仕事のプロ

2022.02.24

ニューノーマル時代に求められる新しい「働く」の在り方

ポストコロナのあるべき企業・ワーカー・オフィスとは?

ポストコロナのニューノーマル時代の到来で、働き方改革は転換期を迎え、企業もワーカーもオフィスの在り方も変革が求められている。ニューノーマルとはどういう状況なのか?また、今後求められる「働く」の在り方とは。

ニューノーマルとは

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、専門家会議で提案されてよく耳にするようになった「ニューノーマル」(新しい行動様式)。ビジネスシーンでもその影響は大きく、出勤者7割削減を提言された影響もあって働き方は大きく変化し、すでに定着しつつあります。
コロナによってもたらされた新しい「常識」とはどういったものか、ニューノーマル時代の企業やワーカーはどうあるべきなのでしょうか。


定義

ニューノーマルとは「New(新しい)」と「Normal(常態)」を組み合わせた造語で、大きな社会変動によって新しい常識が定着することをいいます。それまでの経済理論やビジネスモデルが通用しなくなるような大きな変化を示し、2000年度初頭のITバブル後のアメリカの状況やリーマンショックの際にもこの言葉が使われました。
近年は新型コロナウイルス感染拡大に対応した日常生活や働き方の変化に対して使われています。



ニューノーマル時代と今までとの違い

「新しい生活様式」への移行により、感染拡大防止のため非接触・三密回避など、多くの人の意識が変わりました。また消費者行動やニーズの変化として、外出を極力控えるために通販やデリバリー、テイクアウトの利用、電子決済への移行、自宅の中で楽しむ「巣ごもり需要」の増加なども見られました。
また、多くのワーカーが通勤を控えてテレワークでの勤務に切り替えたことで、働き方にも大きな変化が見られました。ここでは主に働き方の変化について取り上げていきます。




ニューノーマル時代の働き方

緊急事態宣言や行動規制により、企業は外出や出社の制限、営業時間の短縮、時差通勤、営業や採用活動のオンライン化などを迫られました。オフィスからオンラインへとワークプレイスが拡大し、新しい仕事のやり方へ切り替え、それが次第に定着してきたことを実感している人も多いのではないでしょうか。
ニューノーマル時代になって働き方は何が大きく変化したのか、改めて振り返ってみます。

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テレワークがあたりまえに

まず最も大きな変化として挙げられるのは「テレワークへの移行」です。これまで仕事はオフィスに行ってするのが当然でしたが、国からの要請もあり、外出制限のため自宅や自宅近くのサードプレイスで業務を行うことを推奨する企業が増えました。
半強制的にテレワークに移行したものの、やってみれば案外できるものだと実感したワーカーも多く、企業側もコスト削減や多様な人材確保などメリットも大きいと感じているところが多いようです。



対面コミュニケーションが減少

非接触が求められた結果、社内・社外ともに対面でのコミュニケーションは大幅に減少し、オンライン会議が一般化。連絡もメールやチャットを利用した文字でのやりとりの割合が増加しました。遠隔地にいる人とも一緒に仕事をしやすくなった一方で、雑談やアイデア出しなどのコミュニケーションへの課題も生まれました。



オンラインツールの活用

ビジネス環境にオンラインツールが欠かせなくなったことも大きな変化の一つです。オンライン会議ツールやチャットツールなどでのコミュニケーションに加えて、情報共有のためにクラウドでドキュメントを保管。経理手続きや契約書の管理なども電子化されるなど、出社しなくても仕事ができる環境が整備されるようになりました。



ペーパーレス化

テレワークを行う前提条件になるのがペーパーレス化ということもあり、テレワーク導入と同時にペーパーレス化も大幅に進みました。会議資料などを出力しないというだけではなく、ワークフローの中で発生する書類の手続きを電子化していくことで、変化の中でも業務を止めずにすみ、業務プロセスの効率化につながった企業も多いでしょう。



