仕事に役立つオノマトペ

2023.02.28

低めの「はーっ↓」で落ち込みオーラを醸す

オノマトペ18:へこんだ気持ちを表現するとき

物事がうまくいかず落ち込んでいるときに、いつもと同じテンションで振る舞うのは、つらいこともあります。ちょっとした息づかいで、周囲にそれとなく察してもらいましょう。

首をコクンと曲げて
長いため息をつく
落ち込んでいる気分を表現するには、「はーっ」というため息が向いています。低い声で長めに、顔を下に向けて息を吐き出してみてください。悲壮感たっぷりの息づかいを聞いた周りの人は、きっとあなたの気持ちに気づいてくれるはずです。ただし、多用していると「いつものことだ」と思われてしまうので、ここぞというときに使いましょう。
管理職やリーダーの人にとっても、このオノマトペを知っておくことは有効です。部下や後輩が「はーっ」というため息をついていたら、何かに困っていることを示すサインかもしれません。「何かあった?」と声をかけてみませんか?
あわてている人を落ち着かせたいときは
ゆっくり息を吐かせる
低く息を吐く手法は、テンパっている人を落ち着かせる効果もあります。例えば、タスクが多すぎてあわてている後輩には、「ちょっとフーーーッとしてみようか」と、低めの声でゆっくり語りかけます。声は心身と連動しているもの。あなたが平静な声を出すことによって、後輩もあなたのテンションに同調して落ち着いてくるはずです。
そして息を「フーーーッ」と長めに吐くことによって、必然的に息を深く吸い込むことになります。酸素が脳に送り込まれれば、自律神経の副交感神経が働き、身体がリラックスして心も落ち着きを取り戻します。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里