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リーダーのためのアンコンシャス・バイアス
2019.02.07
自己防衛心を克服してメンバーをサポートする
リーダーのためのアンコンシャス・バイアス3:メンバーを成長させる
リーダーの成功体験が
メンバーの成長を奪う可能性も
リーダーにとって大切な役割の一つといえるのが、メンバーの成長を促すことです。メンバーの個性はそれぞれ違いますから、その人らしい成長を後押ししていく必要があります。
しかし、リーダーがアンコンシャス・バイアスにとらわれていると、メンバーの成長をサポートするどころか、逆に自信を失う原因をつくってしまうこともあります。
例えばメンバーが目標に向けて取り組んでいるとき、リーダーは得てして、「そうじゃないよ」「何回言ってもわからないな」などと口をはさもうとします。
これは、リーダーは成功体験が豊富なので、無意識に「自分の仕事のやり方が一番」というアンコンシャス・バイアスを抱きやすく、メンバーの取り組み方をみていて「これでは不十分だ」と感じてしまうからだと言われています。
さらに説明を加えると、メンバーのやり方に口出ししようとするリーダーの深層にあるのは自己防衛心です。「自分が正しいと思っているやり方で相手が行動してくれないと不安だ」という心理から、違うやり方をしようとするメンバーに対してネガティブな反応をしてしまうのです。
周りからのネガティブな評価で
本人のセルフイメージが下がってしまう
「キミにはまだ無理だよ」「お子さんが小さくて大変だろう」といった思いこみによる言葉かけによって、メンバーから挑戦の機会を奪ってしまうリーダーもいます。このような体験が積み重なると、メンバーの中に「私には無理なんだ」「私にはどうせできない」といったネガティブなセルフイメージがつくられていきます。
このイメージがアンコンシャス・バイアスとなって、メンバーはチャレンジを避けるようになります。リーダーのアンコンシャス・バイアスが、メンバーの成長を妨げる要因になってしまうのです。
セルフイメージに悪影響を及ぼす言葉を、私は「ドリームキラー」と呼んでいます。少なくともリーダーは、「今から自分が言うことは相手にとってドリームキラーとならないだろうか?」と常に意識する必要があるでしょう。
やや高めの目標に短いスパンで挑戦させ、
こまめにフィードバックする
では、メンバーの成長を促すにはどうしたらいいでしょうか。
その人の個性に合わせた成長を引き出すには、こまめな目標設定をサポートすることが大切です。その人の目指すところを面談などで確認したうえで、すこしチャレンジングな仕事を短いスパンでトライすることを促すことからはじめてみてください。「ここまでやってみよう」「できることからでいいから」と声をかけながら、少しずつハードルを上げていくわけです。このときに大切なことは、リーダーが勝手に目標を決めてしまわないことです。
やや高めの目標に向けて努力をともに繰り返すことで、メンバーは少しずつ変化していくでしょう。リーダーは、メンバーが目標をクリアするたびに、「先方の担当者が喜んでいたよ」などと前向きなフィードバックを行っていきます。貢献欲求が満たされたメンバーは、さらに意欲的になって次の目標へと向かい、成長を続けていけるはずです。
「自分のやり方を押しつけない」「ドリームキラー発言に気をつける」「少しチャレンジングな目標を設定する」という3つのポイントを大切に、メンバーの成長を後押ししていきましょう。
守屋 智敬(Moriya Tomotaka)
株式会社モリヤコンサルティング代表取締役。一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所代表理事。都市計画事務所、人材系コンサルティング会社を経て、起業。経営層や管理職を中心としたリーダーシップ研修などを通じて、2万人以上のリーダー育成に携わる。著書には、アンコンシャスバイアスをテーマとした『あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思いこみのせいです』(大和書房)や、『シンプルだけれど重要なリーダーの仕事』(かんき出版)などがある。