HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 働き方用語辞典 「ガラスの天井」
「ガラスの天井」とは、組織の中で昇進や昇格に値する有能な人材が、性別や人種などを理由に不当な低い地位に据え置かれることを指します。
「Glass Ceiling(グラスシーリング)」の日本語訳で、ガラスのように目に見えない天井によってその先を阻まれる様子を表現した言葉です。
1980年代後半にアメリカで使われるようになり、2016年アメリカ大統領選挙の際に、ヒラリー・クリントンが敗北宣言でもガラスの天井を発言したことで、より広まるようになりました。
特に、女性の社会進出や昇進・昇格、キャリアアップ機会に関して用いられることの多い表現ですが、比喩として広く使われます。
ここでは、主に女性活躍において使用される「ガラスの天井」について説明します。
■日本でのガラスの天井
日本では、1986年に男女雇用機会均等法、2016年に女性活躍推進法が施行され、雇用における男女平等への取り組みが行われています。
しかし、2023年にスイスの非営利財団である世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数(GGI) 2023年」では、日本の総合スコアは0.647で、146ヶ国中125位という低い結果でした。
女性は家事育児に従事するもの、管理職は男性がすべきといったアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)だけでなく、女性が働きにくい雇用・労働慣習、周囲の無理解などの様々な要因により、現在もビジネスや政治の分野において、女性の登用が少ないのが実態です。
■女性のガラスの天井を解消するために企業ができる取り組み
女性活躍促進のために、ライフイベントへの対応やワーク・ライフ・バランスに配慮しやすい柔軟な働き方・制度の導入、挑戦機会の創出、組織内の雰囲気づくりがあげられます。
・柔軟な働き方の整備
家庭やライフイベントとの両立を考慮し、リモートワークやフレックス制度、時短勤務などの多様な働き方を導入・推進する。
・リーダー経験・機会を設ける
若手のうちからプロジェクトやミーティング、ワークショップなどにおいてリーダーの役割を与えることで、スケジュール管理や推進力、統率力のマネージメント能力を身に付け、管理職にふさわしい人材を育成することができる。
・男性の家事・育児への参加推進
男女問わず積極的に育児休暇を取得したり、自由に柔軟な働き方を選択したりと、男性も家事や育児に参加できる制度と環境の整備すをる。
似た表現として、「壊れたはしご」があります。女性のキャリアパスが管理職や昇進につながっていない構造的な問題を指摘した言葉です。女性のキャリアパスが阻まれるのは、ガラスの天井よりも壊れたはしごが大きく影響しているとも言われています。
少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化する中、女性の活躍は必要不可欠です。結婚や出産により職場を離れた女性の復帰制度の整備、社内託児所の設置など施策を取り入れる企業も増えています。社員のモチベーションの向上だけでなく、対外的な企業イメージ向上やブランディングにも好影響が期待できるでしょう。
働き方・家具・オフィス空間の
最新情報をチェック!