テレワーク導入ステップ②
労務管理規則の見直し

第3回:働く場所が変われば、労務管理規則も変える必要がある

テレワークはこれまでの働き方とは異なる点も多いため、導入にあたっては労務管理規則を見直すことが求められます。テレワークを取り入れる際の労務管理規則の重要ポイントと、運用までの注意点をご紹介します。

テレワーク導入時になぜ労務管理規則を見直す必要があるのか

――テレワーク導入にあたって、なぜ労務管理規則を見直す必要があるのですか?

テレワークでの勤務は、通常とは勤務環境が大きく異なるため、オフィスでの勤務を前提とした今までの労務管理規則では対応しきれないからです。コクヨではお客さまのテレワーク導入をお手伝いする際に、テレワークに特化した勤務規程を設けて労務管理規則を変更することをお勧めしています。

――確かに、テレワークを導入することによってオフィス以外の場所で仕事をすることになるわけですから、勤務環境は変わりますね。労務管理規則の観点から見た際に、ほかには何が変わるのですか?

働く場所が変わることによって、例えば労働時間のとらえ方やセキュリティを担保する仕組み、労災の適用範囲など、労務上のさまざまな要素に影響が出てきます。そのため、テレワーク導入によって働き方にどんな変更点が生じるのかを幅広く検討し、テレワーク勤務をカバーできるよう労務管理規則を変えていくことが必要です。

テレワークに特化した勤務規程で決めるべきことは?

――では、テレワークに特化した勤務規程を設けて労務管理規則の変更を行うにあたり、どのような項目を設定すればよいですか?

まず、テレワークの対象となる業務(テレワークで行ってよい業務)や場所、労働時間に関する細かい規程を設ける必要があります。また、セキュリティに関する規程や、テレワーク導入によって発生する通信費など諸経費を企業と個人のどちらが負担するかといったことについても、明確にしておくことが重要です。

――「労働時間に関する細かい規程」とは、具体的にどんなことを指すのですか?

当然ながら、従業員は「いつ・どこで・何をしているか」を組織へ共有する必要があります。ですので、スケジューラー上に「9~17時:在宅勤務」といった形で登録・公開することはもちろんのこと、メールやチャットを用い「勤務開始・終了」を上司へ報告するといった工夫を重ねるケースもあります。勤務時間に関しては、労働組合と協議し、合意のうえでテレワークに関する労務管理規則を決めることが必要です。

テレワーク勤務に伴う規則の変更は従業員にどう周知すればよい?

――テレワークに特化した勤務規程は、テレワークを利用する従業員にどうやって知らせればよいでしょうか

できるだけ多くの従業員に向けて説明会や勉強会を行い、周知するとよいでしょう。労務管理規則を変更し、マニュアルを作成・公開するだけでは従業員へ十分に伝わらず、「具体的な運用ルールがわからないから安心してテレワークができない」と感じる人が出てくる可能性があります。その意味で、周知のための活動は重要です。

――説明会や勉強会では、労務管理規則の変更点も含めてどんなことを周知すればよいですか?

まずは「なぜテレワークを導入するか」という目的や期待効果を共有することが不可欠です。その後、テレワークに関する勤務規程に基づいた運用ルールのほか、テレワークに必要なツールの使い方などを具体的に説明します。テレワークを導入するだけでなく、実際に利用する人が利用しやすいよう、勤務規程に沿ったテレワークの運用ルールを積極的に発信していくことが求められます。

このコラムのまとめ
  • テレワーク導入時には、労務管理規則の変更が必要となる。
  • テレワーク導入にあたっては、業務を行う場所や対象となる業務、労働時間などに関する規程を設けることが求められる。
  • テレワークに伴う労務管理規則の変更事項は、説明会や勉強会で従業員に広く周知する。
吉田大地(Yoshida Daichi)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
ITコンサルタントとして、ITをベースに複数のクライアント企業の課題解決を手掛ける。現在はワークスタイルコンサルタントとして、空間、働き方の両面から、働く人1人ひとりの感性を刺激し、創造性を発揮するオフィス環境の構築を支援中。働く人の能力を発揮させ、互いの知識・情報を共有し、交流を活性化させるオフィス環境の実現をサポート。

2019.12.16
作成/コクヨ

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