リサーチ
2017.05.12
変わりゆく共働きに対する意識
「家事の合理化」と「夫の家事・育児参加」は必須
1980年代以降、共働き家庭は年々右肩上がりで増えている。現在では「家事や育児は女性だけの仕事」という概念は薄れ、男性も家の中のことに参加するようになり、社会もそれを奨励する風潮が強くなった。では実際のところ、現代の共働き家庭の役割分担にはどのような特徴があるのだろうか。
旭化成とヘーベルハウスが共同で運営する「くらしノベーション研究所」の調査によると、男性が調理、洗濯、掃除を「やっている」と答えた割合は1989年から2012年の間で大幅に増加した。
家事の項目で一番大きな変化は洗濯で起こっている。洗濯をする、干す、とりこむ、たたむ、のいずれも、1989年には男性の1~2割程度しか協力していなかったが、2012年では半数の夫(休日)が行っている。
男性の育児参加の割合も変化している。かかわり方がより密接になったといえる。昔も今も、子どもをお風呂に入れる、あやす、ミルクをあげる、おしめを換える、などには多くの夫が協力していることだろう。だが現在は、それに加え、保育園の送迎や、子どもが病気になった時に仕事を休むなど、負担の比較的大きな部分も夫が分担するようになったのだ。2012年の調査では、フルタイム共働き世帯の夫で保育園の送迎をするのは約7割、子どもが病気になった時に仕事を休む夫も6割近くいるという結果が見られる。
育児の中で注目すべきは、夫が子どもと一緒に入浴する割合が高いところだ。父親が子どもとのコミュニケーションをいつ行なっているかをたずねる調査では、3位に「一緒にお風呂に入りながら」がランクインしている。
また共働きと片働きとの比較では子どもと一緒に入浴するのは「主に父親だが、たまに母親」が、片働きは約15%であるのに対して共働きは約22%と高くなっている。また「父母半分くらいずつ」や「ほとんど父親」などを加えた父親中心の割合全体も、片働き家族よりも共働きの方が高い。
このように、現代の共働き家庭では、男性が家事・育児に協力する時間、子供とコミュニケーションをとる時間を増やすため、仕事に使う時間を見直し、自発的に働き方を改革していることがうかがえる。
「家事の合理化」を考える男性が増えたことも、共働き家庭の男性が家事をするようになったことの表れといえる。「節約したいと思う時間」に関する調査で、それは顕著に見られる。昔も今も妻は節約したい時間に「家事」をあげる人が多いが、夫の場合は1992年にはそれが通勤時間・勤務時間がほとんどを占めていた。だが2013年の調査では、夫も家事の時間を節約したいと考えるようになった。特に共働き家庭の夫の方がそう考えている割合が高い。
妻が夕食作り・後片付けの時間を節約したいと答えているのに対し、夫は掃除、洗濯をあげる人が大きく増えたことから、女性は調理、男性は掃除、洗濯と家事の役割が分担される傾向にあることがわかる。夫婦共に生活のタイムマネジメントを心掛けている家庭が増えているのだ。
(出典)旭化成ホームズ株式会社 共働き家族研究所調べ「イマドキの共働き家族とは?」をもとに作成