HOME > オフィスづくりに役立つコラム > 企業と個人、それぞれの視点で考える、時代にあわせて多様化するワークスタイル
2021.9. 1[ 働き方 ]
コクヨコラム編集部
最終更新日:2024年1月5日
近年のICT技術の発展やワークライフバランス重視をはじめとする仕事観の変化、政府の働き方改革推進など、時代の流れにあわせ、ワークスタイルも多様化してきています。
今回は、ワークスタイルが多様化した背景と企業(経営者)・個人(ワーカー)それぞれの視点に立ったワークスタイルの変化や考え方について紹介します。
目次
ワークスタイルの多様化には、どのような背景があるのでしょうか。
ワークスタイルが多様化したのは、政府による「働き方改革の推進」が大きな要因のひとつです。テレワークや副業の推進、性別や年齢に関わらず、その人の意欲に応じた雇用環境の整備など、 働き方そのものを見直す動きが求められるようになりました。
また、長時間労働による過労死も社会問題となり、企業には長時間労働の是正に取り組むよう法改正なども進められています。
ICTツールの普及、クラウドサービスの発展で、ノートPCとネットワークがあれば完結できる仕事は多くなりました。こうした場所にとらわれない仕事の増加は、リモートワーク浸透の下支えとなっています。
また、新型コロナウイルス感染症の流行による、分散通勤や在宅勤務推進も、従来とは異なるワークスタイルが増加した要因となっています。
企業では、ワーカーが希望するワークスタイル・仕事観の変化に合わせ、「ツール」「制度」「企業風土」などあらゆる視点から対応し始めています。働く人にとってより働きやすい環境を実現するためには、働きやすい場づくりと社内風土づくりの両方を進めていく必要があるでしょう。
たとえば、ICTツールの導入や人事・労務制度の改定、ワーカー1人1人の事情に合わせた柔軟な働き方の容認などがその例です。
ここからは、よく取り入れられている働きやすさに配慮した施策について紹介します。
フリーアドレス制は、オフィスで個人のデスクを固定せずに働くオフィス内のワークスタイルです。図書館の閲覧スペースのように、長机(ロングデスク)とイスを設置し、好きな場所に着席して業務に取り組むことができます。
とくに、部署間の壁を取り払って業務を行えることから、異なる部署間でのコミュニケーションによる新たな事業アイデアの創出も期待できます。
フリーアドレス制が推進されることで ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング) という場所と時間にとらわれない働き方につながり、当たり前に社内外問わず働く場所を選択できるようになるでしょう。
また、在宅勤務のワーカーや外出が多く在席時間が短いワーカーのことを加味して、席数を従業員数より少なく設定することもできます。 スペースの有効活用の結果、必要なオフィス面積が少なくなれば、賃料コストの削減につなげることも可能です。
フレックスタイム制は、就労規則によって始業時間・終業時間が設定されておらず、ワーカー自ら任意で調整できる働き方のことです。
コアタイム(勤務が必要な時間帯)を設けている場合もあれば、完全に社員の裁量に任せている企業もあります。
フレックスタイム制の働き方であれば、午前中に平日しか開いていない役所手続きを済ませて午後から出勤したり、終業後の余暇を楽しむために2時間早く退勤したり、その代わり翌日は少し長めに働くといった調整が可能です。
この制度が社会全体で発展すれば、「時間にとらわれない働き方」という意味で、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)にもつながるでしょう。
育児休暇の取得可能条件は、1年以上雇用されていること、子どもが誕生した日もしくは出産予定日から1歳6ヶ月になる期間までであることです。
「子どもの成長を間近で見たい」「パートナーの負担を軽減したい」などの要望にも応えられるため、意欲的に働く意識が生まれ、ワークエンゲージメントの向上にもつながります。
育児休暇は男女問わず取得可能な制度ですが、現状、男性の取得率は高くなく、制度の周知や取得しやすい風土づくりが企業に求められています。
介護休暇は、要介護状態にある家族を介護するための休暇取得制度です。 通院付き添いなどの介護サービス活用時にも使用可能になります。
一般的には年に5~10日程度設けられており、介護対象の家族の人数により変動します。
週休3日制を取り入れる企業も出てきています。
週休3日制は労働の総量は変わらず、休日の労働時間を分散する働き方や、給与を6~7割に減らす形で休日を確保する働き方などさまざまです。
個人視点でのワークスタイルには、どのような変化が起きているのでしょうか。近年「場所にとらわれない働き方」「時間を自由に選べる働き方」「組織にとらわれない働き方」など働き方に自律性を求める動きが高まりつつあります。
ここからは、自律した働き方を実現するための個人のワークスタイル例について見ていきましょう。
リモートワークはコロナ対策として急激に増加し、身近になったワークスタイルのひとつです。リモートワークは「オフィス以外で仕事をすること」全般を指すものであり、場所は自宅だけでなくコワーキングスペースなどで働く場合も該当します。
また、オフィスへの出社が必須でなくなることで、さまざまなワークスタイルの兆しもうまれてきています。たとえば、ワーケーション*を取り入れたり、多拠点生活をしながら働いたりなどがあげられます。
*「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、仕事と休暇の両立、具体的には観光地やリゾート地で、リモートワークで仕事をすることを意味しています。
本業以外の仕事を副業や複業として行う人も増加しています。背景として、終身雇用を前提としないキャリア観の多様化、また、働き方改革による残業時間の削減により、残業代が減ったことや終業時間が早くなったことも要因のひとつです。生活の安定のためや、自分のスキルを活かして働く時間ができたことから、副業をはじめる人も多くいます。
会社によっては、従事している業務とは異なる会社資産に影響を及ぼさない範囲の副業であれば、申請不要で許可しているところがあるのも特徴です。
総務省の労働力調査*によると、2019年の転職者数は351万人で過去最高となっており、近年、緩やかな増加傾向にあります。
労働条件や人間関係などやむを得ない理由による離職ではなく、キャリアアップ・自己実現やワーカー個人が望むワークライフバランスのためにより良い環境を求めて転職するケースも多いとされており、今後、転職がより一般的なものになっていくと考えられます。
*増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~/総務省 https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/topi1230.html
ワークスタイルの変化に伴い、企業の働きやすさを考慮した施策、社員個人のワークスタイルの例を見てきました。
企業がワークスタイルの多様化に対応するために、勤務時間や勤務場所が選択できるように働き方の選択肢を広げることが重要になります。
「週に1度自宅勤務」 「残業時のみリモート」 「週に3日はフレックスタイムを活用して早出・早退勤にする」などの施策などです。
このような働き方の選択肢を社員に提示できるようにするためには、環境の整備が欠かせません。リモートワークやフリーアドレスに対応するには、ICTツールの追加導入やセキュリティルールの見直しも必要になるでしょう。
また、社員の働き方が多様化すれば、管理職のマネジメント方法や評価方法についても構築し直さなければなりません。
従来の固定席を前提とした働き方や勤務時間が決まった働き方では、上司・部下間でのコミュニケーションが自然と取ることができ、それに伴い部下の勤務態度や成果というものがわかりやすく、マネジメントや評価がしやすい環境でした。
場所や時間にとらわれない働き方となると、部下の勤務態度や成果が見えにくくなってしまいます。このような状況下での管理職のマネジメント方法評価方法についても、見直す必要があります。
自社ならではのワークスタイルを確立するには、現場で働いている社員の声に耳を傾け、どのような働き方を求めているのかを把握することが重要です。
さまざまなワークスタイルが選択できるようになれば、従業員エンゲージメントの向上にもつながるのではないでしょうか。
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