テレワーク導入ステップ③
ITインフラ・ツールの見直しと再構築

第4回:セキュリティを担保するために不可欠な3つの観点

テレワーク導入にあたっては、ITインフラを整えたり、ツール類を揃えたりすることが求められます。円滑なコミュニケーションやセキュリティを担保するために、どのような準備をすればよいかを解説します。

テレワーク業務を行うのに必要なツール類や整えたいITインフラは?

――テレワークを導入するにあたって、オフィス以外の場所で業務を行う従業員に支給しなければならないツールや、整えておきたいITインフラを教えてください。

まずテレワークのための基本的なツールとして用意したいのが、モバイルワークができる端末類です。具体的にはノートパソコンやタブレットですね。また、機密情報を保護するために、セキュリティを担保できるITインフラを整えることが必要です。

――ほかにテレワークに向けて準備したいツールはありますか?

コミュニケーションのためのツールとして、業務に使うスマートフォンや携帯電話を支給したいところです。テレワーク業務時に個人のスマートフォンや携帯電話を使うとなると、通信費が個人負担になってしまううえに、「この通話はプライベートか業務か」と一つずつ判断しなければなりません。また、テレワークで働くメンバー同士が離れた場所にいてもスムーズにミーティングすることができるよう、TEAMSやSkype、 FACETIMEといった、テレビ会議またはWeb会議を行うためのツールも導入するとよいでしょう。

――確かに、チームで仕事をしている場合はミーティングなどを行うのに必須ですね。

チームはもちろんですが、テレワークを導入すると従業員同士が直接会う機会が減りがちですので、1対1のコミュニケーションにも活用したいところです。顔を見ながら話すことで、電話やメールだけではわからないさまざまな情報や細かいニュアンスを伝え合うことができます。システムによっては画面にコメントを入力することができる機能もありますので、コミュニケーションの目的や共有したい内容によって、必要な機能をチョイスし、ツールを揃えましょう。

テレワークだからこそ用意したいコミュニケーション手段とは?

――テレワークでは、コミュニケーションの量と質をいかに確保するかが課題になります。円滑にコミュニケーションをとるために、導入した方がよいモノ・コトはありますか?

一つはテレビ会議システムです。ただ、会議以外でもフランクなコミュニケーションが必要になったときのために、社内SNSやビジネスチャットでコミュニケーションができるようにしておくとよいですね。

――スマートフォンや電話によるコミュニケーションでは不十分なのでしょうか?

若手の従業員は特に、テレワークをしているときに「電話するほどでもないけれど、細かいことをちょっと上司やリーダーに相談したい」「ツールの使い方を同僚に質問したい」といったニーズを感じることが多いものです。またメールだと、「きちんとした文章を書かなければ」という意識が働くため、小さな迷いがあったとしても相談せず自己判断でテレワーク業務を進めてしまう場合もあります。こんなとき、SNSなどで気軽に、そしてリアルタイムにコミュニケーションができれば、テレワーク中でも心理的負担を感じずに上司にコンタクトできます。コクヨでは企業様のテレワーク導入支援を行う際に、メール・電話に次ぐ第3のコミュニケーション手段として社内SNSやチャットの導入をお勧めしています。具体的な方法としては、TEAMSやSkypeのチャット機能を使ったり、、hangoutsなどのメッセージングアプリでコミュニケーションを行う企業が益々増加しています。

セキュリティ担保に不可欠な3つの観点とは?

――テレワークでは、セキュリティをいかに担保するかも気になるところです。注意したいポイントはどこですか?

テレワークを行う際のセキュリティ担保に関しては、3つの観点から対策をしていくことが不可欠です。1つは「ITインフラやツール類による対策」です。テレワーク時の情報漏洩を防ぐには、VPN(Virtual Private Network インターネットなどの共用回線を仮想的な専用ネットワークとして利用する技術・サービス)等のITインフラを整えたいところです。2つめは、「運用ルールによる対策」です。「指定されたWi-Fi環境でのみテレワークを行う」「支給されているツール以外は使わない」「画面をのぞき見される恐れがある場所ではテレワークを行わない」といった、テレワークに伴うセキュリティポリシーを共有することが重要です。

――3つめの観点は何ですか?

「システムによる対策」です。例えば、テレワーク中に万一パソコンが盗難にあっても情報が流出しないよう、パソコンにはデータを残さずサーバやデータセンターにデータを保存するようにしたり、スマートフォンの場合は不正にロック解除しようとするとデータが消えるように設定しておくなど、セキュリティを保護するためのシステムを整えておく必要があります。すでに導入済みのITインフラやツールを確認し、安全にテレワークを行うには何を追加すればよいかを検討していきましょう。

このコラムのまとめ
  • テレワーク導入時は、モバイル端末と通信インフラの整備が不可欠。必要に応じて支給用のスマートフォンやテレビ会議システムも準備する。
  • リアルタイムで気軽なコミュニケーションができるよう、チャットや社内SNSも導入したい。
  • セキュリティの担保に向けて、ITインフラやツール類・運用ルール・システムという3つの観点から対策することが求められる。
吉田大地(Yoshida Daichi)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
ITコンサルタントとして、ITをベースに複数のクライアント企業の課題解決を手掛ける。現在はワークスタイルコンサルタントとして、空間、働き方の両面から、働く人1人ひとりの感性を刺激し、創造性を発揮するオフィス環境の構築を支援中。働く人の能力を発揮させ、互いの知識・情報を共有し、交流を活性化させるオフィス環境の実現をサポート。

2019.12.16
作成/コクヨ

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