仕事のプロ
キャリアプランシートで理想の将来と行動目標を見える化
未来を見据えるための「キャリアプランシート」
明確なキャリアプランを持っていれば、変化が激しく先行きが不透明な時代であっても、むやみに不安を感じることなく、今やるべきことに注力しやすくなる。キャリアを考える連載第6回目では、自分は何を大事にしていて、将来どうしたいのかを客観視するためのサポートツールで「キャリアプランシート」について、コクヨのキャリア・コンサルタントの阿部みどりが解説する。
キャリアプランシートとは
キャリアプランシートとは、自分の価値観、将来どうしたいのかを見える化し、目標達成に向けて行動目標を立てるためのもの。転職時に企業に提出する「キャリアシート」とは少し目的が異なり、その名の通り自分の将来をプランニングするためのシートです。 キャリア・コンサルタントとの面談に際して記入したり、転職活動で提出する書類としてそのまま使用するケースもありますが、本来の使用目的は自分を理解し、整理するために書くもの。学生向けと社会人向けに分かれていて、社会人向けには在職者用と求職者用の2種類あります。
キャリアプランシートに記入する項目は、大きく下記の5種類です。 ①大事にしたい価値観、興味・関心を持っていること ②強みと弱み、弱みを克服するために努力していること ③今後やってみたい仕事(職種)や働き方、仕事で達成したいこと ④これから取り組むこと(今後向上・習得すべき職業能力やその方法など) ⑤自己PR 要は、WILL・CAN・MUSTを言語化し、それを活かしてどこに向かいたいかを明らかにしていきます。普段は意識していなくても書き出すことで気づけることもがたくさんあります。 どのくらい先を見据えて書くのかといった期間の設定も自由で、5年後にやってみたい仕事に向けて習得する知識や経験を洗い出してもいいですし、「定年後は一切仕事をせずに悠々自適な生活をする」という理想に向けてこれから取り組むことを考えるなどでもかまいません。自分を知るために他者に聞く
キャリアプランシートは自分を知らないと書けません。ただ、例えば自分の強みや資質など自分では気づきにくいところもあります。そういう部分は上司や同僚に聞いてみるなど、身近な第三者の視点を取り入れるといいでしょう。 また、組織に所属している場合の「MUST」については、組織におけるあなたの役割や期待値になるので、自分なりに考えたうえで、上司に聞いてみることをおすすめします。 普段の仕事においては「こうあるべき」が先行しがちで、「自分はどうしたいか」など考えたこともないという人も多いですが、キャリアプランシートを書くときは、企業人としての「べき」からいったん離れて、プライベートも含めた自分の人生全体を見据えて、「自分はどうしたいのか」を問いかけていく必要があります。
キャリアプランシートを書くときのポイント
無理にまとめようとせず、例えば「花が好き」や「自然に囲まれていると落ち着く」といった、些細なこと、仕事とは直接関係がないことでも書き出していくことをオススメします。 また、キャリアプランシートは他者に見せるものではないので、強みや資質を誇張したり、謙遜する必要もありませんし、誰かと比べる必要もありません。なので、「たいしたことじゃないから恥ずかしい」などと考えず、どんどん洗い出してみてください。自分の人生を豊かにしてくれるものが何かが見えてくるはずです。 キャリアプランシートを書くメリットの一つに、これからやるべき行動が明確になることが挙げられます。書き出すことで自分の目指したい方向がだんだん見えてくると、それを実現するために必要な知識やスキル、資格や経験、拡げるべき人脈など、やるべきことやスケジュールも明らかになってきます。 ですから、書いて終わりにしないためにも、抽象的な目標ではなく、行動につながりやすい目標を設定することが重要です。また、これから取り組む具体的な行動まで落とし込んだら、定期的にステイタスの振り返りをするといいですね。 一方、目標を立てたからといって、それが絶対ではありません。環境変化や経験などによって、やりたいことが変わっていくこともあります。目標ではありますが、縛られる必要はありません。そのためにも、書いたキャリアプランシートや目標は定期的に見直しをしていきましょう。