DXの推進

非対面・非接触が進むなかでサービスのオンライン化やデジタル化を進める企業も増えました。そうしたビジネスモデルの変化への対応や、それによって新たに取得可能となったデータやログを活用して業務やサービスを改善するDXの推進もニューノーマル時代に注目されている動きの一つです。
今後ますますワークプレイスも市場もオンライン化が進むと予測される中、DXは企業の競争力を高めるうえでも欠かせない変化といえるでしょう。



オンライン商談の増加

社内の環境だけでなく、BtoCやBtoBの取引の場でもオンライン化が進んでいます。従来対面で行われていた商談はオンライン会議ツールを活用しながら非対面で行われることも増え、展示会やセミナーなどもオンラインイベントに移行しつつあります。
インサイドセールスもクロージングまで終始オンラインで行う形態に変化。マーケティングの主戦場も急速にデジタル領域に移行しています。求められる営業力も変化してきているといえるでしょう。




ニューノーマル時代の企業のあり方

ではこのような大きな変化の時代に、企業は何を重視していくべきなのでしょうか。テレワークへの移行やDXの推進など上記の変化に対応したうえで、特に重要になってくるのは次の2点だと考えられます。

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事業継続性の高い経営の重視

今回のようなパンデミックやテロ、大規模システム障害や地球温暖化による自然災害など、危機的な事態はいつ起こるかわかりません。
不確実な未来に向けてBCP(事業継続計画)を立て、あらゆるリスクを想定して実現可能な対応策を決めておくことで、いざという時に的確でスピーディな対応ができるもの。今BCPの重要性は多くの企業で改めて認識され、 策定や見直しが進められています。



健康経営

不確実性が高い時代にテレワークによる距離も加わったことで、ワーカーへの心身の配慮がより重要になっています。これまでオフィスで顔を合わせていた頃は体調が良くなさそうだ、業務が重なってメンタルが弱っているなど状況を把握しやすかったのですが、テレワーク環境が続くと見えにくくなり、ワーカーも孤独を感じやすくなります。
健康を守りつつメンタルヘルスにも配慮することで、事業の安定的な継続と生産性向上を図ることが求められます。




ニューノーマル時代に求められるスキル

ではワーカーがこれからのニューノーマル時代を生き抜くために求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。

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オンラインコミュニケーション能力

対面コミュニケーションでは非言語で伝わる情報も多かったのに対し、今後はオンラインでの会議でタイミングを考慮しながら端的に物事を伝えるスキルや、チャット・メール等を使ってテキストで言いたいことを端的にわかりやすく伝えるスキルがますます重視されます。
シーンに応じて適切なツールを使い分け、オンラインだけでも信頼関係を構築できる力は社内・社外いずれのコミュニケーションでも重視されるようになっていくでしょう。



セルフマネジメント力

テレワーク環境下では周りの目がない分、モチベーションの維持や業務スケジュール管理などはすべて自分でマネジメントする必要があります。
また在宅ワークではオンオフの切り替えがうまくできずに長時間労働になってしまうケースも。周りとのちょっとした雑談や相談ができない分、困った時にどういう行動を取るべきか、集中力が落ちてきた時にどう気分を切り替えるかなど、自分で判断して自律的に行動する力が求められます。
離れた場所で仕事をしていてもセルフマネジメントができる人だと信頼されることが、オフィスと自宅のハイブリッドワークが常態化する中で重要な評価軸になりそうです。



問題解決能力

ニューノーマルということはこれまでの常識や前例が通用しないということ。経験したことがないさまざまな変化が起こるなかで、問題の本質を捉えて解決策を論理的に筋道立てて考える力は不可欠といえます。
先が見通せない時代に企業が生き残り、さらに発展するためにはイノベーションを起こせる人材が不可欠。競争力を発揮するには、ビジネス上の問題を解決できるデザイン思考が必要になっていくでしょう。



