PC仕事術
2019.08.02
個人でも今すぐはじめられる働き方改革
PC仕事術1:定型的な業務を効率化し、創造的な活動を増やす
働き方改革とは
時間の使い方を改革すること
ここ数年、「働き方改革」に取り組む企業が増えていますが、なぜ今、働き方を変える必要があるのでしょうか。
公益財団法人 日本生産性本部の発表によると、日本の1時間あたりの労働生産性は、1970年から50年近く、先進7か国の中で最下位。さらに、少子高齢化によって働き手の中心となる15~64歳の生産年齢人口も減少しています。加えて、2020年の東京オリンピック後は景気が後退し、企業間の価格競争の激化が予測されます。そのため、競合との差別化を図るとともに、働き方改革によって生産性を上げることが求められているのです。
働き方改革を行うには、まず「目指す姿(ワークビジョン)=ゴール」を定めることが重要です。そのうえで、ゴールに到達するための「ワークスタイル(働き方)」や「ワークプレイス(働く場所)」を決めていきます。ゴールを定めずに働き方改革を進めたり、オフィスを新しくしたりするケースも見られますが、それでは本質的な目的が抜け落ちてしまいます。
また、働き方改革において要となるのが、時間の使い方の改革です。とはいえ、企業の目的は単に作業の効率化を図って残業を減らすことではありません。大切なのは、情報共有のみの会議や資料作成といった「定型的ワーク」を減らし、「知」を積み上げる会議など「創造的ワーク」を増やすことです。それが新しい製品やサービスの開発につながり、ひいては競合との差別化につながるのです。
まずは個人の「定型的ワーク」の
効率化を始めよう
働き方改革の最大の目的は、時間の使い方を変えて生産性を上げ、最終的に「成果=企業の価値」を上げること。そのためには、以下の3つを変えることがポイントとなります。
① やる事……効率が上がることに取り組む
〈例〉毎週行う定例会議を隔週にする など
② やり方……より効果的なプロセスに転換する
〈例〉大人数で行っていたブレストを3人1組にして意見を出やすくする、
個人の業務の進め方を見直す など
③ やる力……1人ひとりのスキル・意識を向上させる
〈例〉ファシリテート技術を学びで実践する など
3つのうち、「①やる事」「②やり方」はすぐに変えられるものの、定例会議の変更などは管理職の判断による部分が大きいでしょう。また、「③やる力」を変えるには、特定のスキルを身につけたり、個人の意識を向上したりするためのトレーニングが必要となります。
しかし、「①やる事」「②やり方」は、チーム全体で変えていくものだけでなく、個人ですぐに変えられるものもあります。まずは、自分の業務の中で「定型的ワーク」のやり方を見直し、時間の使い方を改革していきましょう。一人ひとりの改革は小さなものかもしれませんが、その積み重ねがチーム全体の生産性を上げ、企業価値(成果)の向上を実現させるのです。
そこで今回は個人の「定型的ワーク」のなかでも、今すぐ実践できて、業務効率化に効果的なPCの活用術を紹介します。日々実践することで「定型的ワーク」の時間を短縮でき、「創造的ワーク」に費やす時間を増やすことができるでしょう。
また、今回紹介するPC術は、Office2013以降のバージョンで有効なスキルです。
立花 保昭(Tachibana Yasuaki)
コクヨ株式会社ワークスタイルイノベーション部 ワークスタイルコンサルタント/1級ファイリング・デザイナー/オフィスセキュリティコーディネータ
1990年コクヨ入社。出向した総合商社での大手流通業向け中国製品の開発・輸入・販売、コクヨでの開発営業、及び上海でのカタログ通販ビジネス立ち上げ等の経験を生かし、現在は企業向けの働き方改革の制度・仕組みづくり、意識改革・スキルアップ研修などをサポート。