リサーチ
2016.05.17
組織内の一匹オオカミは、もう古い!?
組織やチームの中での理想的な協力行動とは
「今の若者は自分のことしか考えていない…」。いつの時代にも嘆かれる定型句だが、果たしてその実態は?
「今の若者は自分のことしか考えていない…」。いつの時代にも嘆かれる定型句だが、果たしてその実態は?
強い組織にするためには、組織の「リーダーシップ」「フォロワーシップ」「メンバーシップ」が重要である。リーダーが強いリーダーシップを持って組織を引っ張っていく旧来の組織論も有効ではあるが、メンバーがそれに従わなければ、机上の空論である。
一般社団法人日本経営協会が2013年3月に行った「組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査報告書」では、組織やチーム内に自主性を持って改善提案したり、新しい取り組みをしたりしようとしている人がいる場合、他のメンバーがどのような協力活動をとるかについて尋ねている。その結果、「自ら声をかけ協力する」が44.3%、「声をかけられれば協力する」が35.8%などと、チームワークを意識した行動をする人が高い割合で存在することがわかった。
役職別では、管理職(経験者を含む)の人が協力に積極的で、65.3%が「自ら声をかけ協力する」、23.5%が「声をかけられれば協力する」と回答したほか 、年齢が上がるにつれて積極的に協力するとの姿勢が明らかになった。
また、外部環境の変化が激しい今の時代にあっては、決められた役割だけをこなす仕事のやり方では対応できないことが多い。したがって、「決められた役割に応じてそれぞれ自己完結型で仕事をしている」というパターンのほかに、他のメンバーと有機的につながりながら仕事をするパターンが多く見られるようになっている。そうした仕事の進め方と、協力関係とを照らし合わせると、「有機的につながって仕事をしている」ケースでは、「自ら声をかけ協力する」と答えた人の割合が52.6%と非常に高い数値を示している。
つまり、組織は有機的に結びついているほうが有効であり、その中のメンバー間で積極的な協力関係を持つことが理想であるといえるだろう。“一匹オオカミ”として個人主義で成果を上げるのではなく、組織やチームとして「勉強会(研修)」を実施したり、「仕組み・体系づくり」を考えたり、「情報の共有」を推進したりすることで個々のスキルを上げ、組織に還元していくシステムをつくり上げることが急務なのである。
(出典)「組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査報告書」(一般社団法人日本経営協会)をもとに作成