リサーチ

2020.12.04

多くの企業が情報システム/IT投資に前向き

新型コロナウイルス感染拡大の影響で見えた課題がDX推進のヒントに

ヴイエムウェア株式会社は2020年6月、企業の経営者・役員約400人を対象に『お仕事に関するアンケート』を実施し、新型コロナウイルス感染症への対応をふまえた、国内企業における情報システム、IT予算の傾向や投資分野、デジタル・トランスフォーメーション(DX)に関する実態調査を行った。

ビジネスにおけるIT化、DX(デジタルトランスフォーメーション)といったキーワードは目新しいものではないが、新型コロナウイルスの影響によって、さらに加速したといえる。


ウイルスとの共存生活においてテレワークなどが推進されても業務に滞りがないように、オンラインでの会議や商談の導入、その先にあるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)に対しても、肯定的な意識が高まっているのではないだろうか。

※デジタル・トランスフォーメーション(DX)
企業がデータやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法を抜本的に変えること。ITの活用だけにとどまらず、活用を通じてビジネスモデルや組織自体を変革すること。


ヴイエムウェア株式会社が実施した『お仕事に関するアンケート』では、新型コロナウイルスへの対応をふまえた、今年度の情報システム/IT予算について、52.9%が「変化なし」、29.6%が「増額する」と回答した。感染拡大の影響を受け、深刻な経済状況の悪化が懸念されるなかでも、過半数の企業でIT関連の予算が削減対象にはなっておらず、3割近い企業に増額の意思があり、多くの企業がIT投資に前向きな姿勢であることがわかる。


最も優先的に投資する分野として回答が多かったものは、オンライン会議・コラボレーションツール(23.8%)、テレワーク関連(14.9%)。BCP(事業継続計画)対策の一環として、場所を問わず働ける環境づくりを推進していく傾向が見られる。


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テレワーク実施にあたって、情報システム面の課題として挙げられていたのは下図の内容。そのなかで、現在も継続している大きな課題として多いのは、「電子化されていない業務(46.1%)」「セキュリティや個人情報のポリシー(38.7%)」「機密情報へのリモートからのアクセス(34.1%)」など。


業務の電子化を進めるためには、業務に必要なアプリケーションの導入や、データに迅速かつ安全にアクセスするための仕組みも必要だ。


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DXに関しては、41.5%が「世界の先進国と比べて日本はかなり遅れている」、24.0%が「多少遅れている」と回答していた。30.9%が「DXによって日本は世界で競争力を発揮・維持できる」、24.7%が「DXによって自社は世界で競争力を発揮、維持できる」と考えているようだが、DX推進には課題も多い。


課題感は1位から順に、「基本方針が決まっていない(45.9%)」「人材育成が進んでいない(34.5%)」「社内でDX推進をリードできる人材がいない(24.3%)」だった。


また、ビジネスは相手がいて成り立つものなので、社内のみならず外部のパートナー企業との連携も重要である。たとえば、取引をオンラインで完結させたいと思っても、クライアントや業者が難色を示せば、"ビジネスモデルの変革"としてのDXは成立しないのだ。


しかし、他社との連携状況について聞くと、「既に他社と連携している」「連携の方向で準備中」という回答は極めて少なく、「必要性は感じているが未着手」を含めても3割を下回っていた。


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新型コロナウイルスの影響で経済は難しくなっているが、ウイルスと共存して生き残っていくためには、情報システムやITの整備は不可欠な要素であり、多くの企業が投資に前向きな姿勢を見せている。投資分野としてはオンライン会議やテレワーク関連が多く、BCP(事業継続計画)対策の一環として、場所を問わず働ける環境づくりをめざす傾向があった。


しかし、IT化やDXの必要性に対する意識が確実に高まっているなかで、数々の課題も浮き彫りになっていた。社内の人材不足や人材育成など、一筋縄ではいかない問題も抱えている。他社との連携についても意識はまだ低く、実際に動き出している企業は少ない。


コロナ影響下で企業を存続・成長させるため、さらにはコロナ対策とグローバル化を両立して世界に遅れをとらないようにするためにも、こうした課題を解決することは必須だと考えられる。今回のコロナ経験から得た具体的な課題感は、今後の推進のために貴重な情報となるだろう。



【出典】ヴイエムウェア株式会社 『お仕事に関するアンケート


作成/MANA-Biz編集部