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桑名市役所

デジ田交付金活用による「書かないワンストップ窓口」の一体的な整備

窓口改善

Point1
「書かないワンストップ窓口」の導入
Point2
狭隘化していた待合スペースの改善
Point3
将来の用途転換に対応できる空間

名称桑名市役所

完成年月

完成年月
令和6年1月

対象面積

対象面積
220

対象人数

対象面積
25

自治体規模

自治体規模
13万6千

建築種類

建築種類
改修

桑名市では令和6年1月のオープンを目指し、自治体DX推進計画に基づく「書かないワンストップ窓口」の導入を計画されました。

既存の窓口空間に書かない窓口支援システムをただ導入するのではなく、将来の窓口空間の変化にも継続できる窓口空間を実現するため、「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用し、システム整備と空間整備を一体的に整備されています。

それまでのレイアウトでは大きな面積を占めていた申請書記載台スペースを削減、狭隘化していた待合スペースを広げると共に、窓口カウンターも従来の固定式から可変性のある可動式のカウンターに変更し、将来の用途転換に対応できる空間としています。

 

事例写真一覧Gallery

総合案内

記載台スペースを廃止し、正面玄関から見やすい位置に総合案内カウンターを新設しました。

証明発行窓口

現状では扱い件数の多い証明発行窓口は着脱式棚によるハイカウンター形式とし、将来相談対応のローカウンター窓口として転換できる形式としています。

戸籍住民登録課 窓口

将来の窓口数の変化に伴う用途転換に対応できるよう、可動式カウンターで構成しています。

戸籍住民登録課 窓口カウンター

相談席ごとにパネルを設置することで相談者のプライバシーに配慮できます。パネルも可動式なので将来的な窓口数の変更にも対応可能です。

戸籍住民登録課 待合

申請書記載台スペースを削減し、狭隘化していた待合スペースを広げました。

インタビューInterview

桑名市 市民環境部 戸籍・住民登録課 主任 小田祐毅氏
コクヨ株式会社 八上俊宏

桑名市の「書かないワンストップ窓口」事業は、引越しや結婚・出産・死亡などのライフイベントに伴い発生する手続きを、システム導入や業務改革により、戸籍・住民登録課でまとめて受付できるようにするというもの。令和4年度デジタル田園都市国家構想交付金事業に採択され、令和5年4月に始動し、約9か月間という短期間で成果を出しました。

全庁的な調整機関を設置したうえで、最初に取り組んだのが、課題の抽出でした。

小田氏:従来は、住民が庁舎内を何か所も回って、同じような書類を何度も書かなければならない…という課題がありました。この課題をより具体的に洗い出すために行なったのが、「窓口体験調査」です。入庁1年目の職員を中心に、死亡、転入、証明発行のチームに分かれ、来庁者の立場になって実際に窓口を回ってもらいました。そして、どのように移動したか(動線図)、どのくらい時間がかかったか(タイムチャート)、そのときにどのように感じたか(カスタマー・ジャーニーマップ)などをデータとして集め、分析しました。さらに、調査後には職員によるワークショップを実施し、課題を抽出していきました。その結果見えてきたのが、どこで何ができるのか・どのような書類が必要なのかがわかりにくい、待ち時間が長くどれくらいで終わるのかが見通せない、手続きが煩雑、暑い・寒い・狭いなど物理的に不快感がある、どこに何があるかわかりにくい…といった課題でした。

これらの課題を解決するために、桑名市では窓口業務支援システムの導入を決定。最初の窓口で、職員がシステムを用いて来庁者の情報を確認しながら手続きを進め、内容を来庁者が確認して申請書に署名いただく「書かない窓口」の実現を目指しました。さらに、RPAにより申請情報を住基システムに入力し、住基情報の登録・変更事務を迅速に遂行するとともに、ライフイベントに関連する他の課の手続きもシステムを用いて戸籍・住民登録課で受付することで、他の課の窓口へ行く必要がなく、最初の窓口だけでやり取りが完結する「ワンストップ」を目指しました。

桑名市のフロントヤード改革の特徴は、バックヤード改革も同時に行うことで、住民の利便性だけでなく職員の利便性も向上させた点です。窓口業務支援システムの構築と並行して、既存業務の見直しを行い、執務スペースのレイアウトを大幅に変更。業務手順も一新しました。

小田氏:従来の執務スペースのレイアウトは、職員の業務内容や動線にまったく配慮しておらず、移動が多く混線していました。そこで、無駄が多くて非効率だったレイアウトを3つのラインを基準に整理し、受付カウンターの什器も新たに購入。これにより職員の動きが非常にスムーズになり、窓口もプライバシーに配慮した仕様になりました。加えて、本当にやるべきことを迅速にこなすという視点で業務手順も見直し、改めました。

