リサーチ
2016.04.06
グローバル人材がほしい企業は「不透明さ」をなくせ
外国人材の前に立ちはだかる“あいまいさ”の壁
日本企業のグローバル人材への注目が年々高まっているが、企業側の体制と外国人留学生の認識に大きな“ズレ”が生じている。
日本国際化推進協会が2013年に実施した外国人留学生・元留学生に対するアンケートによると、日本が生活の場として魅力的だと答えた人は8割以上に上るが、働く場として魅力的だと答えた割合はわずか2割に留まっている。そして、日本で働きたいと希望する留学生は7割いるのにも関わらず、実際に日本で就職する学生は約4割しかいない。
また、外国人留学生の約8割が就職先として大企業を希望しており、グローバル人材を必要としている中堅・中小企業へは人が流れていかないというミスマッチもある。
日本で働く気のある外国人材が就職しない現象には、日本企業の制度がネックとなっている背景がある。「入社後の仕事内容が明確にされない」「短期間で行われる新卒一括採用」「入社後のキャリアパスの不透明さ」「若手の昇進が遅い年功序列制度」などの日本独特の制度だ。特に、就職活動という入り口の時点で、外国人材を雇用するチャンスを逃してしまっている企業が多いのだ。
ことに「企業側の不透明さ」は問題だ。経済産業省が行った留学生、元留学生へアンケート調査による「外国人留学生から見た日本の就職活動の問題点」のグラフでは、2位に「入社後の仕事内容が明確に示されない」、6位に「入社後のキャリアパスやローテーションが明確に示されない」が挙がっている。他の要因は学生側が自分から学んでいかなければならない事柄だが、上記2つに関しては、企業側が学生に充分な情報を提供できていないことを示している。入社した後の想像ができない――この不透明さが、グローバル人材を遠ざけてしまっている。
企業が学生を無意識に「門前払い」しないためには職務範囲やキャリアパスの明確化にまずは目を向け、「不透明さをなくすこと」を意識していかなければならない。
「郷に入っては郷に従え」を人材に要求する精神では、グローバルビジネスの世界では生き残れない。まず採用活動という人材雇用の入口をグローバル基準へと変えていくことが、日本企業に求められている第一歩なのだ。