- HOME
- ソリューション
- MANA-Biz
- ビジネススキル
- リーダーのためのアンコンシャス・バイアス
- 「無意識の思いこみ」を乗り越えてメンバーを輝かせる
リーダーのためのアンコンシャス・バイアス
2019.01.11
「無意識の思いこみ」を乗り越えてメンバーを輝かせる
リーダーのためのアンコンシャス・バイアス1:なぜリーダーに必要なのか
アンコンシャス・バイアスが
企業の成長を妨げることがある
「アンコンシャス・バイアス」とは、グローバルなビジネスシーンで近年注目を集めている概念で、「無意識の思いこみ」「無意識の偏見」などの言葉で表現されています。日本でも、アンコンシャス・バイアスをテーマとした研修やセミナーを導入する企業が増えています。
ではなぜ、国内外でこの概念が拡がっているのでしょうか。それは、社員一人ひとりにアンコンシャス・バイアスがあると、「今のやり方が一番なのだ」という思いこみにこだわって、変化を拒み、組織全体の成長が妨げられるからなのです。
一人ひとりが自分の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づき、対処に向けて行動を起こすことが、組織の変革につながります。
リーダーは特に
「無意識の思いこみ」に敏感であるべき
自分のアンコンシャス・バイアスに気づくことは誰にとっても大切ですが、リーダーにとってはとりわけ重要です。なぜならリーダーには、チームメンバーの適性や志向を見極め一人ひとりのハイパフォーマンスを引き出し、チーム全体の成果を上げることが求められているからです。
例えばリーダーの重要な仕事として、仕事のアサインが挙げられます。このときに、リーダーがアンコンシャス・バイアスにとらわれていて、「女性だから無理だろう…」とか「若いから難しいだろう…」と、限られた仕事しか任せずにいると、ふと気づくと、メンバーのキャリアを狭めてしまったり、メンバーの成長意欲や、やりがいをそいでしまったり…といった事態が起こってきます。結果、チーム全体の生産性が下がってしまう場合もあります。
メンバー一人ひとりの活躍を後押しするためにも、リーダーは自分のアンコンシャス・バイアスに対して敏感になる必要があるのです。
リーダーに実践してほしい
アンコンシャス・バイアスに気づくための3つの方法
リーダーが自分のアンコンシャス・バイアスに気づいたときは、思いこみによる偏った発言や行動に対して、すぐメンバーにフォローすることが求められます。
アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているものであり、リーダーだけにあるものではありません。メンバーにも、無意識の思いこみはあります。
ここでお伝えしたいことは、リーダーが自らのアンコンシャス・バイアスにいち早く気づき、直していこうとする姿勢から、組織が変わるということです。リーダーがその姿勢をみせることによって、メンバーも、やがては「私も、勝手な思いこみのせいで相手を不快にさせてしまっているかもしれない」と自分の発言や行動を振り返るようになるでしょう。
まずは、リーダーからはじめる。そうすることで、やがては、互いが、互いの気持ちを気遣う文化がチームに生まれ、一人ひとりが心理的安全性を感じながら伸び伸びと仕事ができるようになります。その結果、チーム全体の生産性が上がるわけです。
では、「無意識」にどうすれば気づけるのか。ここでは、自分自身のアンコンシャス・バイアスに気づくための3つの方法をご紹介します。
まず一つ目は、「相手の表情や声のトーン、リアクションに目を向ける」ことです。例えばあなたの発言が部下をいやな気持にさせたとしても、そのこと(本心)を伝えてくれることはまずないと考えていいでしょう。ですので、相手の本音を知るために相手をよく観察してください。不愉快に感じたり、傷ついたりしていたら、小さくても何かしらの変化が必ずあるはずです。
二つ目は、「自分の発言を振り返ってみる」ことです。アンコンシャス・バイアスは、基本的には事前回避はとても難しいのですが、自身の思いこみの“癖”に気づく訓練を繰り返すことで事前に気がつきやすくなります。「自分の言ったことに対して相手がどんな気持ちになっただろうか?」、「何かのアンコンシャス・バイアスに影響を受けた発言をしていなかっただろうか?」と、振り返る習慣をつけてください。
三つ目は、「アンコンシャス・バイアスログをつける」ことです。上記の二つの方法を繰り返していると、自分のアンコンシャス・バイアスに気づきやすくなります。そこで更に、自分のアンコンシャス・バイアスに気づいたらメモで残していくのです。
例えば「鈴木さんに『5歳は若く見えるね』と言ってムッとされる。若ければ若いほどよい、というアンコンシャス・バイアスが私にあったのかもしれない?」などと記録してみてください。
リーダーのポジションにある人は、自分のアンコンシャス・バイアスに気づくためのスキルや、気づいたときにとるべき行動を身につけ、「まずはわたし自身がアンコンシャス・バイアスを乗り越えよう」という決意をもって、アクションを起こしてください。
守屋 智敬(Moriya Tomotaka)
株式会社モリヤコンサルティング代表取締役。一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所代表理事。都市計画事務所、人材系コンサルティング会社を経て、起業。経営層や管理職を中心としたリーダーシップ研修などを通じて、2万人以上のリーダー育成に携わる。著書には、アンコンシャスバイアスをテーマとした『あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思いこみのせいです』(大和書房)や、『シンプルだけれど重要なリーダーの仕事』(かんき出版)などがある。