リサーチ

2016.11.21

リーダー育成、続けていますか?

教育はしていても、宝の持ち腐れになっている企業が大半!

次世代リーダーの育成のため、候補者を選び出して重点的に研修(or 育成サポート)する「選抜型育成」を実施する企業が増えている。一方で、それら対象者の人材プールの管理は企業の半数以上が行っていない。

「次世代リーダーの選抜型育成」を行う企業が増えている。選抜型育成とは、教育を施す人材を選抜した、少数精鋭の育成法をとることだ。リーダーになる資質は誰もが持っているわけではなく、将来リーダーシップが期待できる人材を集中的に育成する方法をとる、ある種効率的な育成法ともいえる。
 
産業能率大学総合研究所の調査によると、育成対象者の選抜において選抜の対象としている階層は、最多が「課長クラス」(63.6%)で、後に「部長クラス」(47.9%)、「一般社員クラス」(38.8%)が続く。
 
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また階層数で最も多かったのは「3階層以上」で47.1%。次が「2階層」(34.5%)で、「1階層」(18.5%)はわずか2割に満たなかった。過去の調査結果と比較しても、3階層以上実施している企業の増加が目立ち、多階層における実施が進んできている。「一般社員」「課長」「部長」と段階的に育成する仕組みを構築することで、長期的に人材を育てようとする企業が増えている傾向がわかる。
 
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その一方、育成を受けた人を継続的ウォッチしてその後のパフォーマンスや成長度を把握し、個別にコーチングを行うといった「人材プールの管理」についての現状はどうだろうか。実は調査の結果、この人材プールの管理を「行っている」企業は44.5%にとどまり、「行っていない」企業が半数強を占める結果となった。プールとは蓄積を意味し、人材プールは質の高い人材を蓄積・育成し、積極的に活用するためのもの。しかし活用しなければ宝の持ち腐れで終わってしまう。
 
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特に多階層で実施している場合は、継続的な人材プールの管理の重要性が高くなってくる。ある階層での教育という「点」を、別の階層での「点」に「線」として段階的に繋げていかなければ、多階層で実施する意味がなくなってしまうからだ。だが実際は、選抜型教育を実施している企業は増加しているものの、教育して「ハイ終わり」と結果的になってしまっている企業も多いことがわかる。これでは将来的にその人材を活かすことができずに終わってしまう。
企業の将来を考えるならば、中長期的な観点から、継続して実践的な育成が求められるはずなのだ。
 
 
(出典)産業能率大学総合研究所「データから読み解く~「次世代リーダーの選抜型育成」の現状と課題~」をもとに作成
作成/MANA-Biz編集部