「無駄な業務を省くことで、空間自体もコンパクトにできる。業務改革と空間設計は表裏一体」とコクヨの八上。小田氏も「業務フローと空間レイアウトを同時に考えないと、不具合が出てしまっていたはず」と振り返ります。

小田氏:書かないワンストップ窓口の導入によって、来庁者も私たち職員も快適になったのは、職員の動線や受付のフローを検討し、そのうえで職務スペースのレイアウトを変えて…という一連の改善があったからこそ。システム導入だけでは、これは実現し得なかったと思います。例年、繁忙期は職員総出で窓口対応に追われていましたが、今年度はほぼ受付係だけで乗り切り、大きな手応えを感じました。

令和4年度から「書かない窓口」の実証実験をスタートさせ、令和5年度には「書かないワンストップ窓口」を実現させた桑名市。次に目指すのはオンラインサービスを活用した「行かない窓口」です。バーチャル空間でメタバース窓口の実証実験を行うなど、新たな取り組みも始まっています。

小田氏:住民が庁舎に足を運ばなくてもさまざまな手続きができるのが理想形なので、さらなるDX推進に努め、「行かない窓口」を実現したいと考えています。一方、情報弱者、デジタルデバイドが生まれないよう配慮することも重要です。すべてをオンライン化、バーチャル化するのはなく、従来型の対面窓口も継続し、住民の多様なニーズに応えていく必要があると考えています。

八上:まさにオムニチャネルですね。多様な窓口で住民と接点をもつことが、これからの自治体には求められます。桑名市さんの取り組みは、その先駆けになりそうですね。

小田氏の発表を踏まえて、コクヨの八上が長く自治体の庁舎空間づくりを担当してきた経験から、次のように述べました。

八上:桑名市さんの事例のように、どういった業務改革を行うのかというBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)からスタートし、そのためにはどのようなシステムが必要か、そのシステムを活用するにはどのような空間やレイアウトがいいのか…と発展的に考えていくことが大事だと私たちも考えています。特に、将来を見据えて窓口だけでなく庁舎全体の空間づくりをどうするかという点については、まだ着目されるケースが少なく、これからの課題です。今後は、窓口業務のオンライン化やリモート化が進み、職員の働き方や働く場所も多様化することが予想されます。そうなると、庁舎のあり方も変わっていくでしょう。具体的には、庁舎空間が住民のためのスペースに用途転換され、カフェやコワーキングスペースのような場所が増えていく未来を描いています。つまり、庁舎が、申請や手続きの場から、多様な人々の協業・共創の場に変わっていくということ。これは総務省が掲げる自治体フロントヤード改革でも示されていることで、今後の大きな流れになっていくのではないかと考えています。

また、今後庁舎内スペースはどのようなレイアウトになっていくのか。コクヨが考えるこれからの窓口の理想形や庁舎の空間構築について、段階を追いながら、イメージパースをふんだんに取り入れた資料として「フロントヤード改革で変わる庁舎窓口」を作成いたしました。先進事例として都城市(宮崎県)と桑名市(三重県)での取り組みもご紹介しています。
ぜひご一読いただき、未来の窓口をイメージする参考としてご活用ください。

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フロントヤード改革で変わる庁舎窓口

この資料でわかること

  • 自治体DXと庁舎の新たな価値創出
  • 自治体窓口に起こる変化と変遷イメージ
  • これからの窓口レイアウト例
ダウンロードはこちら

コクヨ担当者Comment

 「書かないワンストップ窓口」において来庁者の動線やサイン、窓口業務支援システムの端末配置やそれを扱う職員のスキルアップなど、複合的な課題に対して真摯に向き合われている職員の方々と何度もプランを練り直しながら空間構築をさせていただきました。

記載台を撤去したスペースには総合案内カウンターを配置し、来庁者が南北どちらの玄関から入ってきてもすぐ分かるようにしています。古くて小さく、不評だった待合ベンチも入れ替えています。

カウンターラインには弊社のフェーズフリー商品である「VaMoS(バモス)」を配置し、今後予想される将来の窓口の変化にも柔軟に対応できるよう配慮しました。

バックオフィス部分は既存のデスクを活用して3線式のレイアウトとし、端末の配置場所も工夫して職員のみなさんが働きやすいレイアウトに変更しています。3線式レイアウト部分はフリーアドレス運用とし、個人席ではなく席に仕事を紐づけるようになっています。

桑名市さまでは今回の「書かないワンストップ窓口」がゴールではなく、オンラインサービスによる「行かない窓口」の実現を目標とされています。今回のリニューアルでは、「VaMoS(バモス)」の導入によって「書かないワンストップ窓口」の実現と共に、将来の「行かない窓口」への転換にも対応できる、将来を見据えた空間を実現しました。

コクヨマーケティング株式会社  

中部支社   

高橋 秀人

コクヨマーケティング株式会社 

デザイン本部  

櫻田 雄治

コクヨ株式会社 

ワークプレイス事業本部

伊藤大樹

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