コミュニケーション
2016.04.21
聞き上手と言われる人の、「聞き方」のコツ
コミュニケーション2:「聞く力」を磨きコミュニケーション力を上げる
「聞く力」を磨くには
「聞いている」というサインを磨く
コミュニケーションと言えば、どう「伝える」かに重点を置きがちですが、自分の意思を伝えるのと同時に相手からのメッセージを受け取ることも重要です。そして、ビジネスにおける円滑なコミュニケーションのカギとなるのが、発信に先立ってまずは確実に受信すること。つまり、相手の話に耳を傾け、相手の主張や要望を正確に理解すること、「聞き上手」になることなのです。
「聞く力」を磨くうえで、人の話を“しっかり”聞くことは基本中の基本ですが、それと同じくらい大切なのが、「聞いている」というサインを相手に送ることです。サインと言っても特別なことをする必要はなく、「うなずき」と「相づち」で十分です。相づちは、「へぇ、そうなんですか」、「なるほど」などから始め、それだけでは単調だと感じたら相手が言ったことを「おうむ返し」してみましょう。「この前大変なことがあってねえ」と相手が言えば、「大変なことがあったんですか」と応えるといった感じです。
「うなずき」も「相づち」も、ややオーバーなくらいがちょうどいいでしょう。よく本人はうなずいているつもりでも相手からみたらまったく無反応なこともあるものです。うなずきと同時に、口角(口の両端)を上げることも意識してみましょう。自然と微笑むような表情になり、心を開いているというサインになります。「しっかり話を聞いていますよ」という合図が届けば、話し手も安心し、気持ちよくいろいろなことを話してくれるでしょう。
聞いているというサインとともに、質問することも大切です。質問には、単にわからないことを聞くという以上に、「あなたの話に興味があります(だからもっと詳しく知りたいのです)」というサインを相手に送る意味合いがあります。話を聞く際にはメモをとり、質問する内容を考えながら聞くようにしましょう。すると自ずとより集中して話を聞けるようになり、相手との雰囲気も良い状態になっていきます。
「うなずき」や「相づち」といった「聞いている」というサインを送り、積極的に質問もしてみることで、「聞く力」が磨かれます。
相手と意見が違うと感じたら
「共通点」と「相違点」を確認しながら聞く
いくら心を開いて聞いていても、相手の話が腑に落ちないこともあるでしょう。「自分の考えとは違うな」と感じたときは、思わず感情的に反発しがちです。ゆえに感情的な右脳スイッチを一度切り、論理的な左脳を使って、話を整理しながら聞くよう心がけてみましょう。大切なのは、どちらが正しい、間違っているということを判断しようとするのではなく、まずは自分の考え方との相違点・共通点を整理することです。
発言には事実と意見が混ざるものです。事実確認を冷静にしつつ、相手の意見は、相手の価値観に根ざした発言になるはずなので、自分の考え方とどの部分に意見の相違があるのかなと客観的に比較する意識を持って話を聞いてみましょう。
できれば相違点・共通点をメモしながら表にしてみてもいいでしょう。論点を可視化することによって頭が整理され、議論がぐっとスムーズになるはずです。
コミュニケーションの基本となる「聞く力」は、普段のちょっとした心がけで磨くことができます。受け身の「聞き役」を脱し、一歩先行く「聞き上手」を目指しましょう。
下地 寛也(Shimoji Kanya)
コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)