仕事に役立つオノマトペ

2022.04.20

相づちの「ほーっ」「へえー」はハイトーンで

オノマトペ11:相手をいい気分にさせる相づち

相づちを打つときには「ほぉー」「へぇー」などの感動詞をよく使いますが、相手の話を気持ちよく引き出せるかどうかは、呼吸の勢いにのせてこれらの言葉をどう発するかにかかっています。

感動詞をはさみながら
深くうなずくリアクションで
気分よく話してもらえる
取引先の担当者を接待するときや、関係者へのヒアリングでたくさんの情報を引き出したいときには、とにかく目の前の相手に気分よく話してもらうことが大切です。その際、話に引き込まれていることを示すために、「ほぉー」「へぇー」といった感動詞を交えて相づちを打つことは多いでしょう。
このときに、こうした感動詞を高いトーンで発声するのがポイントです。さらに、深くうなずきながら相手の話に耳を傾けると効果がアップします。
高いトーンで
自分も相手もテンションが上がる
この行動によって相手の話を引き出せるのは、「ほぉー」「へぇー」などの感動詞を言いながら聞く態度が、暗に「それはすごいですね」と相手に言っていることになるからです。それに加えて、高いトーンで相づちを打つことによって、無意識のうちに自分のテンションが上がり、相手の話を聞くことにさらに身が入ります。うなずくアクションもおざなりのものでなく、実感がこもるはずです。
すると相手は、「そんなに興味をもってくれたのか」と感激し、ますますいい気分になって話してくれるのです。
自分がハイテンションだと
相手がさらに気分よくなれる
また、対面している人がハイテンションだと、自分もなんとなく高揚してくるもの。これは心理学ではミラー効果と呼ばれます。あなたがハイトーンで相づちを打つことによって、相手のテンションも上がるのです。
言葉選び以前に、受け答えの発声をちょっと変えるだけでも、ビジネスを円滑に進める手助けになります。「相手に気持ちよく話してもらいたい」という気持ちを大切に、心をこめて相づちを打ってみてください。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部教授、早稲田大学オープンカレッジ講師。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里