「アップアップ」で頼み事をスルー

オノマトペ16：上司からのタスクを断りたいとき

上司から急なタスクを頼まれたけれど、自分の仕事で手一杯……。「すみません、手が離せないんです」でもいいけれど、もう少しだけさわやかなニュアンスを加えれば、よい印象をキープしつつ上手に断れそうです。

Ｐ音の弾ける語感と同じ言葉の繰り返しで 断っても明るい印象に: 忙しくて相手の頼みを受け容れられないときは、「すみません、今アップアップなんです」という断り方がオススメです。Ｐ音が入った「アップアップ」というオノマトペは語感が明るく、相手にポジティブなイメージを与えます。また、「アップ」という言葉を２回繰り返すことで、自分の忙しさもしっかりアピールできます。; ダメ押しのコツとしては、「石井課長、すみませんが今アップアップなんです」などと、まず頼んできた相手に呼びかけること。きちんと名前を呼ぶことで、「仕事は断るけれど、あなたを尊重しています」という気持ちを暗に伝えるわけです。

ヤ・ユ・ヨが入ったオノマトペも 「お断りフレーズ」向き: 「アップアップ」以外では、「ギューギュー」「ゴチャゴチャ」といったオノマトペを使って「今仕事がギューギューなんです」といった断り方をしてもいいでしょう。ヤ・ユ・ヨなどの拗音が入ったオノマトペは、お茶目でユニークな印象を人に与えやすいので、嫌味なく断りたいときに向いています。; よく考えれば、どの言い方でも「今は忙しいんです」と表現しているのですが、楽しい印象のオノマトペを使うことで、相手も自分も前向きな気持ちを維持しやすくなります。職場の雰囲気を明るく保つためにも、どんどん試してみてください。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①～③巻（くもん出版）、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』（青春出版社）など多数。

文／横堀夏代　撮影／ヤマグチイッキ　イラスト／岩並明里