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テスト運用から本格導入まで
テレワークの本格スタート前に実施したいテスト運用の進め方や注意点、さらに開始後のテレワーク浸透施策について紹介します。
全社的に本格運用を始める前に、できれば一部の部署や従業員を対象に、いわゆる「パイロット導入(試験的に導入すること)」の期間を設けてテスト的にテレワークの運用を行ってみることをお勧めします。
いきなりテレワークを一斉導入すると、想定外のトラブルが起こったときに、対応に時間がかかってしまうからです。まずはテスト運用を行ってみて、見えてきた課題を解決してから本格導入すれば、深刻な問題が起こりにくくなります。
「部下の報・連・相が少なく業務の進捗がわからない」といったコミュニケーション関連が多いですね。これらの課題に合わせて、「週1回は必ずテレビ会議によるグループミーティングを行う」「1日2回は必ず上司にコンタクトする」などテレワーク勤務時の運用ルールを変更したうえで本格導入すると、業務がスムーズに進みます。
例えばセキュリティ上の問題が生じた場合など、テレワーク自体を中止せざるを得ないケースもあります。ただ、基本的には、「テスト運用により浮き彫りとなった課題をどう解決していくか」という方向性で前向きに進めていくことがほとんどです。
「テスト運用を実施する部署や従業員の選定→評価項目の策定→テスト運用時のルールや実施期間の決定→実施→効果検証・不足点や不具合の洗い出し→課題解決」という手順で進めるのが一般的です。
「テレワークによって生産性が上がったか」「コミュニケーション上の課題が生じなかったか」「セキュリティ面で不具合が生じなかったか」など、テスト運用によって検証したい項目を決めることです。テレワーク導入の根底には「生産性アップ」「制約社員が働きやすい環境づくり」といった目的があるはずなので、その目的を軸に具体的な評価項目を決定するとよいでしょう。
企業によって異なりますが、3~6か月間が一般的です。繁忙期と閑散期について一通り検証できるようにスケジュールを組むのがお勧めです。また、社内行事などイレギュラーな働き方が予想される時期があるなら、その期間についても検証することが望ましいです。
テスト運用の対象者を選ぶ際は、いくつかの方法が考えられます。一般的には、テレワーク導入の目的を明確化する段階で思い描いた「企業としてのあるべき姿」に沿って対象となる部署を選定し、その部署の全従業員、もしくは希望者に取り組んでもらう方法です。この場合は、ある程度人数の多い部署を対象に行います。
その通りです。会社の中でボリュームゾーンとなる層でないと、テレワークによって「企業としてのあるべき姿」に近づけたかどうかを検証しにくいからです。また、部署ではなく、例えば育児中・介護中などテレワーク導入によってメリットを得られそうな従業員を対象にテスト運用し、「本当に働きやすくなったか」を検証する方法もあります。
初期投資を抑えるなら、ツール類がすでにある程度揃っている部署を対象にしてもよいでしょう。例えば営業部門は外出先で業務を行う機会が多く、ノートパソコンやタブレットが揃っている場合も多々あり、テレワークのトライアル実施に向いているといえます。
いくらテレワークの制度をつくっても、利用する人がいなければ「企業としてのあるべき姿」は実現できません。テレワークという働き方が社内に浸透するよう、説明会を定期的に開催するなど、利用者を増やす施策を行っていく必要があります。
上司がテレワークを行わないと部下も制度を利用しづらいので、まずはマネジメント側が率先してテレワークの制度を利用することが求められます。また、ある企業様では、テレワーク推進室がブログを立ち上げて利用者を紹介したり、育児中の従業員に向けたイベントを通じて口コミで拡げたりしています。「隣の部署にもテレワークで働いている人がいるんだ」「実際に制度を利用してもいいんだな」と従業員に関心を持ってもらい、テレワークを着実に浸透させていくことが大切です。