プレゼンテーション
2017.08.02
プレゼンテーションの評価方法~自分のプレゼンを客観的に評価するには~
プレゼンテーション8:フィードバックの練習で良い点・悪い点を見る目を養う
評価されるプレゼンテーションをするには、自分のプレゼンを客観的に評価できるようになる必要があります。まずは人のプレゼンにフィードバックをする練習をして、良い点と悪い点を見分ける目を確立しましょう。フィードバックの練習は、プレゼン上達の第一歩です。
なぜフィードバックの練習が必要なのか
よりよいプレゼンを行うには、自分のプレゼンの良い点と悪い点を冷静に押さえ、ブラッシュアップしていく力が欠かせません。ただし、自分のプレゼンを客観的に評価するのは、なかなか難しいものです。そこでおすすめなのが、他人のプレゼンを聴き、相手にフィードバックをすることです。他人のプレゼンを聴いて「よいプレゼンだな」「なんとなく伝わりにくい」と感じたら、そこには必ず理由があります。
他人のプレゼンを聴いてよい点と悪い点をつかんでおけば、自分自身がプレゼンを行うときに役立ちます。つまり、フィードバックの練習は、プレゼン上達の第一歩なのです。
プレゼンがうまい人はフィードバックが必ずうまい
プレゼンがうまい人は、他人のプレゼンに対しても的確なフィードバックできます。「良いプレゼン」のポイントがわかっているので、フィードバックするときも、良かったところと悪かったところを具体的に指摘できるからです。良いプレゼンのポイントは「シナリオ・話し方・資料」の3つです。それぞれのポイントについて、簡単に知っておきましょう。シナリオ
シナリオとは「話す内容」です。ただし、大切なのは「何を話すか(テーマ)」だけではありません。相手に伝わるように論理的に組み立てることも重要です。論理的なシナリオは「疑問・結論・理由」の3つで組み立てるといいでしょう。この順序で話すことによって、聴き手の心は「何だろう?(興味)→へぇ~(驚き)→なるほど!(納得)」という流れで動き、話の内容に共感してくれます。
疑問:相手に疑問を投げかける 結論:結論を提示する 理由:その結論にいたる理由を説明し相手を説得する
話し方
シナリオがしっかり構成されていても、「話し方」によっては、聴き手にプレゼンの内容が伝わりにくいことがあります。逆に、話し方次第で内容がより伝わりやすくなる場合もあります。(詳しくは、「評価項目チェックリスト」で説明します)資料
シナリオの内容がパワーポイントなどの資料としてわかりやすくまとまっていれば、聴き手が内容を理解する手助けになります。プレゼーテーションの評価方法
他者のプレゼンを聴くときは、「シナリオ・話し方・資料」という3つのポイントを押さえつつ姿勢や態度、声などもチェックしてみましょう。評価項目チェックリスト
〈目的〉□「誰に・何を伝えるためのプレゼンか」が明確か
〈シナリオ〉
□「疑問→結論→理由」の流れで構成されているか
□話し手の思いだけでなく、「相手に期待するアクション」「相手が得られるメリット」が明確か
〈話し方〉
□聞き取りやすい話し方か(声の大きさ・間の取り方・抑揚・1センテンスの長さ)
□熱意が伝わるか(表情・声のトーン)
□理解しやすい話し方か(ジェスチャー・資料の指差し)
□相手の理解度を確認しながら話しているか(テンポ・視線の配り方)
〈資料〉
□文字・写真・図が見やすく、理解しやすい流れで配置されているか
□情報を盛り込み過ぎていないか
□文字が見やすいか(文字のフォント・サイズ・色)
□伝えたい内容を図・写真で補完できているか
〈姿勢・態度〉
□相手に信頼感を与える立ち振る舞いができているか(立ち方・身体の動かし方・表情・声)
フィードバックに求められること
フィードバックの目的は、「良いか悪いか」を伝えることではありません。「プレゼン全体の中でどこが良かったのか」「何が悪かったのか」を分解し、具体的に伝えることが大切です。さらに、「どうすればもっと良くなるか」までアドバイスできればベストです。フィードバックは具体的かつポジティブに
他人のプレゼンをフィードバックするときの注意点は2つです。「長所・短所を具体的に伝える」「ポジティブなスタンスで指摘する」です。●良い点・悪い点を具体的に伝える
例えば、「熱意は伝わったけど、聴き手にどんなアクションを求めているのかがわからなかった」「声の強弱と間の取り方を工夫すれば、もっと聞き取りやすくなる」といった感じで、良い点と悪い点を具体的にフィードバックしましょう。
●ポジティブなスタンスで指摘
いくらアドバイスが具体的でも、悪いところばかり指摘されると、話し手は「どこから直したらいいかわからない」とパニックになってしまいます。フィードバックのコメント全体の中で、短所の指摘は2~4割にとどめましょう。
さらに、悪い点については、「こうすればよくなる」という改善ポイントもあわせて指摘することが重要です。良い点・悪い点・改善ポイントをバランスよく伝えることで、話し手は「ここを修正してみよう」と前向きに行動を起こすことができます。フィードバックの具体例を挙げておきましょう。
「話すスピードや間の取り方、表情がすばらしかったよ(よい点)。 ただ、少し声が小さいので(悪い点)、 自信を持って大きな声を出すと、もっと迫力のあるプレゼンになるね(改善ポイント)」
まとめ
良いプレゼンかどうかは、伝えた相手に聞くのが一番。だからこそ、聴き手の立場から良い点と悪い点をフィードバックできるようになることは、自身のプレゼン上達の近道になります。今回紹介したチェック項目を参考に、普段からお互いのプレゼンをフィードバックし合ってみてください。下地 寛也(Shimoji Kanya)
コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)