、会社以外のつながりを増やし、自分のやりたいことを見つけて一歩を踏み出した高嶋氏のアクションは、きっと参考になるはずだ。

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高嶋 大介(Takashima Daisuke)

富士通株式会社 マーケティング戦略本部 ブランド・デザイン戦略統括部 エクスペリエンスデザイン部 デザインシンカー 。大学卒業後、大手ゼネコンにて現場管理や設計に従事。2005年富士通入社。ワークプレイスやショールームデザインを経て、共創の場である『HAB-YU』を軸に、企業のワークスタイル変革や自治体の将来ビジョン、地方創生のデザインコンサルティング、デザイン思考をベースとした人材育成などに従事。2016年4月には富士通にて副業を認められ、2017年6月に一般社団法人INTO THE FABRICを設立。代表理事として、イベントや対話の場を通じて、人の意識や行動を変える取り組みや、人をつなげる『100人カイギ』のコミュニティのプラットフォーム運営も行っている。

HAB-YU platform
『HAB-YU platform』は、富士通が企業や自治体などと新たな価値を開発・体験する<共創>の場として、2014年9月、アークヒルズサウスタワー(六本木)に立ち上げた。『HAB-YU』という名称は、人「Human」・地域「Area」・企業「Business」(=HAB)を多種多様な方法で「結う」(=YU)ことを意味し、それぞれが持っている課題・アイデア・技術を集め、「ほどく→結う→価値にする」ことを目指してつくられた。

文/西谷忠和 撮影/ヤマグチイッキ