会議
2016.04.15
会議はその目的によって、進め方がまったく違う
会議2:創造会議と定型会議
会議はその目的により
「創造会議」と「定型会議」の2つに分けられる
「皆さんが参加されている会議ってどのようなものが多いですか?」と聞くと、『営業会議』『部門長会議』『移転プロジェクト会議』など、部門名や役職名、タスク名などからついた名前の会議が多いと思いますが、「その会議の目的はなんですか?」と再び聞いてみると、「はてなんだっけ?」と首をかしげることがよくあります。あらためて振り返ると、目的があいまいなまま行われる会議のなんと多いことでしょう!
「会議の目的はなんだろう?」、このことはぜひ意識するべきです。では、会議の目的にはどのようなものがあるのでしょうか。大きく2つに分類することができます。
・創造会議......アイデア、創造性を求める会議
・定形会議......情報共有が主目的で、創造性はあまり必要でない会議
『創造会議』は一般に『ディスカッション』ともいわれ、主にアイデアを出しあうことを目的とした『企画会議』や、課題を解決するための『問題解決会議』などがそれにあたります。会議の場でひとつでも多くのアイデアを出し、そこから『結論』へと絞り込んでいく行程が必要となるため、どうしても時間がかかります。
一方『定形会議』は、いわゆる『ホウレンソウ(報告・連絡・相談)』的な『連絡会議・報告会議』、役割分担や日程を決める『調整会議』、値段や取引条件を決める『交渉会議』などがあります。役員会議などの『意思決定会議』も、あまり創造性を伴わないため、定形会議に分類します(意思決定会議は別にわけて3種類で説明することもありますが、ここではシンプルに2つに分けて説明します)。
この2つの会議『創造会議』と『定型会議』を有意義に進めるには、まったく異なるテクニックが必要です。『創造会議』はアイデアの質が求められますが、『定型会議』では効率的な進行が求められます。したがって、進行役が「今、なんの目的で会議を行っているのか」を見失うと、うまく進められなくなってしまいます。
「創造会議」と「定型会議」の2つの会議を
混ぜると進行は破綻してしまう
会議の進行で難しいのは、1つの会議の中で『創造会議』と『定形会議』がごちゃまぜに混じってしまったときなのです。ここでは、進行が滞ってしまった会議の一例を見てみましょう。
営業部門の数字を確認しあう場である報告会議で、ある営業マンから「お客様から商品のクレームを再三受けていてどうしたらいいでしょうか?」という発言があったとします。もともとの報告会議は、『定形会議』です。そこにクレーム対応、すなわち問題解決を必要とする『創造会議』の議題が提示されたわけです。参加者は、「あれ、そんなクレーム問題を議論したら、長くなって終わらないなあ。自分の報告時間がとれなくなったらまずいので、ひとまずこの場は黙っておこうか」と思うかもしれません。結果、誰からも発言が出ない、シーンとした会議になってしまうでしょう。
つまり会議の進行役は、『創造会議』の場なのか、『定形会議』の場なのかを、参加者にしっかりと認識させて進める必要があるわけです。この場合、『定形会議』を『創造会議』に切り替えるかの判断が必要です。『創造会議』に切り替える場合は「いつもの報告は後回しにして、ここからはクレーム対策についてアイデアをだそう」と言うべきですし、逆に『定形会議』を継続する場合は「今は報告のための時間なので、あとであらためてクレーム問題について時間をとろう」と言うべきです。
まずは会議の目的が何であるかを確認し、この場が『創造会議』であるのか、もしくは『定形会議』であるのかを認識することが大切です。今この場で重きを置くべきテーマはどこにあるかを見極め、じっくり時間をかけて行う『創造会議』と、確認作業が主となる『定形会議』の切り替えを行うことで、有意義な会議へと導くことができるはずです。
下地 寛也(Shimoji Kanya)
コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)