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ビジネスに役立つ哲学8:どうすれば自信がもてるのか?
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「自分に自信がある」と胸を張って言える人は少なく、「もっと自信をもちたい」と願う人は多いだろう。ではどうすれば自信がもてるようになるのだろうか? もっと自己研鑽すればいいのか? 心の鍛練が必要なのか? ただ、自分自身に過度な課題を課すことで、さらに自信を失うことも。では、自信のなさはどう克服できるのか?
徹底的に自分を信頼すれば、きみに相応しい人生を、自信をもって歩けるだろう
「どうすれば自信を持てるようになりますか?」そんな質問を受けることがある。きっと自分に自信がないのだろう。そんな彼らに、私は聞き返す。「きみは『自信がない』と言ってはいるが、私を目の前にして思ったことを口にする、それだけの行動力があるじゃないか」と。
行動を起こして思いを伝える......、本当に自信がない者にそんなことができるだろうか。きっと無理だろう。まず何よりも、きみは自信を持っていいのだ。自信がないというきみは、きみ自身を裏切ることになってしまう。
「自信がない」と嘆くきみは、どこかの誰かが眩しく見せびらかしてくる「自信」なるもの、あるいは、無責任に発せられた「自信をもて! 」といったメッセージに惑わされていないだろうか? そして、「希望していた仕事ができていない」「果たすべき仕事ができなかった」「自分の人生は失敗ばかりだ」と悲嘆的になってないだろうか?
その悲観する気持ちは、きみの自信をさらに奪ってしまう。
他者と比べたり無責任な言葉に惑わされて、最も信頼できるものを見失ってはならない。これまできみが最も頼りにしてきたのは、きみ自身ではないだろうか。日々暮らし、働き、そして考える。それを可能にしたのは、きみ以外の何ものでもない。そんな自分を信頼しようじゃないか。
そして、できなかった結果を嘆く前に、それまでの過程に目を向けよう。それこそが、きみの自信につながるはずだ。
だから、「どうすれば自信を持てるようになりますか?」という質問に、端的に答えると、こうなる。「まずは自分を、徹底的に信頼しなさい」。徹底的に自分を信頼すれは、必ずや、きみに相応しい人生を自信をもって歩けるだろう。(アラン)
つねにあなたを支え続けている内なるものに気づいてください。それこそが、あなたの自信のよりどころになるでしょう
まずは、わたしのつくった寓話『鹿の水鏡』を読んでいただきましょう。
鹿の自慢は、自分の角。泉に映る自分の角の見事さに悦に入っていた。そうするだけの理由はある。誰もがその角のことを褒めていたからだ。
それに引き換え、とため息が出てしまうのは、泉に映る自分の脚の貧相なこと。
「角と比べてこの脚は不釣り合いだ」そう嘆いていた。「この脚は、誰も褒めてくれない......」とつぶやいていたところ、突如、鹿狩りの犬たちが襲いかかってきた。
鹿は身を守ろうと森の中に飛び込んだ。
さて、木々が生い茂る中、自慢の角はどんな役に立つだろうか? 逃げるために頼りになるのは、己の脚のみ。
豪勢にでかい角は脚の働きを邪魔するばかり。
鹿はここで、さっきの言葉を撤回し、角を呪っていた。
この寓話の教訓はなんだったのでしょう。それは、賞賛だけを自信のよりどころにすると「いざ!」というときに役に立たないだけでなく、反対に自分の行動の邪魔になる危険性がある、ということです。
さて、あなたの自信を支えている、そのよりどころはなんですか? 実績ですか? 誰かが褒めてくれた才能ですか?
もしそうなら、今のあなたは、見た目も派手で社会的に価値がつきやすきものが自信になると勘違いしているかもしれません。でもそれは違います!
わたしは声を大にして伝えたい。あなたがよりどころにすべきなのは、誰の目にも華々しい実績などより、むしろひっそりと、でもつねにあなたの内にあり、あなたを支え続けているものです。それこそが、あなたの本当の自信を支えるものなのです。
鹿は最後に気づきました。自分を支えてきたものは、角ではなく脚であることに。寓話からのメッセージがもう一つあります。気づくのが遅すぎないように......。
あなたの自信のよりどころはなんですか?(ラ・フォンテーヌ)
自信とは、人の目につかないところでも、 誰かが見ている時と同じように励むことで得られるものだ
今、これを読んでいるあなたは、おおかた自信がないのだろう。そして、自信を持ちたい、あるいは、自信を取り戻したい、そう願っているのだろう。
ならば、自信なんかについてあれこれ考える前に、自分の日常を見直してみればいい。ここでわたしが言っている日常とは、一人で過ごす時間のことだ。そのような時間で、あなたは何をしているだろうか? 人の目がないからといってダラダラ過ごしてないだろうか?
はっきり言っておくが、そのような日常では、自信が持てるようにはならないだろう。
自信とは、人の目につかないところでも、誰かが見ている時と同じように励むことで得られるものだ。誰かが見ていないから、評価されないからという理由で、日常を怠ける者には、自信など到底望めないだろう。
もし、仕事を終えた一人の時間にこれを読んでいるのなら、チャンスだ。そして、わたしの言葉があなたに届いたのなら、早速、取り掛かろうじゃないか。
仕事につながる本を読むのもいい。美容に勤しむのもいい。腕立て伏せだっていい。
自信が持てるかどうか、それは隠れた時間の過ごし方次第なのだ。(ラ・ロシュフコー)
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大竹 稽 (Ootake Kei)
教育者、哲学者。1970年愛知県生まれ 旭丘高校から東京大学理科三類に入学。五年後、医学と決別。大手予備校に勤務しながら子供たちと哲学対話を始める。三十代後半で、再度、東京大学大学院に入学し、フランス思想を研究した。専門は、カミュ、サルトル、バタイユら実存の思想家、バルトやデリダらの構造主義者、そしてモンテーニュやパスカルらのモラリスト。編著書『60分でわかるカミュのペスト』『超訳モンテーニュ』『賢者の智慧の書』など多数。東京都港区や浅草で作文教室や哲学教室を開いている。
大竹稽HP https://kei-ohtake.com/
思考塾HP https://shikoujuku.jp/