リサーチ
2018.09.20
仕事はほどほどに? イマドキ理想の働き方
10年で何が変わった? ビジネスパーソンの仕事意識
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントが首都圏在住の20〜59歳有職者の仕事意識を調査した結果、10年前と比較して仕事に対する考え方にある変化が見られた。仕事への思い入れや独立心が低下し、仕事はお金を得る手段と割り切った考えを持つ人が増えているのだ。その背景には仕事を取り巻くこの10年の環境変化が影響しているようだ。
下図は「仕事に関する考え方」のうち、この10年で特に増減が際立った意識を抜粋したものである。比較してみると増加した項目と減少した項目が対照をなしていることが特徴的だ。例えば、「組織に属している方が安心である」が増加したのに対し、「いずれは独立して商売や事業を起こしたい」が減少している。「仕事はお金を得るための手段である」という割り切った姿勢で仕事に取り組む人が増加した一方で、「自分のオリジナリティや創造性を発揮できる仕事をしたい」「人々や社会に貢献できる仕事がしたい」「どこでも通用するプロの力を身に付けたい」といった仕事への熱意を持つ人は減少している。
また、「やりたい事の為に仕事はできるだけ少なくしたい」の増加からは、ワークライフバランスや働き方改革が叫ばれる中で、プライベートを重視する傾向が見て取れる。
努力に対する意識・考え方で注目すべきは、仕事を取り巻く社会情勢との連動である。2013年アベノミクスへの期待感を反映してか、「より豊かな生活や高い地位を得るために精一杯努力したい」と答えた人の割合が上がったが、相対的に「あくせくしないでんびりやりたい」が減少した。それから5年。2017年「あくせくしないでのんびりやりたい」がこの10年で最高値を記録。ビジネスパーソンのこうした意識は、停滞感が漂う世相を反映しているようだ。
この 10 年間、リーマン・ショックやITの進化、アベノミクスに働き方改革と、ビジネス環境の変化が激しかった。その影響かこれらのデータを見ていると、仕事に対して受身体質が増えてきているのではないか、という疑問が生まれる。近年の働き方改革から、労働生産性の向上が叫ばれており、ビジネスパーソン一人ひとりがよりリーダーシップを持って仕事をすることが求められる。そのためにも、企業は社員の働きやすい環境を整えることはもちろん、仕事へのモチベーションを上げるために、お金だけではない働くことの魅力を伝える努力も必要である。
【出典】株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント 「CORE2018(2017.10)」~「CORE2008(2007.10)」