情報セキュリティの知識

ビジネスの場がオンラインに拡大していくということは、それだけ情報セキュリティリスクが生じやすくなるともいえます。ウイルス対策などの環境整備だけでなく、個人のセキュリティ対策に関するスキルや意識を向上させ、セキュリティインシデント発生を防ぐためのリテラシー向上と、万が一の時の対応について知識を身につけておくことが大切です。




ニューノーマル時代のオフィスとは

テレワークに慣れ、在宅でも支障なく仕事ができるとわかると、ワーカーのオフィスに対する意識に変化が出てきます。オフィスは「とりあえず行く場所」ではなく「明確な目的を持って行く場所」に変わる必要があります。ではこれからの時代、オフィスに行くことにどのような意味や役割が求められるのでしょうか。

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オフィスに求められる役割

オフィスの果たすべき役割には次の3つがあります。「オフィスでしかできない体験」「個と組織をつなぐ求心力」「社会性を継続させる場」です。



オフィスでしかできない体験

最も重要な役割である「オフィスでしかできない体験」として、例えば特殊な機器を使う専門性の高い業務や商材を扱う仕事、秘匿性の高い業務や遮音性の高い空間で行う必要がある仕事などがあります。またオフィスならではの広いスペースを生かしてプロトタイプの作成や大人数でのミーティング、アイデア出しなどができることも利点の一つといえるでしょう。



個と組織をつなぐ求心力

「個と組織をつなぐ求心力」は、オフィスに出社しているメンバーとリアルな「場」を共有することで生まれるもので、情報共有や意見交換、課題解決などにつながります。 オフィスで会社の雰囲気を感じることは、帰属意識やエンゲージメントを高めるきっかけにもなります。



社会性を継続させる場

また、オフィスは「社会性を継続させる場」という役割も担っています。毎日でなくてもオフィスに行くことで生活リズムや心身のバランスを整えたり、自分の会社での存在価値を実感してモチベーションを維持することができます。
オフィスにはこれらの3つの役割があるということをワーカーが理解し、必要なシーンに目的を持って出社し、オフィスを活用する。これからのオフィスはABWの選択肢の一つとしてオフィスでしかできない役割を担い、企業活動を支える場になっていくでしょう。



オフィスを5つのテーマで見直す

新しい働き方を推進し、ワーカーの成長や変化に強くイノベーティブな組織を実現するため、オフィスを次の5つのテーマで考察し、見直していくことを提案します。

  • ① 運用・しくみ
  • ② 空間・場
  • ③ ファニチャー・ツール
  • ④ テクノロジー
  • ⑤ リモートワーク

まず「運用・しくみ」の観点で、危機や変化に対して柔軟に対応できる大方針と出社や外出、勤務などに関わるルールやガイドラインを設定します。「空間・場」は、これまでのオフィスの組み立て方に、コロナ対策の経験を活かし、行動変容に対応したオフィスづくりを行うという視点です。

さらにオフィスに求められる高機能・専門性への特化とデジタルワークへのサポートを行うための「ファニチャー・ツール」を見直し、距離や時間を超えて人や情報をつなぎ、オンラインとオフラインを融合したワークスタイルを加速するための「テクノロジー」導入を検討。
健康やモチベーションを維持し、ワークとライフのバランスが取れた自律的な働き方を実践するための「リモートワーク」を選択肢として整備する。

ニューノーマル時代のオフィスに求められるこれら5つのテーマを自社のオフィスではどこまで具現化できているか、この機会にぜひ見直してみてください。

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まとめ

ニューノーマルで起こったビジネスの変化はもはや不可逆的なものであり、移行当初の混乱や課題に対応する新しいサービスやソリューションもさまざまな形で登場しています。生活様式や働き方の変化に合わせて、コミュニケーションの取り方やオフィスのあり方もまた変化しています。

VUCA時代といわれる今、ビジネスにおいても生活においてもどのような変化が起こるのかは予測が難しく、どれだけニューノーマル時代の環境変化に柔軟に対応できるか、企業の姿勢が問われています。


作成/MANA-Biz編集部