仕事に役立つオノマトペ

2022.05.23

低く短いあいづちで長い話を打ち切る

オノマトペ12:先輩のおしゃべりを切り上げるとき

例えば先輩のおしゃべりがなかなか終わらないとき、「時間がないので……」と会話を打ち切るのは勇気がいるものです。相づちの打ち方に工夫して相手のテンションを下げ、スムーズに切り上げましょう。

低いトーン+短い相づちで
気持ちを暗に伝える
相手によい気分で話してもらいたいときは、ハイトーンで相づちを打つのが基本です。逆に、早く話を切り上げてもらいたいときは、低いトーンで音を伸ばさずに「ほぉ」「へぇ」といった相づちが向いています。
あなたが低いトーンで相づちを打つことによって、ミラー効果(対面している相手のテンションにつられること)で相手のテンションも下がってきます。また、語尾を短くすることで、「話を短くしたい」というあなたのメッセージを暗に伝えることができます。
「そろそろ」と切り出して
角を立てずに話を打ち切る
相手のテンションが少し落ちてきたところで、「そろそろミーティングの時間なので失礼します」などと話を切り上げます。この「そろそろ」は、定まった時刻や時期になりつつあることを表現するオノマトペですが、Sの音がもつ歯切れ良さのため、爽やかな印象です。「話したい」という気持ちが薄れてきたタイミングで言うことで、スムーズに相手のおしゃべりを終わらせることができるはずです。

いきなり「時間がなくて......」などと伝えるのではなく、相づちのトーンで徐々に働きかけていき、「そろそろ」で終わらせる。この二段構えで臨んでみてください。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里